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コロナ禍でオフィスにこだわる企業15選。リアルの場でしか生み出せないものとは?

新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変化している昨今ですが、そんななか、オフィスのあり方について再検討し、移転やリニューアル、新規設立を実施した企業が数多くあります。

リアルで会うことの価値を再認識させられている今、それぞれの企業がどんな背景で新しいオフィスをつくったのか、そしてオフィスに対してどのような意味を見出しているのか、まとめてみました。

ワークスアプリケーションズ

テレワーク下においては、オンラインコミュニケーションが定着し、オフラインコミュニケーションの頻度が減りましたが、少ない時間でも濃度の高いコミュニケーションができる知的創造空間となるべきオフィス設計を目指しています。

現在、ワークスではオフィスへの出社率を30%以内とする指針を設けており、新オフィスでは座席数をこれまでの1/3程度とし、フリーアドレス制による社員交流の活性化を狙いとしております。また、共有スペースには、リラクゼーションスペースやドリンクサーバーも設置されており、新しいコミュニケーションの創出の一助となることを期待しています。

加えて、移転前の11月には、社内イベントとして“知的生産活動の効率を劇的に向上させるコミュニケーションデザイン”をテーマとしたアイデアソンを実施。社員主導で「ワークス流の新しいコミュニケーションのあり方」を創り上げていく予定です。

Gaudiy

4月には緊急事態宣言の発令や『オフィス不要論』が飛び交うなど、オフィスの価値を見つめ直す機会があり、リモートワーク中心の働き方への移行なども検討しました。

しかし、それでもリモートワークに完全移行するのではなく、リモートワークを併用しつつ、オフラインで集まれるオフィスの必要性を考え予定通り移転する決断をしました。

これは、ブロックチェーン×エンタメコンテンツ産業というGaudiyが取り組んで行く不確実性の高くクリエイティブな領域でのチャレンジにおいては、スピードを落とさずにさらにアクセルを踏んで行くためにオフィスが必要だと考えたためです。

ABEJA

私たちは前述の選択肢②(社員がある程度の自由度を持って働き方を選択できるオフィス)を選択しました。

コスト面の理由に加え、社員全員がほぼ毎日出社することを前提にしたオフィスは、(現時点では)個人の選択肢を狭め、「個人の生産性」や「生活の質」を下げることになるのではないかと考えたためです。通勤時間で人生の時間を消費せず、家族との時間や自己研鑽、新たなチャレンジに時間を費やしてほしいと考えています。

一方で、オフィスは気軽な雑談やコミュニケーションを通じて「チームの関係性づくり」「アイディア創出」を促すための場として持つことにしました。ABEJAで過去に生まれた自由研究的なプロダクトや取り組みは、メンバー同士の気軽な雑談がきっかけで生まれているものが多く、そうしたカルチャーを失いたくないという思いがありました。

メディカルノート

新型感染ウイルスの流行拡大に伴い、フルリモート勤務に切り替わっていたタイミングでの移転でしたが、アフターコロナでオフィスの在り方、働き方においても今後変化していくと考えています。

リモート勤務の環境構築が一気に進んだところですが、オフィスのコンセプトでもある「お客様およびユーザーのためにアイデアを発展させ」「社員同士のコラボレーションできる場の一つ」として、快適な空間提供にこだわり続けます。

FLAKWORKS

今回、リモートワークを推進していくなかで、事務所を持たないという選択肢も検討しました。事務所に掛かっていた経費をスタッフで分配し、個々人のスペースを会社が借りるようなイメージです。しかしこれだと僕のイメージするカンパニーよりもギルド感が強く、どちらかと言えば個人事業主の集合体のようで、会社のワークスタイルとしてはハードコアなオルタナティブ感がまた顔を出してきてしまいます。

“FLAKWORKS"として集まる場所はやはり必要で、毎日出社しないことを前提にした新しい事務所をつくるべきだと考えました。それはどんな場所なんだろう。日々考えを巡らせ、その輪郭を捉えることができても、なかなか答えはでてきません。

ところで、人は必要なときに必要な出会いをする、といいます。なかなかにロマンチックで素敵なことばだと思います。

トレタ

オフィス縮小を行ったことにより、結果として賃料は約50%の削減となりました。

また、空間がひとつのフロアになったことで出社している人同士が顔を見られるようになったので、以前よりも物理的にコミュニケーションがとりやすい環境になりました。

リモートワークがメインの働き方となりましたが、コミュニケーションの場として今後も社員の皆さんがオフィスを活用してくれたらいいなと思っています。

働き方の多様化や、社会の情勢によって今後もオフィス機能に求められるものが変化していくかもしれません。

トレタでは今、私たちの会社に必要な最適なオフィス機能は何かを常に考えてアップデートしていきたいと思っています。

free web hope

正直、オフィスに必要な機能って快適な空間でネットが爆速でフリードリンクがあればそれで充分です。
ネットはNuroにしたので以上終了ですし、ドリンクも買って冷蔵庫に入れとけばOKです。場所を固定しない・物理的な距離はリニューアルが必要な要件でしたがこれらを満たすだけのオフィスであれば、コワーキングスペースで充分なのです。

しかし、僕は集まる事には意味があると考え、それは意味のある場所に集まるからより一層意味がある、と考えています。ですので、コワーキングスペースでは意味のある場所にはなりえません。僕の考える「意味のある場所」とは、メンバーの想いが詰まった場所である。という事です。そうした場所だからこそ、集まることにも意味が出てきます。

マネーフォワード

「働く場所」というだけではなく、コミュニケーションのために集う場所顔を合わせる場所同じ方向を見る場所....。オフィスがどんな存在になるのかプロジェクトメンバーでディスカッションを重ねて出したのが、

・オフィスは「会社と自分のつながりを感じるような場所」
・今後働き方やオフィスがどう変化していくかは誰にも分からない
・であれば、自分たちらしい在り方にForwardさせていく場所にしたい
という答えでした。

私たちにとってミッションやカルチャーは欠かせないものです。「マネーフォワードの新しい働き方」を受けて、世の中がどう変化しても「自分たちがどうありたいのか」を軸に試行錯誤していくことが大事なんだなと思い、オフィスも色んなトライが出来る空間にしていこうと決めました。

ゆっくりおいしいねむたいな

2月から在宅勤務を開始し、在宅で仕事をすることのメリット・デメリットを実感しながらオフィスの存在意義や私たちに必要な環境について2〜3ヶ月に渡り社内で話し合いました。

その結果、場所のコストや、スタッフの勤務時間だけを考えると、不必要。でも会社としての一体感や阿吽の呼吸をこれからも発展させていこうとすると、必要という話になりました。ただ、毎日仕事をすることだけを目標とする集合場所は必要ないと結論付けました。

私たちが欲しいのはスタッフ同士やお客さまと「息を合わせる」ことや「一緒に笑う」こと。それに加えて「心地よさを共有」できる場所です。そこは、大きな空間じゃなくてもいいし、都心になくてもいい。そしてなにより、その場所にわざわざ行きたくなる理由がある場所。

その答えは最初から見えていました。ゆっくり おいしい ねむたいな でもテーマとしている「食」です。ご飯を一緒につくったり、食べること。私たちにとってのミーティングはご飯を一緒に食べることと同義だとした場合、オフィスもオフィス然としていなくていい、と考えるようになりました。

Plott

ふと家を見れば、家族がいたり、布団があったり、汚れてたら掃除しなきゃ〜とか、部屋が狭くて満足のいく作業環境じゃなかったりとか。
そんな感じで自分たちの本当に出したいクリエイティブな心を遮る物がたくさんあるんじゃないかな〜と思って!
そういう縛りが無い場所にこそ、嫌々な出社じゃなくて、ワクワクとした出社があるんじゃないかなと、僕らはそう信じることにしました。

あとはもちろん、リアルの価値も物凄く感じていて、リアルだけで感じれるその人のワクワクした息遣いとか目の輝きとか、逆方向だと疲れた表情とか沈んでる声色とか、そういうのっていっぱいあるな〜!って。

新しいオフィスはそんなリアルとリモートの良さを良いとこ取りした、何にも縛られず、ひらめき溢れる場所になれば良いんじゃないか!そういう方向性でオフィス作りをする意思決定をしました。

PayPay

実はPayPayで「新しいオフィスを作ろう!」となったとき、最初は単純に机をずらっと並べて椅子を間引いた、フリーアドレスのオフィスを作ることをイメージしていました。

でも、社長の中山さんたちと話し合いを進める中で、「なんのために出社するのか?」を突き詰めて考えた結果、これまでのオフィスのありかたを一新することにしました。

9月から導入された新しい働き方「Work from Anywhere at Anytime」では、従業員の働く場所は基本的に自宅です。「じゃあ、オフィスはなんのために必要なの?」といろんな人たちと議論をしながら、最終的にオフィスは「みんなが集まって新しい価値を生み出す場」と結論づけました。

10X

10Xでは創業以来”同じ場所で密に仕事する”という文化がありましたが、新型コロナウイルス感染拡大を機に全社リモートワークに移行しました。この取り組みから、リモートワークは集中した時間を確保しやすい、家庭の事情に柔軟に対応しやすいなどのメリットがある一方、物理的に同じ場所で働くことで生まれるインタラクションの速さ雑談から生まれるアイデアなど、オフィスワークならではの強い価値を再認識する機会にもなりました。

一度はオフィスを持たない経営も検討しましたが、リモートの価値、オフィスの価値を組み合わせることで事業をより力強く推進できると確信し、共存できる自社オフィスを志向して拡大移転することを決断しました。今後も事業を力強く推進するための最適なワークスタイルを模索・実践していきます。

Legaseed

オフィスというのは明確な「訪れる理由」がなければ、もはや必要ないものだと分かりました。事実、内装もほとんど入れない、グレードを落としたオフィスも真剣に検討していたほどです。

ですが、社員の中には同居人の存在や、仕事とプライベートの空間が同じだと気持ちの切り替えが上手くいかないなどの新たな悩みが生まれた人もいました。また、セルフマネジメントが十分でない新入社員への指導や、急ぎの確認物などは相手の状況が完全に見えるオフィスの方が連携が取りやすいなど、リモートワークを続ける中で、今まで気づかなかった「オフィスがあることのメリット」も強く感じました。

このような新しい課題を解決しながら、学生や取引先など会社が持つあらゆるステークホルダーにとって『実際に訪れる明確な価値』を創造できたら、オフィスは「ただ仕事をこなす場所」ではなく「通いたい」「入社したい」「協力したい」という『人々の想いが集う場所』に変化すると考えました。

タイミー

リモートワークが浸透した先にあるのは、「結果がすべて」という世界だと思います。でも、結果だけを評価する世界ってすごくつまらないと思いませんか?

その人が仕事に取り組む姿勢や、仕事をすることで周りの人たちを巻き込んで結果的に全体の生産性が上がるという部分にももっと目を向けるべきではないでしょうか。それがイノベーションの源泉だと思うのですが、それはリモートだとどうしても難しいと思うのです。

だからこそ余白が大切なのです。例えば、社内の部活動のようなものを始めて他部署間の交流を活発化したり、仕事以外の部分でも一緒に飲みに行ったりランチに誘うなど、同じ空間にいるからこそ部署を飛び越えてコミュニケーションが活発化すると思うのです。面白い事業連携やイノベーションというのは、結局そういった余白からしか生まれないのです。

ほぼ日

私たちもリモートワークを経験してみて、「あれ、オフィスって要るの?」って思っちゃったんですよね。オフィスに全員が集まらなくても、けっこう仕事ができたというか。

でも、そう思ったのと同時に、やっぱりみんなで集まらないとできないこともあるなって思いましたね。

会社の思想や価値観を共有するとか、一緒に何かをたのしむとか、やっぱりそういうことって「場所」がないと難しいと思いますね。

ある意味では「働くためのオフィス」は、もう要らないのかもしれないけど、みんなが「集まるためのオフィス」は、これからも必要とされるかもしれないですね。

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以上、コロナ禍にオフィス移転/リニューアル/新設を実施した企業15選でした。

ベンチャー界隈ではオフィスの解約事例が増え、一時期は「オフィス不要論」がメディアで頻繁に取り上げられていました。しかし一方で、これまで何気なく通っていたオフィスの価値を再認識した人も多いでしょう。

今回紹介した企業のメッセージを見ていると、リアルの場でしか生み出せないコミュニケーションやクリエイティビティ、価値観の共有などを求める声が多く聞かれました。

これから先、どれだけ社会全体がリモートワークに適応していったとしても、バーチャルでは生まれ得ない"何か"が必ず存在し続けると思います。それらを重視する企業にとって、オフィスという空間は欠かせないものであり、その存在意義はますます高まっていくに違いありません。

コロナ禍で仲間と頻繁に会えないからこそ、顔をあわせて共に過ごす限られた時間がとても貴重であり、オフィスに集まること自体をよりポジティブに捉えることができるのです。

これからのオフィスのあり方について検討している方は、今回紹介した企業の声をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

(執筆:澤木 香織)