SS 感想文部 #毎週ショートショートnoteの応募用
「この話なんですが …… 」
彼は紙に書いた物を見せる。メモに何か書かれている。俺は趣味で実話怪談を集めている。だからたまにネタを貰える事がある。
読むと他の怪談の感想文部分だけだ。中身が無い。文章を書くのが苦手な人も居る。怖いと書けるが理屈がない。女の幽霊が怖いと書いてあった。
「ええとても怖いんです …… 」
俺は彼女を見る。短い髪の少女は美しく幼い。顔に大きく傷ができていた。生まれた時からの傷に見える。俺はメモに目を落とす。老婆が怖いと書かれている。俺は顔を上げると老婆が悲しそうに俺を見ていた。
「おじいさんを殺したんだよ 私はずっと耐えたよ でもね我慢できなかった 寝ているおじいさんの顔にね 熱湯をかけたんだよ」
俺はメモそのものが、実話怪談だと理解をした、メモに目を通すと内容が変わる。俺は叫びだした。動けない体でメモを見ないようにしても、目の前の幽霊達がずっと語りかける。
「助けてくれ」
メモを手にした男が懇願する。俺は悲しそうに彼を見る。
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