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ボローニャ・ブックフェア2024(Bologna Children’s Book Fair)に行ってきました!

ワールドライブラリーは2024年4月8日〜10日の3日間、イタリア・ボローニャで開催されたボローニャ・ブックフェア(Bologna Children’s Book Fair)に行ってきました!


ボローニャ・ブックフェアとは

世界三大ブックフェアと呼ばれるボローニャ、ロンドン、フランクフルトの中で唯一の児童書専門の見本市がボローニャ・ブックフェアとなり、世界中の児童書の出版社が集まる大きな商談会です。
毎年、出版社や作家・イラストレータはもちろん、翻訳家や著作権エージェントなど、児童文学に関わる様々な企業・人々が参加します。

ワールドライブラリーは今年もビジターとして参加し、次の新刊を見つけるべく、様々な出版社とミーティングを行なったり、会場を駆け回って絵本を探したりと、例年のごとく大忙しな3日間を過ごしました。

会場の様子をレポート!

ボローニャ・ラガッツィ賞(BolognaRagazzi Award)

毎年、会場の入り口付近でボローニャ・ラガッツィ賞(BolognaRagazzi Award)の受賞作品が発表されています。
ボローニャ・ラガッツィ賞とは、グラフィックデザインや、革新性などの観点から、毎年すぐれた児童・青年向け書籍に贈られる賞で、作家やイラストレーター個人に贈られるのではなく、編集者や装丁者などを含めた総合的な作品として、本そのものに贈られます。
多くの人が、ここでその年の受賞作品を確認します。特に1日目は、この展示の前にたくさんの人だかりができています。

イラストレーターの掲示板

中に入るとまず、イラストレーターたちが自身の作品を貼れる壁が設置されており、多くのイラストレーターたちが壁に自分のポスターやカードを貼っているのが目に入ります。
イラストレーターたちにとって、この場所は自分の作品をアピールする重要な場所です。多くは、アートワークとともに自分たちの連絡先も載せいるので、気になるイラストや作品があれば、コンタクトが取れるようになっています。

1日目の朝はまだ白い余白がたくさんあるのですが、帰る頃にはアートワークでぎっしりになります!
ちなみに、ボローニャ・ブックフェアのウェブサイトでは、オンライン上でイラストを展示できる「VIRTUAL ILLUSTRATORS WALL」を開催しています。

販売ブースは大賑わい!

入り口に近いホールでは、多くのブースが絵本の販売を行なっていることもあり、常に人で賑わっています。
あまりの人の多さに、見たい絵本を手に取るのも一苦労です💦
また、時間帯によっては、イラストレーターさんの売り込みの受け付けや、
作家やイラストレーターのサイン会等が行われているブースもあり、至る所で行列がでていることも。

児童書専門の見本市はブースも個性的!

また会場内では、まさに「児童書専門の見本市」と感じさせる、意匠を凝らしたブースが目を惹きます。ただ絵本を展示するのではなく、絵本のファンタジーな雰囲気や、自分たちの世界観を表現することにも注力する、そうして世界中の出版社が、「ボローニャ・ブックフェア」という空間を作り上げているのだと感じます。

大手出版社「Bayard」社のブースは、木の温かみを感じる作りになっています。
一面にカラフルなイラストを施した「SM」社のブースは、会場内でも一際目立っていました!
( イラストは、昨年の"International Award for Illustration Bologna Children’s Book Fair - Fundación SM”の受賞者のものがディスプレイされています)
まるでジャングルジムのようなディスプレイで、ちょっとワクワクします。
ブースの一面がフリースペースに。さすが世界中のイラストレーターが集まるフェア、イラストもレベルが高いです!

ブースによっては、ちょっとしたお菓子なんかを配ってくれるところもあるのですが、今回ミーティングしたブースのい一つでは、リンゴを配っていました🍎
(海外に行くと、当たり前のようにリンゴをかじりながら道を歩いている人を見かけます。日本ではあまり無い習慣ですね!)

今年のボローニャブックフェアの見どころ

READING FOR A HEALTHY PLANET

今年は、サステナブルな未来のためのエキシビジョン「READING FOR A HEALTHY PLANET」が開催されていました。

環境問題をテーマとした絵本70冊が、世界中から選定され、このエキシビジョンで展示されました。
昨今、絵本業界でもSDGsは大注目のテーマとなっており、会場でも、環境問題やサステナブルをテーマとした絵本をたくさん見かけました。

ワールドライブラリーでも、環境問題をテーマとした絵本をいくつか出版しています。

『ゲコゲコミツメ ふるさとのいけ』
作/オルガ・デ・ディオス
訳/美馬しょうこ
『ちきゅうとぼく』
作/フランク・アッシュ

『ぴぅ!』の出版社より、 パロマ・バルディビアさんが公式カタログのカバーイラストを担当!

ボローニャブックフェアでは毎年、絵本原画のコンクールが行われ、世界各地から多くのイラストレーターが作品を応募します。
そのコンクールに選ばれたイラストを集めたカタログ「Illustrators Annual」の今年のカバーイラストに、『ぴぅ!』の出版社「Ediciones Liebre」社の設立者でイラストレーターのパロマ・バルディビアさんが選出されました!

ステージでインタビューを受けるパロマさん(写真中央)。
「Ediciones Liebre」社のブースには、大きくパロマさんのイラストが掲げられていました。
ボローニャ市内の書店で、カタログがディスプレイされているのを発見!

『ぴぅ!』のシリーズである『¡Crack!』『¡Ajá!』(どちらも未訳)などのイラストも手がけており、近年では、2023年ブラチスラバ世界絵本原画展(Biennial of Illustrations Bratislava)グランプリ受賞や、2024年国際アンデルセン賞にノミネートされたりと、目覚ましい活躍をされています。
また、Liebre社は、同展の2022年最優秀児童書出版社賞(Best Children's Publishers of the Year)にカリブ海・ 中南米部門でノミネートされた実績もあります。
2021年に発売した『ぴぅ!』を見つけたのは、2019年に参加したボローニャブックフェアでした。同年、Liebre社はまだ立ち上げ直後で、初のボローニャブックフェア出展。そこから数年、どんどんと飛躍していくLiebre社を見ていると、嬉しい気持ちと、自分たちももっと頑張らなくては、という気持ちになります。

『ぴぅ!』を出版した際の記事はこちら↓

『あおいよるのゆめ』作者 ・ ガブリエーレ・クリーマさん

ワールドライブラリーの大人気シリーズ『あおいよるのゆめ』、『ようせいたちのもり』の作者であるガブリエーレ・クリーマさんとお会いすることができました!

『あおいよるのゆめ』
作・絵/ガブリエーレ・クリーマ
訳/さとう ななこ

ガブリエーレさんは、同シリーズ以外にもたくさんの絵本を手がけており、その多くが国内外で出版されている、人気作家です。
また絵本に限らず、読みものや児童書など、幅広い年齢層の本を手がけています。

『あおいよるのゆめ』、『ようせいたちのもり』が日本でも大人気であることを、大変喜んでくださいました✨

素敵な絵本を求めて

今年もミーティングに絵本探しと、大忙しのボローニャブックフェアでした。
毎年、ブックフェアに参加する際には、絵本を探すための"軸"をしっかり持ってから臨みます。その"軸"にぴったりはまるような絵本をひたすら探し求めて、足が棒になるまで会場を駆け回ります。
そして今年も無事に、良いと思える絵本をいくつか見つけることができました。そこから更に選び抜かれた絵本たちが、ワールドライブラリーから出版されます。

このブックフェアで出会った絵本を、皆様の元へお届けできる時を楽しみしています。そして、絵本を受け取った方も、素敵だと感じてくれたら良いなと、日々願っております。