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献血が10回を迎えた話と骨髄移植を断念した話。

いきなりですが先日、献血の回数が10回を超えました。
10回の記念に素敵な箸を二膳貰いました。
今回のノートはせっかくの節目なので献血を行おうと思ったきっかけや、僕の将来に大きく関わってくる骨髄移植について綴ろうと思います。

献血のきっかけ

まずきっかけです。
これまでにも何度か書いているように、僕は生体医工学という分野を学んでいて、将来は病気で苦しむ人を1人でも救えるようになりたいという夢があります。
でもそれはきっと遠い未来の話で、今この瞬間にも僕にできることはあるんじゃないのかと思ったのがきっかけでその時にたまたま見つけたのが献血でした。

世間がコロナで大変になる前、大学のキャンパスに献血のバスが来ていて、そこで初めての献血をしたのを今でも覚えています。
なんて簡単なんだろうと思いました。

バスの中で血を抜かれている時に担当の方と話した内容を今でも覚えています。
「あんまり献血をしてくれる人は多くなくて、ぎりぎりなんだよね」
そう言ってました。

先述したように僕は将来病気で苦しむ人を1人でも救えるようになりたいと思っています。それと同時に、僕にできることがいま誰かのためになるなら喜んでやりたいと思っています。

だから初めて献血をして、血液が常に足りていないということを聞いた時に、可能な限り献血に協力しようと決意しました。

献血とは

ここからは少しだけ献血について、日本赤十字社のホームページ(https://www.jrc.or.jp/donation/)に記載されているデータや詳細を少しだけ引用いたします。

献血とは、病気の治療や手術などで輸血や血漿分画製剤を必要としている患者さんのために、健康な人が自らの血液を無償で提供するボランティアです。

10~30代の献血協力者数はこの10年間で34%(2011年_約264万人→2020年_約174万人の約90万人)も減少しており、少子高齢化が今後ますます進んでいくと、血液の安定供給に支障をきたす恐れがあります。

輸血に必要な血液を確保するには"毎日"約14,000人分の血液が必要だということも書いてありました。

もうひとつ、輸血を受けた方の声として日本赤十字社に寄せられている感謝のメッセージを紹介します。

未来を信じられたのは、みんなの献血が体の中でずっと支えてくれたから

献血していただいた方に、「ありがとう」を伝えたい

皆さんも、血液が足りないから献血をお願いしますという旨の案内を街中で見た事があるのでは無いでしょうか。

これを読んでくださっている皆さん、ぜひ献血にご協力ください。とは言いません。
献血の条件に当てはまらなかったり、そもそも注射が苦手だったり、それぞれに事情があると思います。
でもお時間があって、少しでも誰かの役に立ちたいなって思っている皆さん、そして僕のノートが少しでもいいなって思ってくださった皆さんにはぜひ献血に足を運んでいただければなって思っています。

骨髄移植について

ここからは骨髄移植について。僕が救えなかったひとつの命の話になります。
先に1つ断りを入れさせてもらいますが、患者さんの特定や個人情報の保護の関係で、時期や詳細については一部省略させてもらいます。

献血をするようになってから少し経った頃、献血ルームで骨髄バンクに登録できることを知りました。
献血を始めたときと同じく、僕にできることならなんでもやりたいと思って、すぐに申し込みをしました。
手続きはとっても簡単でした。数日後には下の写真のようなカードが送られてきました。

献血もそうなのですが大学で専攻している分野がなんとなく近いことから、骨髄移植とかそれが必要な病気についてはある程度の知識はあって、骨髄バンクに登録したからと言って患者さんとすぐにマッチするとは限らないのは知っていました。

しかし数ヶ月後、登録した僕のスマートフォンの番号宛に、僕のHLAとある患者さんのHLAの型がマッチしたという旨のショートメッセージが届きました。
つまり、ある患者さんが僕の骨髄を必要としているよというSOSで、協力しますか?しませんか?という内容でした。

そんなの答えは決まってます。
すぐにYesの返事をしました。

骨髄移植は通常複数人の候補者(何人いるかは候補者に明らかにされません)が連絡を受け、同時にプロセスを進めていき、最も適する方がドナーとして最終的に骨髄を提供するという流れになっています。

Yesの返事をしてすぐに担当の方から連絡を貰い、諸々の説明や各種検査などを行いました。

そして後日、最終的に僕がその時の候補者の中でドナーとして最適であること、だからドナーとして骨髄を提供してほしいということを告げられました。

僕にできることで誰かの命を救えるのなら喜んで協力したい。そう思ってました。
でもそのためには最終同意の場で両親の了承が必要でした。

是非とも協力したいと僕が思っていた一方で、実はあまりやって欲しくないと思っていた両親と何度も話はしていました。

と言うのも僕の意思は理解してくれていたのですが、それでもやっぱり誰かも知らない方を救うために、血の繋がっている自分の息子が少しでもリスクを背負うのは歓迎できない両親と僕の中ですれ違いが生じていました。

結果的には最終同意の場で両親、担当者の方、僕の間で話し合いをする機会を待たずして辞退しました。

僕なりに精一杯考えた結果でした。
一番最優先されるべきは、この瞬間も精一杯病気と戦っている患者さんで、僕が協力してあげたいと思う気持ちは二の次です。最終同意の場まで待っても両親の了承を得られずに辞退する可能性がある以上、患者さんの貴重な時間を無駄に使ってしまうわけにはいきません。
だから、辞退を申し出ました。

正直に言えば、僕に希望を見出していた患者さんのために骨髄提供をしたかったという気持ちは今も変わっていません。
でも、やはり患者さんが第一である以上今回に関しては辞退するというのがあのときに僕ができる判断では最も賢いものだったと信じています。

最終的にこの時の骨髄提供は辞退することとなりましたが、僕の中で決めたことがひとつあります。
白血病や再生不良性貧血など、骨髄移植が必要とされる疾患の研究をするということです。

もともと研究者として細胞やマウスを使った研究を仕事にしたいと考えていました。
それがもう少しだけ明確になり、骨髄移植を必要とする方のために研究をしたいなと思うようになりました。

いつか、そのような病気が難病と言われなくなるような世界になるように、少しでも貢献したいです。
そしてこれからも、可能な限り献血に協力します。

最後に、骨髄を待っていたあなたへ。
骨髄を提供できなくてごめんなさい。
僕以外の誰かがドナーとなり、あなたの元に無事に骨髄が届いたこと、そして今この瞬間を元気に過ごしていることを切に願っています。

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