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矛と盾を今に

今を生きる、という生き方を試みると、今と感情が分離しそうになるけど、やる価値はあると信じて、今ここに意識を向けて、彼は過ごす。

一瞬、気持ちが軽くなって、その積み重ねでどこまで行けるのか、今よりも良い状況になるのならと、その方針で彼は続ける。

時間を確保して書くのは、息ができるからで、空気は、ほぼ無限に、今のところ、彼が生き切るくらいは提供されていて、空気をください、と彼女に懇願しなくても、彼の周りに贈り物として存在する。

眠たさは残るけど、電車のなかで眠れそうで、空調、涼しさ、心地よい風、電気によって風が届いて、呼吸できる、眠たさがある、ダイニングのテレビから高校野球のアナウンスが聴こえる、アルプスの歓声は幻聴なのか。

扇風機の風を受けてタイピングする、安心できる場所、穏やかな心、体組成計に乗ると、体重が増えていて、深呼吸して、家を出るタイミングのアラームが鳴らなくても、やるべきことは変わらないから、粛々と今を生きるのが彼の状況。

ひとつの今を生きて、書きにくい状況を、また越えて行くのは、書くことは今を生きる行為で、過去と未来が含まれる様々な矛盾が、今を生きる、というただ一点の接点で集約されるタイピングは、今を生き切る一つの行為だから。

眠たさがあるのは、夜が遅いからで、時差出勤で朝が遅くなり、夜が遅くなるのは、本末転倒で、故にしっかりしようと目を見開き、この愛おしい世界で過ごす。

スマホのアラームが鳴り、彼は椅子から立ち上がる。


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