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産地に行く価値〜一次情報=五感で得られる情報〜

情報には一次情報や二次情報、それ以下の情報がある。

一次情報とは、本人の体験や調査など直接見聞きして五感で得た情報である。
二次情報とは、インターネットや本など誰かが発信し、誰かを介して得られた情報である。

どちらに価値があるのか。

それは一概には言えず、目的によって選び取ることが重要である。
そのうえで、本記事は伝統産業における一次情報の大切さに触れていく。

<一次情報と二次情報の信頼性>

現代はインターネットによって、誰しもが得たい情報を広い範囲で得られるようになっている。その二次情報には少なからず〝発信者の意図や解釈〟が含まれる。
それゆえ、一部の情報の切り取りが行われたり、意図的なフェイクニュースも生まれたりしている。なので、その情報が事実かそうでないかを見極める目が必要になっている。

商品においても(必ずしもとはいえないが)二次情報に乖離が生まれてしまうものである。インターネットで注文し、手元に届いた結果「なんかイメージと違った」となることもしばしばあるだろう。どれだけ時間を費やして調べても埋められない差異はある。

とはいえ、人は二次情報を得てから一次情報に至る行動を起こすことが大半である。
二次情報がないと存在を知ることさえもできない。

したがって二次情報も必要なものであることには変わらない。

ただ
〝誰かの発信する二次情報よりも自らの五感で得た一次情報の方がより確実に信頼に足る〟
ものであるだろう。

<NIHONMONOプロデュース・中田英寿さんの話>

〝にほんのほんもの〟を巡る旅マガジン『NIHONMONO』をプロデュースする中田英寿さんがお話しいただくフォーラムに参加した。
中田氏はプロサッカー選手を引退後、日本全国47都道府県2000か所を越える地域を巡ってきた。各地域固有の魅力を感じる一方で、情報発信が十分ではない現状を目の当たりにしてきたという。

「文化というのは生活の積み重ねであり、伝統産業は生活に密接に関係している。伝統工芸でも日本酒でも、その産地ならではの魅力がもともと備わっている。しかしその土地にいる人はそれが当たり前すぎて魅力に気付いていない。他にないどれだけ凄いことであっても、正しい根付が出来ない。僕がやっていることは、すでにある〝価値〟を発信していくこと」
と中田氏はおっしゃる。


伝統産業において
当たり前な環境でありすぎるがゆえに当事者でさえ気付いていない魅力
がそこにある。
だからこそ、いかに外部から産地に訪れその〝価値〟に気付く者が現れるか、一次情報がいかに大切かということに気付かされた話である。

<産地に行く魅力>

産地に訪れ街の雰囲気を感じる。
作業場に行き生活の中での産業に触れる。
周辺情報を知ったうえで従事者の話を伺う。

すると少しずつ深い魅力に気付いていく。

産地に行く魅力。
それは
①代々繋がれてきた伝統を感じる
②物事の背景を五感で知る
③二次情報の深い意味合いを知ることができる

ということである。

①代々継がれてきた伝統を感じる

現代では記録による教えが存在するところもあるが、口伝や修業で身に付けなければならない伝統は今でも残されている。やり方を教わることでもある程度の技術は身に付く。しかし伝統の業は、師匠を見て学び自分で経験を積むことでしか身についてはいかない。代々〝受け継がれてきた道具〟を用い、長い年月をかけて身に付けてこられたその〝伝統の業〟を目の当たりにできるのが産地である。

②物事の背景を五感で知る

我々消費者は普段、完成されたものにしか触れることはない。
しかし、物が出来上がるまでにはその過程があり時間を必要とする。技術面でも、一人前になるまでには制作や稽古を繰り返し長い年月を要する。
産地に行くことで、制作場の環境や道具に触れ、制作過程で生じる香りや見えなかった苦労などを〝五感〟で捉え、完成するまでに要した背景を(ほんのわずかではあるが)疑似体験することができる。

③二次情報の深い意味合いを知ることができる

事前に得た二次情報と①②で自らが産地で感じ取った一次情報を絡み合わせる。
さらに従事する方の話を直接伺うことで、二次情報の深い意味合いを知れ、情報に奥行きが生まれる。

そうすることでより魅力的で唯一無二な情報となる。

<まとめ>

私は、産地に行くことによってこそ
『その伝統に脈々と受け継がれ続いてきた息遣いを感じられる情報』
に触れてきました。

伝統産業において重要なことは
〝情報としての二次情報〟
ではなく
〝生活背景を感じさせるぬくもりある二次情報〟
をいかに届け魅力を伝えるか、であると感じています。

興味を抱いた伝統産業があればぜひ一度、産地に訪れてみてほしい。
そこには〝五感〟でしか感じ得られない情報があふれています。

だからこそ私はこれからも産地に訪れ、五感で感じ得た『伝統産業の息遣い』を届けられるよう〝一次情報〟にこだわり発信していきます。

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