部屋の窓を開ける
最近、部屋の窓を開ける。
一日中家にいるとなんだかむさ苦しい。ごろごろしていても、なんだか憂鬱で閉塞感がある。視界が、世界が狭い。そんなことを思うようになったのは最近で、つい最近までは自分だけの密室空間が好きだった。
ひとりでいるときも、家族がいるときも、しんとした部屋で過ごすと思考回路が鈍くなる気がする。
それで考えついたのが、窓を開けるということ。
憂鬱なときリラクゼーション音楽を聴くが、それには鳥の囀りが含まれていることが多い。イヤホンを外して代わりに外に耳を澄ますと、本物の鳥の鳴き声が聞こえる。録音より生配信の方がいいに決まってる。
窓を開けると、風が入ってくる。鳥の囀りが聞こえる。これが不思議と癒される。心がすーっと落ち着き、人工的な癒し音楽とはまた違う天然の美しさがある。世界が広くなり、自分が小さくなり、そのギャップで心の余白ができる。
秋の朝や夕方は寒いけれど、そういうときも少しだけ隙間を作って風を入れる。
冷たい風が入ってくる。
制服にパーカーをかぶって、札幌の街をひとり放浪していた頃を思い出す。秋を感じる。インスピレーションが湧く。
天才は散歩をする習慣があるという。散歩と天才がどう繋がるのかはよく知らないけど、今の私には日常生活に散歩の時間を入れる余裕はないし、現実的な話、夜にひとり田舎道を歩くのは防犯的にも生物的にも危険だ。だから窓を開けるくらいが今は丁度いいのかもしれない。
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