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【世界一周・旅のカケラ #18】クラビが心地いい理由。出会いから出会いへ

クラビについての特徴なら、いくらでもガイドブックに書いてある。

一言で言うと、海から突き出た奇岩の数々が生み出す不思議な景観のタイ南部の町。その岩々しさからロッククライミングの聖地のようになっている。

ただ私は私にしかできない経験を書こうと思う。それが次の旅人のTIP(情報)になれば、それは自然な旅情報の循環のカタチ。

さて、到着した日は土地勘のないまま、流れ着いた宿に泊まった私。

翌朝、ある場所へ行ってみた。

そこは日本人女性が運営している某旅行会社だ。クラビに行った人なら、ピンと来る人も多いはず。

当時はスマホもWiFiもなかったから、旅先ではまず長居できる快適なネットカフェを探す。ネットカフェはパソコンを使えるのはもちろん、旅帳や掲示板があり旅人たちの情報が集まる場所でもあったのだ。

新しい土地ではまず私は情報収集に、そういう場所に向かった。

その旅行会社にはパソコンを数台置いてあり、オーナー女性が作る日本食も食べられる料理店だとガイドブックに出ている。

私にとって、クラビのネットカフェはここになるだろうと予想してたら、数日もしないうちにそうなった。

最初、オーナー女性の対応は少しそっけなく見え、私もあまりも馴れ馴れしくしないようにわきまえた。

ただ町の見どころ云々聞くうちに打ち解け、故郷もご近所ということでさらに打ち解けた。笑
さらに「さっき作ったから」と魚の甘辛炒めやらお菓子を次々と出してくれ、「これから旅、長いからねー」とネットのディスカウントまでしてくれる心大きい女性で、第一印象はあてにならないなと思う。

彼女からすると毎日来る数日しか滞在しない旅人の相手を、全力の愛想でできるまい。私も後に海外で観光客を相手にするから、今ではよくわかる。

ただ、私は期間未定の女ひとり世界一周、ということで彼女も少し関心を持ってくれたのかもしれないな。おかげで私はタイのクラビという地で、まった

さて彼女によると、今私が滞在しているのは「確かに野犬が多いエリア」とのこと。結局、翌日にはこの旅行会社のある向かいに位置するゲストハウスに移ることになる。

よってこの旅行会社は私にはネットカフェ以上の存在になり、毎日入り浸るうち彼女から「紹介したい人がいる。もうじきクラビに到着する予定だから」と。

彼女のお店には日本から毎年常連さんが来る。

今回紹介してくれる人もそのうちのひとりで、東南アジアにたびたび駐在する中堅のポジションで働く釣り好きのおじさんだとそう。

旅先というのは、日本では出会わない立場や世代の人とも、初対面から垣根なく話せるのが面白い。

私はその日、昼過ぎに来てオーナー女性とそのおじさんと3人で盛り上がり、気がつけば夜になってしまった。

途中でおじさんは買い物に出たり、女性のタイ人の旦那さんが地元屋台のサテーを差し入れてくれたり、末っ子の娘ちゃんと遊んだりとなんだかホームスティのようなゆるさが心地いい。

私の旅は全体的にスローだから、入り浸るときはこんな風に日がな一日入り浸る。だから出会い立てだというのに、もうそれぞれの身の上話まで済ませてしまった。笑

オーナーの女性を「ねぇさん」、釣り好きのおじさんを「あんちゃん」と呼ばせてもらう。私がそう呼ばせてもらっていたから。

出会った初日、かつてこの地で働いていたあんちゃんが、私にクラビを案内したいと申し出てくれ、一緒に夜ご飯を食べに行くことにした。

この2人のおかげで、私はクラビをより濃厚に知ることになる。

快適なリゾートに泊まってホテルで食べていては、到底知り得ないことを知る。ホテル暮らしの良さもあるけれど、このときの私はこんな風に現地に密着し、日常を楽しむ時期だったと思う。

こうした時間は私の旅の土壌を耕し、豊かなものにしてくれたことは間違いない。

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町歩きしていて突如現れる奇岩
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旅行会社のある界隈
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旅行会社のはす向かいにある、何気にお気に入りの宿

この記事があなたの旅欲を掻き立て、また旅の気分を味わってくださったなら幸いです。ガイドブックにはない、ちょっとディープな旅を書いています。サポートいただけたら、また旅に出て必ずこのnoteにてreturnします♡