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ロバの耳

途中、起きることなく朝を迎える。アラームが鳴ったのは7時15分。目を閉じて次にスマホの画面をみると7時20分。許容範囲内だ。起きあがって洗面所に向かう。洗面台よこのフックにかかる紺色のヘアバンドを手に取って髪を束ねる。蛇口をひねって出てくる水に石鹸をくぐらせて泡立てる。顔全体に広げた泡を両手で掬った水で洗い流す。

自分のなかにあって、表現できていない言葉を思う。そういうのは、いつも溢れそうでいて、身体に染みこんで、蝕んでいくようなイメージ。言葉にすると、どうなるのかを考えて、我慢する言葉がいくつもある。いや、無数にある。もっと自由に言葉にしたい。言葉にして伝えたい。本当はこういうこと。こういうことだった。なぜそのようにするのか。そのようにしたのか。言えない言葉、言えなかった言葉。

手に取ったタオルで顔を拭く。ヘアバンドを外してフックにかける。鏡をみると右後ろの髪がはねている。水を少量手に取ってそのまま髪につける。タオルで抑えてみるけど、はねたままだ。

もっと散歩しよう、自由に歩こう、疲れない程度に。自然に歩こう、あてもなく歩こう、それで良いから。今夜は、誰かの文章を読んでみよう、それも自由だ。ぼくは、ぼくのことを、大切に扱うことができる。そういう可能性だって、あるのだから。

今朝はこんな感じで。


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