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SS 二重人格ごっこ #毎週ショートショートnoteの応募用

「おはよう」
私は私の影に挨拶をする。人の気配が無い施設の中は寂しい。だからいつも、ごっご遊びをする。私が手をふれば影も手をふる。私と影は相性が良い。

「どうしたの?」
同じ施設に居る女の子が来る。
「挨拶してたの」
彼女はクスクスと私の遊びを笑う。私は怒って
「いいでしょ、私は影が好き」

人が居ない廊下や部屋。みんなどこに居るのか?昔は子供達が多くいた筈なのに?私は不思議に感じる。

「ごめんなさい、私も…」
私は驚く、悲しそうな彼女は廊下を歩いて外へ出る。私は少しだけ泣いた。私はまた手をふる。影は動かない。

「影さんもどこか行くの?」
影が消え始めた。私はもうひとりぼっち。もうごっご遊びもできない。私は誰も居ない施設から外に出る。気がつくとお母さんとお医者さんが居る。

お医者さんが
「娘さんは大丈夫です、薬で治癒できました」
お母さんは
「ごっご遊びで二重人格になるなんて……」
「幼い頃にはよくありますよ」
私は外の世界で、影に手をふってみた。

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