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読書録 島本理生「2020年の恋人たち」

最近、島本理生さんの本にハマっている。「ファーストラヴ」と「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」を読んで以来、島本さんの描く女性の華奢で繊細な文体が好きです。(伝われ)

今回読んだのは「2020年の恋人たち」

土日で全部読み切りました。まぁ、面白かったです。

※今回の読書録はネタバレがありません。

2020年の恋人たちの主人公は32歳、独身。突然の事故で母親を亡くし、母親が始めるはずだったバーを引き継ぐという新たなことに挑戦する。その中で多くの人と出会い(恋愛、友情含め)、別れを決断する。

人との出会いと別れ

25年生きて私はやっとこさ人生がどう回っていくのか、少しずつ理解し始めた。

人生は出会い、別れを繰り返していく

ごく当たり前とも言えるべき原理。この小説のテーマともいえる。

学生時代の友達とは少しずつ疎遠になる。ふと「あの子元気かな?」とか思いながらも、なかなか連絡は取らないまま。

去年、初めての恋人との別れは、私にとってかなりショッキングな出来事だった。その人が好きというより、縁を切ることが苦しかった。でも、少しずつ少しずつ自分の身体に染み付き、今は「これが人生」と割り切れるようになった。

今まで何人の人と出会ってきたのだろうか。旅行で偶然出会って一緒に旅した友達や留学時に助けてもらった友達とか、短い期間の関わりだったのに私は今でも思い出すことがある。

別れは苦しい。でも、苦しいと思えるくらいの相手に出会えたこと自体がとっても美しいことだと思う。

別れと同時にまた新たな出会いもあるわけで、それがまた積み重なっていく。

出会いも別れも素晴らしい、そう思える人生でいたい。

強く生きる女性はかっこいい

島本さんの小説ってとても女性的。女性でしか表現できない描写がたくさんある。

25歳独身の私も正直、自分がこの先結婚するのか分からない。だから自分で自分の幸せを見つけられる人になりたいと思い、自立した女性に憧れてしまう。

仕事も一人前にこなし、私生活においても決断できる主人公、葵の生き方に自分の将来が重ねて、私だったらどうするか考えながら読んでいた。

世の中は不安定なものが多い。だけど、「自分」は揺るぎない存在である。

この小説を読んで自立した女性になれるように、「頑張るか」って背中をゆるく押してもらった。

美味しいものを食べるって本当に幸せなことなんだな

この物語はお酒とご飯を楽しむシーンが多い。

仕事終わりに女性が一人で居酒屋、とってもかっこいいと思ってしまう。

主人公が出張で京都に行くシーンも好きだ。夜遅くにご飯屋さんを探し、地元の料理を食べる。知らない土地で食べる食事は楽しい。食べてみて分かる初めての味。隣の席にいる知らない人と話す、予想もしない小さな出会いである。

結婚しても一人でふらっと出掛けるという夫婦も見たことあります。一人で自由に気ままに過ごすのって時には必要な時間ですよね。

コロナが終われば、小説のような世界に戻れるかもしれない。そんな期待を想像しながらわくわくした。

あと、この物語で好きな場面は恋人と行く弾丸スペイン旅行である。「弾丸」旅行、いいなと持った。それだけでわくわくしませんか。

完璧な旅行じゃなくても、別に豪華なホテルでなくて良い、ふかふかのベットがあれば十分。現地で買った新鮮な魚介、野菜を食べながらお酒飲むって幸せだろうな。

幸せは人それぞれだけど、美味しいものを食べる喜びはみんな共通なのでは。私はいつでも食事に感動できる人間でありたい。

つらつらと書きましたが以上です。

おうち時間、時間があれば、ぜひ「2020年の恋人たち」読んでみてください。



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