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農業の経営は、自然の法則には逆らえない。

こんばんは、ひらっちです。今日は、朝から原稿を1本書き上げて、農家さんとの打ち合わせへ。野菜の新しい販売モデルを確立するため、いろいろと議論をしておりました。その後は事務所に戻って執筆作業。合間に1件、リモート取材を済ませ、やっと原稿を書き上げたところです。晩御飯を挟んでもうひと仕事したいところですが、明日の朝は早そうなので、今日はこのあたりで切り上げようかな?

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

■親元、非農家、Iターン、Uターン・・・。新規就農にもいろんな形がありまして。

あらためまして、ひらっちです。今日は「農業」をテーマに書いてみたいと思います。

このnoteでも何度か書かせてもらっていますが、僕は非農家から新規就農したこともあって、「農業を始めたい」という方から「見学させてほしい」「話を聞いて欲しい」といったお願いをされることが度々あります。

新規就農者といっても、大きく分けて「親元」と「非農家」の2つのパターンがあります。「親元」というのは、簡単に言うと「実家が農家」というパターンです。「これを新規と言うのか?」という議論もありそうですが、別の仕事をしていた人が実家に戻り、農業を新たにスタートさせるという点では、確かに「新規」と言えなくもない気がします。

一方、「非農家」からの新規就農は、「新規」という言葉が持つイメージにより近いかもしれませんね。農家出身でない人が新しく農業を始めるわけですから。ちなみに、この「非農家からの新規就農」のなかでも、「縁のある土地」or「無縁の土地」という分け方ができるかもしれません。「非農家」かつ「全く縁のない土地」というのは、よほど受け入れ体制が整っていない限り、なかなかハードルが高い選択肢かな、と個人的には思います。

僕の場合、非農家ではないものの、新規就農をしたのは、住み慣れた地元です。その点では、全く縁のない土地でスタートするよりは、だいぶマシだったと感じています。地域とのつながりという点もさることながら、うまく両親を巻き込んで繁忙期のマンパワーを確保できたというメリットも大きかったです。

とはいえ、非農家出身であることには変わりありません。僕は比較的恵まれていたと思いますが、「親が農家」というのは「ものすごい印籠」を手に入れた状態でスタートするようなものです。その点では「スーパーハードモードではないものの、「ハードモードでプレイしている」とは言えるわけで、非農家から新規就農を考えている人は、必然的に「親元」の方ではなく、「非農家」の僕から話を聞きたい、と、こうなるわけですね。

■頑張って売上をアップしようとしても、作物の成長スピードには逆らえない

というわけで、いろんな新規就農希望者の方の話を聞いていると、結構ありがちなのが、「僕は3年後には数千万円を稼げるようになりたい!」といった壮大な夢を語り始めるケースです。

「農業は、やり方次第で儲かるよ!」っていうメディアの取り上げられ方をよく目にするからなのか、この手の血気盛んなベンチャー気質の方に遭遇することがあったりします。

やる気があるのは大いに結構です。こうした起業家精神あふれる方が、農業分野に飛び込んでくれることはいいことだと思いますが、その一方で「ちょっと待って」と思うところがないわけではありません。

なぜなら、農業は基本的に「自然の摂理には逆らえないビジネス」だからです。

僕は、以前からフリーランスとして仕事をしています。例えば、今年はめちゃくちゃ頑張ろうと気合を入れ、駆け出しにも関わらず「よし!今年は売上1000万円を稼ぐぞ!」と目標を設定したとします。もちろん、いきなり取引先を開拓し、たくさんの仕事を受注するのは難しいことではありますが、それでも「物理的に100%無理か?」と言われたら、なんとかなる可能性もゼロではありません。

その一方で、「農業はどうか?」というと、なかなかそういうわけにはいきません。基本的に農地がなければ作物は育てられないし、野菜が収穫時期を迎えるまでの時間を早めるのにも限界があるからです。つまり、売り上げは「自然の摂理に従って考えざるを得ない」ってこと。今後は「植物工場を24時間稼働させる」といったことも可能になるかもしれませんけどね。。

以前、僕のところにやってきた人のなかには、「3年後には売上2000万円を達成するんだ!」とおっしゃる方がいました。

ただ、土地を持っているか?といえば、全くない。いや、それは無茶ですよ。「チャレンジする前から無理と言い切るのか?」と言われる方もいるかもしれませんが、それだけ農業は「時間がかかるビジネスだ」ってことです。

例えば、タマネギは10月頃に苗を植え、5月ごろに収穫するのが一般的です。最近では極早生品種なんてものもあって、地域によっては年内に出荷できたりもしますが、成長が早い葉物野菜のように「すぐに出荷して売上確保!」なんてことにはならない。種からスタートすればもっと長い時間がかかります。

売上がもっとたくさん欲しいから「おいタマネギ!早く成長しろよ!」と発破をかけたところで、タマネギ君たちは言うことを聞いてくれません。自然の摂理に多少抗うことはできても、完全に離れて経営をすることはできないのが農業の難しいところ。だから、大企業の参入が難しいわけですね。株主は、どうしても短期の業績を求めますから。

■まとめ

農業については、以前にもこんな記事を書かせていただきました。

まあ、あのユニクロの柳井さんも、農業分野からの撤退を決断したのは有名な話。どうしても短期で結果を出すのは難しいビジネスです。

そう考えると、最近企業の参入が増えてきているとはいえ、一部の作業を効率化しやすい作物を除けば、まだまだ大企業が参入するのは難しい、と言えるかもしれませんね。

IoTだ、AIだ、DXだ、なんて言っている変化の激しい世の中で、「ま、どっしり構えて、のんびり行きましょう!」なんて、なんだか時代錯誤な感じを受けるかもしれませんが、自然の摂理という「参入障壁」に守られながら、短期の結果を求められる大企業では立てない土俵で相撲を取るというのも、なかなか味わいがあっていいものですよ!(^^)


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