【読書感想文】2024年 課題図書『アフリカで、バッグの会社はじめました』
水は低きに流れ、人は易きに流れる
誰もが実感していることだろう。
半世紀以上も人間稼業を営んでいると、色々な人と出会う。その多くは易きに流れている印象を受ける。
もちろん、私も「あっ、易きだ!」と思えば、一目散に流されてきた。誰よりも先に。もし、易きが見つからなければ、自分で川を掘り、水を引っ張ってきて「流れるプール最高~」と叫びながら易きに流されようとしてきた。
一方で、多くの易きに流れない人とも出会ってきた。易きに流れないどころか、鮭が遡上するが如く、群れになって流れに逆流している人たちもいた。
流れに逆流している人に会うには、移住者を探せばよいだろう。鮭が遡上する様をこと詳しく見聞きできる。しかも、スリリングかつドラマチックにだ。ただ、わざわざ困難な道を選ぶ人たちの生きる様は、易きに流れる私からすれば眩しすぎて直視できない。
以前、取材で訪れた「長尾と珈琲」のオーナー長尾さんは、阪神淡路大震災の直後、大阪から福井県の池田町に一家で移住した。
池田町では農家を営んでいた長尾さん。50歳を過ぎてから数千万円の借金をして古民家カフェを開いたという。
「へぇ~~、すごいですね。その歳から借金なんて……」
と、自分には絶対にできないことだと感心して話を聞いていると、隣に座った常連客が20年来の友達のように割り込んできた。なんでも、60歳を過ぎて億単位の借金をしたという。
何だここは?
異次元か?
群れだ。群れのなかに紛れ込んでしまったのだ。私は息苦しくなり、思わず川からピョンっと飛び出してしまった。
彼らは言う。
借金なんか、最後は踏み倒したらええねん!
そんな冗談を言いながらも、彼らは今日も産卵場所を探して遡上し続けているのだ。なんと恐ろしい群れなのだろうか。
「長尾と珈琲」に関しては、下記の記事を見てほしい。そして、池田町の近くを通ったら、ぜひ珈琲を堪能してきてほしいと思う。群れに飲み込まれないように気を付けながら……
国内移住者の話を聞いて驚いている場合ではい。視野を拡げれば、世の中にはもっと驚くような人がいる。
アフリカに移住?
元銀行員の仲本千津さんは、単身でアフリカのウガンダに移住。単純にアフリカに移住しただけでなく、寄り道が人よりも多めの女性だ。
寄り道が多いということは、鮭がずっと遡上し続けているようなものだろう。体力が尽きるまで、否、体力が尽きてもなお上流へ上流へと遡上し続けるに違いない。
寄り道は多くても決して易きに流れない
1984年生まれの仲本さんは、一橋大学大学院法学研究科修士課程を修了後、日本の大手都市銀行、アフリカ支援NGOでの勤務を経て、ウガンダへと乗り込んだ。
寄り道が大渋滞
仲本さんは国連職員を目指したり、英会話サークルに入ったり国際関係論を学んだりと、情報過多で処理しきれない。大渋滞どころか停滞状態だ。
どう考えても、あえて舗装されていない、歩くのもままならないような獣道を選んでいるとしか思えない。
仲本さんの子どもの頃の夢は、医師だった。命を救う仕事に就きたかったという。医師への夢を諦めた結果、社会起業家となり世界の貧困を救うことになった。
子どもの頃の夢とは違う形で命を救っているのだ。遡上し続けて辿り着いた場所は、最初に思い描いていた場所のすぐ隣だった。
仲本さんは寄り道が多いかもしれないが、決して易きに流れることはなかった。そこが、すぐに易きに流れる私とは大きく異なる点だ。
こんな私でも、今から仲本さんのようになれるだろうか……
大学受験で志望校を一旦下げてしまうと、上げられなくなると聞いたことがある。しかし、諦めることはない。易きに流れた人であっても、人生は何度でもやり直しができるのだ。
「人生にリセットボタンは 無いけれど、スタートボタンは何回押してもいいんじゃないかな」
そんな風に尊敬している「ローラだよ」が言っていた。
仲本さんはきっと何度も何度もスタートボタンを押したのだろう。常に上を見て。上を目指していれば新たな道が拓けるに違いない。仲本さんはそれを知っていた。
ウガンダのシングルマザーたちも、そんな仲本さんに勇気をもらい、縫製技術を学んだことだろう。
日本でもシングルマザーが子育てをしながら仕事に就くことは難しい。ウガンダではどうだろうか。おそらく、日本以上に厳しい状況だ。
シングルマザーを取り巻く環境を変えるには、意識を変える必要がある。仲本さんは社会起業家となり、環境を変えるきっかけを作ったのだ。
現在、仲本さんが経営する『リッチ エブリデイ』のバッグは日本で大人気となっている。仲本さんやウガンダのシングルマザーたちの努力の賜物だろう。
ウガンダの貧困率は日本とは比べ物にならない
国民の約7割が1日3.2ドル(約350円)、9割近くが1日5.5ドル(約600円)以下で生活している。単純計算で350円×30日=10,500円、つまり約1万円だ。
1カ月1万円生活
まるでテレビの企画のようだが、ウガンダは約7割の人が1カ月1万円生活を強いられていることになる。しかも、トンネルの出口は見えない。
2021年の東京オリンピックで、ウガンダの選手が帰国したくないと言って失踪した事件は記憶に新しい。「いや、帰れよ!」と心の中で思っていたことを、今は恥ずかしく思う。
ウガンダは、私の想像をはるかに超える状況なのだ。会社の給料が上がらなず、モラハラ政治家のように怒り狂っている場合ではなかった。
もし、あなたに給料が上がらずに怒り狂うパワーが残っているのなら、仲本さんのように社会起業家を目指してみてはどうだろうか。
社会起業家とは、社会問題を解決するために企業する人の事を指す。今こそスタートボタンを押すべきときかもしれない。
まだ遡上する体力は有り余っているはずだ。
読書感想文は興味を持つことから(まとめ)
『アフリカで、バッグの会社はじめました』は、中学生の課題図書となっている。自分自身が中学生のときに出会いたかった書籍だ。
まだ読んでないけど。(笑)
今回も『読書メーター』とAmazonのレビューを読んで読書感想文を書こうと思ったところ、著者の江口絵里さんが第1章部分をまるごと公開してた。
不思議なもので、『読書メーター』とAmazonのレビューを読むだけで、書籍を読んだ気になってくる。ただし、細部まで知るには、きちんと読まなければならない。
今回は、試し読みができたことで、書籍の雰囲気も味わえた。さらにリテラさんのnoteも 勝手に 参考にさせていただき、完成度はより一層高まったと思う。
書籍を読み、仲本さんの背景やウガンダの状況に興味をもつことで、より深い読書感想文は書けると考える。興味を持ち、疑問を感じたらすぐに調べるのがおすすめだ。
そして、『アフリカで、バッグの会社はじめました』が気になったら、すぐに書籍を購入してほしい。図書館で予約待ちをしていたら、夏休みが終わってしまう。
そうなる前に、Amazonで購入しよう。
読書感想文はたった2,000文字でいいの?
『青少年読書感想文全国コンクール』の要項によれば、読書感想文の文字数が以下のように決められている。
中学校の部門は2,000文字以内。今回は 書籍を読まずに 約2,000文字の読書感想文を書いてみた。
2,000文字は多いと感じるかもしれないが、考えていることを全て書き出すには少なすぎる。だから、思いの丈を書き殴ったら、今度は不要な贅肉をそぎ落とさなければならない。読書感想文は、その作業の繰り返しなのだ。
楽しみながら取り掛かってほしいと思う。
読書感想文の代筆は行いませんが、そのほかのお仕事依頼をお待ちしています。
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