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ペット初心者の私が、保護犬と暮らすことになった話②
ちゃんと犬を飼ったこともない私が、あるきっかけから「保護犬を飼おう!」と急に決めて行動し始めた話。前回までの内容はこちらです。
私よりもペットと縁遠かった夫の取り込みに成功したものの、保護団体の「若い共働き夫婦」への風当たりに辟易していた私。
そんな中、ついに我々にも譲渡してくれるという団体を見つけ、「ここしかない!」とすぐに見学を予約。
ここを最後にするつもりで、数日後にさっそく赴いた。
譲渡会に申し込んだ際、前もってHPで里親募集中のワンちゃんの写真を見ていたのだが、実は目当てはまったく違う子だった。
だが、私が譲渡会に参加した時には、その目当ての子はおろか、ほとんどの子の里親が決まってしまっていた。
そんな中、スタッフさんに「今募集中なのはこの2人だけなんです」と言われて差し出されたのが、「そら」。
当時は「ゲンキ」という名前だった。
ゲンキは、ムスっと不機嫌そうな顔をして隅っこで丸まっていた。
名前に似つかわしくないほど、微動だにせず、全く愛想を振りまく様子もなかった。名前負けもいいところだ。
スタッフさんが私に抱かせるために持ち上げようとした時も少し拒んだので、ちょっと微妙な空気が流れたが、なんとか私の膝の上に乗ってくれた。
そうすると、最初はこわばっている様子だったが、おずおずと膝の上で丸くなり、ゆっくり目を瞑った。
徐々に、ゲンキの重みと生暖かい体温が私の膝に広がっていく。
あ、この子、生きているんだ。
今、私の膝の上に小さい命が波打っている。
こんなに無愛想にしているけど、一生懸命、生きている。
「生きている」なんて、動物だから当たり前なのだけど、なんだかその重さに息が苦しくなった。
でも、その苦しさは決して嫌な感じではなくて。
「この小さな命を守りたい」と思った。
この子を守りたい。
静かに私の中で決意が固まり、スタッフさんに「この子にします」と伝えた。
すると、手慣れた様子でスタッフさんが契約用紙を運んできて、署名をしたり飼い方の注意点などの指示を聞いた。その間も、ゲンキは私の膝の上で丸まっていた。
そして、説明を聞きながら、「そら」という名前が浮かんできた。
もともと、犬を飼うならどんな名前をつけようかと候補を考えており、そのうちの一つに「そら」があった。
必ずその名前にしようと決めていたわけではない。
でも、ゲンキを撫でていて、この子が「そら」だ、という確信が芽生えたのだった。
なぜかは、言葉にできないけれど。
そして、家にやってきた、そら。
不機嫌そうというより、ビクビクした顔で部屋の片隅に丸まって、微動だにしなかった。
でも、スタッフさんが「家に迎え入れたら慣れるようにたくさん抱っこしてください」と言っていたので、ガチガチのまま抱っこしてあげたりしていた。
そうすると、だんだん馴染んできてくれたようで、次の日には元気に家の中を走り回っていた。
そして、この笑顔。
これまで、ただただ繁殖するためだけに生きてきた、そら。
この、無垢な犬らしい笑顔を、もっともっと引き出していきたいと思った。
こうして始まった、私たちとそらとの生活。
まだ、そらは完全に私たちに慣れているわけではなく(夫が帰ってくると狂ったように吠えるとか・・・)、本当の家族になるにはもう少し時間が必要だと思う。
でも、そらのお陰で、私たちはたくさんの新しい世界を見せてもらっているのだ。
(続く・・・)
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