見出し画像

Stay Home中に見つけたドキュメンタリー映画3選

はじめまして!デザイナーのRinです。

WOWに新卒で入社してから今年で3年目を迎えました。
学生時代に渋谷オフィスでインターンを始め、入社一年目からは仙台オフィスに勤務しています。サウナが大好きです!そして、最近は虹プロにハマってます。よろしくおねがいします。 

さて、今回私がご紹介するテーマは、
STAY HOMEで見つけたドキュメンタリーです。

なぜこのテーマを選んだかというと、
今年は、緊急事態宣言下での異例のゴールデンウィークでした。
そんな中、私はずっとアマプラ・Netflix・Huluを貪り見ていたからです。いつもは海外ドラマ(ブレイキングバッド大好き)ばかり見ているのですが、あまりに時間があったので普段見ないドキュメンタリーを観ていました。
そこで出会った作品から、
展開、演出、映像美の3つの観点でスゴイ!と感じた作品をご紹介します。

1. 展開がスゴイ!
「EXIT THROUGH THE GIFT SHOP (2010)」
Amazon Prime Video

第83回米アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされて話題となった、覆面アーティスト・バンクシーが初監督を務めたドキュメンタリー映画。

この映画を観て、ドキュメンタリーの既成概念がぶっ壊されました。
今までは、監督が主人公の深掘りしたい素顔を撮って、あまり脚色せず素材のままお届けする映像がドキュメンタリーだと思っていました。
しかし物語は、予期せぬ展開に進んでいきます。

主人公は、陽気なおじさんティエリー(いかにもお調子者っぽい笑)。

画像1

彼は、古着屋を経営しながら、趣味のカメラの延長でストリートアーティスト達の創作活動を撮影していました。ひょんなことから、昔からファンだったバンクシーと出会い、行動を共にするうちに「僕の映画を作ってくれ」と依頼されるようになります。しかし、編集された映像を見て、おじさんに映像作家としての才能が絶望的に無いと感じたバンクシーは「カメラを置いてアーティスト活動をしたら?君の方がおもしろいから君を撮ろう。」と提案します。敬愛するバンクシーに言われるるがままストリートアーティストに転身し、「アーティスト活動」に没頭していくおじさんを主人公に撮影が始まります。

古着屋店主から映像作家になり、撮影していた側が、撮影される側に。そしてバンクシーファンだったおじさん自身が「アーティスト」に変貌する。起承転結ならぬ、起承反転結の展開。

画像11

画像12

画像13

予期せぬ展開なのに、鑑賞者が置いてけぼりにならなかったのは、おじさんの目線が最後まで残っていたからだと思います。異常なまでに情熱的なおじさんの残像があったから、後半でバンクシーの目線が合流しても、終始一貫していたのだと。交わることのなかった2人が生み出す予測不能の実話に、最後まで目が離せませんでした。

そして観賞後、バンクシーが現代アートに訴えたかったことをおじさんが体現していることに気が付きます。

バンクシーが世界に何を訴えたかったのか?ぜひ自分の目で確かめてみてください!

2. 演出がスゴイ!「NOTES ON BLINDNESS (2016)」Netflix

失明した主人公が、自らの目が光を失っていく様子を肉声で記録。
実際に録音された彼の声に役者が口を合わせて演じています。

これまで見てきたハンディキャップを持つ人にフォーカスしたドキュメンタリーは、本人以上の感情を演出によって植え付けられていた気がします。それは、自分が感動することによって誰かが嫌な気持ちになる場合があると感じたから。事実に基づく苦しみを第三者の目線で伝えてしまうと、 誤った印象を与えかねない。

この映画は、記録した肉声によって展開されていくので、本人が感じたこと以上のことがない。ここがスゴい。

主人公が徐々に光を失っていく、恐怖。そして、視界が真っ暗になった時の心情。失明後、音によって世界が形成されていく様子。その景色は、本人にしか感じることはできませんが、彼の言葉と丁寧に作り込まれた映像によって表現されます。

映画を通して印象的だったのは、雨のシーン。
主人公が「雨は周囲にある物の輪郭を浮かび上がらせる」と発した言葉から、彼の「見ている」世界が映像で表現されます。

画像2

画像3

画像4

視界が遮断されて視力を超えた世界は、音によって形を成す。「目にはみえない世界」を、映像によって体験することができた。それは、映像が果たす役割であると改めて気づかされました。

視覚から得る情報がない景色を、記録した肉声と映像から鑑賞者が想像する。ドキュメンタリーでもドラマでもない、新しい演出によって制作された映画に出会えることができました。

3. 映像美がスゴイ! 「東京オリンピック (1964)」Hulu

1964年の東京オリンピック公式記録映画。市川崑が総監督を務めた。
リハーサルの際に、人間が豆粒にしか見えなかったため、望遠レンズの必要性を痛感して死に物狂いで103台のカメラを用意。それも、当時一般的に使用していた200ミリ、300ミリではなくて「絶対1500ミリ!」と監督が主張。とにかく機材を揃えるのに苦労したというこの映画。

公式記録映画でありながら、「記録か、芸術か?」と賛否両論があったようです。

それもそのはず、競技の結果や展開を映しているのではなく、選手の表情や筋肉の躍動感、極限状態の唸り声など、選手の内面の状態にクローズアップしています。そして、そのカットがまた独特。

画像5

画像6

画像7

レース全体を収めるのではなく、超望遠カメラによってスーパークローズアップで捉えられた映像。その展開によって、次第に選手の内側が映し出されていきます。

個人的に圧巻された競技は、ウェイトリフティングです。

画像8

選手の表情でも、試合の状況でもなく、膝を曲げたスタート姿勢のアップ。

これまでの過程を知らずとも、膝を見るだけで練習の蓄積を感じさせるカット。鑑賞者に想像する余地を与える斬新なアングル。こういった一瞬を、現場で逃さないために市川崑さんは、必死に機材を揃えて撮影に挑んだのだと思います。

また、印象的だったのは、カヌー競技で映し出される水辺の映像です。
太陽の光が反射しキラキラと輝く水面のアップ。

画像9

選手たちが全身全霊を振り絞っている姿と、時おり映し出される抽象的なカット。この映像のコントラストからも、単なる記録映画にしたくなかったという監督の思いが現れていたと感じました。

画像10

ラストの閉会式では、
4年に一度、人類が集まって平和という夢を見ようじゃないか。というテーマでシナリオを書いた監督と参加者の想いが一つになって、「平和の祭典」を楽しんでる様子が映し出されていました。

戦後間もない日本が世界中の人たちと、それぞれの国境を忘れ、人種を忘れ、ただみんな同じ人間として、称え合う平和な姿を観て、4年に一度開催される意味を理解することができました。

----------------------------------------------------------------------------

いつもなら、出かけている週末。しかし、STAY HOMEによって、普段は見ない作品に出会えることができました。

もし気になった作品がありましたら是非チェックしてみてください!

(Writing:Designer / Rin Matsunaga)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?