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永続的なプロジェクトのKey Factor・タッチダウンミーティングとは?


こんにちは。
Business Development Division に所属しています、夏目と申します。

日本の商習慣に「ニッパチ(二八)」という言葉がある。本来の意味は、1年の中で売上が凹む月のことを指しているが、日本の多くの人事部員さんらと20年来お付き合いをしていく中で、人事部の仕事にも同じことが言えますよね、という共感を得てきた。もちろん、あくまで通年での相対で、の話。そもそも、世の人事部に暇な時など、ないのだが。

前稿を1月15日に上梓したときは、「ニッパチだし2月中に次の稿を書きあげてしまおう」と高をくくってたのだが、思いがけず差し込みのお仕事が多く、まさかの桜が散ってからの公開となってしまった。お恥ずかしい限りである。

ちなみに、ニッパチの「二」で着手していたお仕事の中に、長きに亘りご愛顧いただいているユーザー企業様へのインタビュー企画の取材、というものもあった。これについては、本稿の最後で触れることにする。

コトバの定義 ~そもそも、タッチダウンってどんなミーティング?~

前稿:大手企業のHRシステム導入 3つのKFS ~Key Factor for Success~(後編)では、導入プロジェクトの終了はGoalではなく、永続的な人事業務改善プロジェクトの始まりであり、HRシステムの本稼動は「業務改善PDCAの永続的な基盤を手に入れること」と位置づけていただきたいと述べた。

同時に、ワークスHIでは、キックオフミーティングの対となる位置づけとして「タッチダウンミーティング」という振り返りの機会を、導入プロジェクトの計画にあらかじめ盛り込んでいただくことを、新たなCustomer Successへの始まりとしていることをご紹介した。

本稿では、「そもそもタッチダウンって、どんなもの?」「目的はわかったけど、いつ、誰が、何を振り返るの?」について、When Who What ごとに、それぞれご説明させてもらおうと思う。

When:開催タイミングは「初期流動」の出口で

「初期流動」という言葉は、私の知る限り、もともと製造業で用いられてきた言葉である。製品の出荷そのものは目的ではなく一つの通過点であり、その先にある「安定供給」を真の目的とし、その状態を定義し、それまでの「バリを取る行程」のことを指す。(というのが私の理解である)

まさに、COMPANYが目指しているところも同じ状態。新システムでの業務を開始し、不断の改善活動へとつなげるための業務基盤として一定の水準で利用できることをまず確認し、後続の活動体制に移管していくための期間を「初期流動フェーズ」と呼んでいる。

システム再構築のための体制を解き、導入プロジェクトの「終了宣言」を下すために、その評価期間を設けておくことを、COMPANYの導入プロジェクトでは基本形としている。ちなみに、標準的なCOMPANYの導入プロジェクトは、以下のフェーズで構成される。

 ・プロジェクト立ち上げ
 ・基本計画
 ・詳細計画
 ・設定/単体検証
 ・総合検証
 ・稼動準備
 ・本稼動~初期流動

保守運用体制への移管をシームレスに果たすために、初期流動フェーズの出口に振り返りのミーティングを設けておくのである。

Who:ミーティングの主体は、ぜひ「お客様」に

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COMPANYの製品提供形態は、「ライセンスの利用許諾権を販売する」というものである。当社製品を活用いただくのはほかならぬお客様。ユーザーの手に渡ってから、どれだけ価値が提供できるか(し続けられるか)がシステム投資のROI測定であり、本稼動以降、まさにその評価が始まると言える。

システムの稼動はあくまで通過点。このシステムをどのような体制・役割で活用して(し続けて)いくのか。導入プロジェクトの計画は、この目的から逆算して決まっているはずだ。

その投資目的に対して、今はどの位置にいるのか。それを今後どのように高めていくのか。それを明確にするためにも、ぜひお客様が主体となって振り返り機会を設けていただきたい。

家にたとえるなら、今後の家族が長く快適に住み続けられるように、という目的の元に新たな家を吟味する。その結果、COMPANYという住宅を選んだ方がいる。その住空間や必要な家具・什器・インフラを考える方もいる。昔の家から何を持ってくるか(何を断捨離するか)を決める方もいる。それはすべて、お客様ご自身である。

もちろん、読者の皆様がお勤めの大企業であれば、その「住み替え」をすべて自前で行うのはムリ。引っ越しに使える予算、家族が手伝える工数、等に合わせて引っ越しプランは様々となろう。しかし、引っ越し終了後のお祝いパーティーを、はたして引っ越し業者に任せることなんてあるだろうか?

これまでの暮らしで当たり前のように賄われていた営み(業務)は当然引き継ぎつつも、新たな家に住み続けるにあたっての決めごとを、様々な家族のことを考えながら決めていく作業。

こんな大変なことを成し遂げたお客様は、ぜひ自ら振り返り、成し遂げたことを讃え労い、これからの暮らしについて、自らご近所さんに伝えてほしいのだ。

What:「残課題」と「学びポイント」とを明確にし、今後の活動につなげる

タッチダウンミーテングのアジェンダは、当社からたたき台をご提供している。無論、必ずその通りに実施いただく必要はない。COMPANYは、個社ごとの個別カスタマイズは行わないポリシーを貫いているが、お客様の引っ越し祝いのアジェンダに、必要以上に口を出すつもりはない。そもそも、お客様側で振り返り機会を当然の機会とご認識され、自律的にアジェンダを設定なさることが大半である。事実、当社のご用意するたたき台は「これまでのお客様はこのように実施されましたよ」というノウハウのご提供に過ぎない。

ちなみにたたき台は、以下である。


 ・開会の言葉(お客様側プロジェクトマネージャー)
 ・参加者の紹介(人事部、情報システム部、ワークスHI、その他関係者/社)
 ・タッチダウンミーティング開催趣旨(初期流動で振り返りをする目的)
 ・会社および製品概要(プロジェクト中に着任された方もいるので当社とCOMPANY製品のご紹介)
 ・プロジェクト総括(プロジェクト基本計画書の振り返り、残課題と対応方針の確認)
 ・保守サポートのご紹介(お客様・ワークスHI 双方のメンバーが顔合わせ)
 ・振り返りの一言(プロジェクトによりスピーカーは様々)
 ・閉会の言葉(お客様側プロジェクト責任者)

ワークスHI発足後にタッチダウンミーテングを開催された多くの事例のうち、私が参画していたプロジェクトや、社内でウワサを聞きつけたプロジェクトから、開催にあたって素敵だなと思ったエッセンスを、いくつかご紹介してみる。

①化粧品メーカー様(ミルボン様)

これまでの当ブログの稿で「納期優先のススメ」という点に何度か触れさせてもらっているが、ミルボン様はそれをキャッチーなスローガンとしてプロジェクト基本方針に盛り込まれており、タッチダウンミーティングでもその効果が高かったことが評価されていた。方針をメンバーに展開するに当たっての工夫をなさっていることは、私も非常に勉強になった。ちなみにそのスローガンとは、「①欲張らない ②考えすぎない ③ズラさない」である。五七五の語呂の良さもあり、なぜかクセになりそうのは、私だけではあるまい。なお、プレスリリースが出ていることもあり、お客様に社名公表の了承を得て、ここでご紹介している。


②某建設業様

20年ぶりにシステムを再構築したこともあり、従前のシステムが「なぜそうなっていたのか」から考え、COMPANYではどうすべきかを自ら考える必要があった。それがプロジェクトメンバーひとりひとりの「成長」につながり、実はそれがプロジェクトの副次的な財産として手に入った。そう実感されたプロジェクトマネージャーのお考えにより、1時間のタッチダウンミーティングのうちの20分を割いて「各プロジェクトメンバーの振り返りと今後にどう活かすかの決意発表」をされた。

③某総合化学メーカー様

グループ会社20社を含めた8,000人超の管理対象を同時稼動させたお客様で、「COMPANYを使い倒す」という気概に満ちたプロジェクトであった。その要求水準もあり、実装済みのCOMPANY機能を駆使したものの、製品としてより一層の成長を求める、という機能強化要望をいただき、それに対するワークスHIの対応方針をすり合わせ、その内容をタッチダウンミーティングで合意形成し、保守運用体制に引き継がれた。


タッチダウンでの金言 ~ 労い・成長・次の目標設定 ~

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私のブログは「報われるプロジェクトをスタートさせるために」という稿で幕を開けた。最近ご一緒したタッチダウンミーティングで、その思いのど真ん中を射てくださった金言に触れたので、本稿の最後にご紹介したい。それは、閉会の言葉で発せられた、某製造業のプロジェクト責任者からのお言葉である。曰く、

・長い間、コロナ禍も乗り越え、本稼動までこぎつけてくれたことに感謝する。有難う。
・その道のりでは、日夜時間を費やしてくれたのを見てきた。皆、お互いを労おう。
・その皆の頑張りで、それぞれが大きく成長した。成長を獲得できたのが最大の成果だ。
・手に入れた成長で「日本で最も優れた業務をしている企業」を目指そう。
・私自身も、そこに関わっていく決意だ。COMPANYを使い倒して、頑張ろう。

と。

私はこの時「ああ、今日はWeb会議でよかった」と思った。なぜなら、急に目から大粒の汗が出てきてしまったからである。

こうしたお客様に選ばれ、使っていただけるCOMPANYが、正直、私は愛おしい。これからも、COMPANYをまだ採用していただけていないお客様の「選べない理由」に誠実に向き合い、それを解決していける会社となるよう、微力ながら貢献したいと思っている。

O部長、Aグループ長、最高の金言をありがとうございました!


自社にとって報われるシステムを選べるかどうかが肝

冒頭で触れたように、前稿から本稿を上梓するまでの間には、トッパンフォームズ様への取材で、導入プロジェクトを担当させてもらっていた頃から十数年ぶりに汐留本社の門をくぐる機会があった。ご支援に従事していた当時は、とにかくお客様と一生懸命にやった、という思い出が主であったのが正直なところであったが、十数年の時を経ての取材は、お客様と一緒に改めて振り返りを行うような機会であった。

取材を経て再確認できたのが、「システムがあるから報われる」という図式ではなく「自社にとって報われるシステムを選べるか」が肝要であるということと、やはり「スケジュール通りシステムを使い始め、改善サイクルに早く乗ること」が重要である、ということだ。

取材記事は、当社HPからリンクできる。今後、HRシステムの再構築を検討される皆様には、ぜひ参考にしていただきたい。




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