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SS 自己認識ゲシュタルト崩壊 【メモ書き枠】

私は鏡が好き。鏡に映るのは楽しそうに笑う少女。私はその顔が大好き。私は鏡と話をする。鏡に居る子も一生懸命にお話をする。

「ねえ?この世界は広いの?」
「ねぇ?この世界に神様はいるの?」
「ねぇ?……」

質問ばかりで私は笑う。鏡の中の子は嬉しそうに笑う。そんな毎日は退屈しない。

鈍い音がすると痛みは後からくる。強い痛みは私を混乱させると同時に強い憎しみを感じる。養父は私が、かわいくないらしい。太ったニキビだらけの私を憎む。別れた母親に似ていると言う。私を置き去りにして消えた母親。

「ぶくぶく太りやがって!」

私は養父を見ると笑って見せる。頭の頂点部に強い痛みが走る。拳骨で殴られた。

私は部屋に戻ると鏡を見る。悲しそうなのに笑っている少女はかわいい。私は養父が憎いと訴える。私はあいつを殺したい。鏡の私は笑うと寝てる時にドリルで穴を開ければ良いと教えてくれた。工具箱から出すと、養父のこめかみに穴を開けた。泥酔した養父は起きる前に死んだ。

「ねぇ私はかわいくないのかな?」
死んだ父親の横で鏡を取り出す。鏡の少女は太った醜い少女だ。本当に醜い。
「あなたは醜いわ」

鏡の女の子は頭にドリルを向けた。こめかみにドリルの歯が当たる。きっと私が悪口を言ったせいだ。ごめんなさいね。スイッチを入れると焦げた臭いがする。

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警察の現場検証で娘が父を殺した事は判る。ただ鏡に痩せた女の子の絵が貼られていた。絵の女の子は、頭にドリルで穴を開けている。警察は不信に感じると殺人の捜査もした。変質者の殺人犯のメッセージと解釈したが証拠は無い。自殺として片付けられた。

終わり

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