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採用を担う人が理解すべきだと思うこと(選考を受ける側にも伝えたい)

はじめに(いつも書いてること)

このnoteでは、「仕事でも私生活でも心をラクにする(ワークライフハック)」をテーマに文章を書いています。

※「ラクする」というのは、「心身に苦痛などがなく快く安らかに過ごす」という意味で使っている言葉であり、シンプルに「サボる」という意味ではありません。

今回の内容

「内定を出しても承諾しない」という悩みは、多くの会社で直面している問題だと思います。

そして多くの企業の採用担当者は、「そこまでやれればいいけど、工数的にやれない」というもどかしさを感じており、やったら良いことはわかってるけどやり切れない状態に悩まされているのではないかと思います。

ただ、その『やったら良いこと』をやり切れるかが、承諾率を上げる(本当に来てほしい人が来てくれる)ことに繋がるのではないかと思います。

株式会社セプテーニが、内定を伝える際に数百枚のレポートを送付するという話を、2018年頃に書きました。

シンプルに「すごい」と思いましたし、そこまでの工数を割くことに対して、採用への会社としての強い意志を感じました。

精神論でなんとかするのではなくて、数年をかけて自社とのマッチ度を計測する仕組みや分析レポートを整える話も聞き、採用と入社後の活躍を線として面として捉えている具体的事例を知ることができました。

特に印象に残っているのが、「うちの会社に入ってほしい」ではなくて、「うちの会社に入るべきだ」というメッセージを送るという部分。

「うちの会社に入るべきだ」というメッセージは、自社の状態と候補者の状態を詳細まで知り、互いが「一緒になった方が良い未来がある」という確信を持てないと送れないメッセージです。

だからこそ、採用シーンでは、ジャッジするのではなくて知ることを重視しているようでした。

情報さえ集められれば、あとはデータベースから出力されるマッチング度を見ればいいので(人の意見がジャッジに介入しないわけではないけど)。

互いに知り合って、会社は「うちに入るべきだ」と思い、候補者は「ここに入るべきだ」と思えた時に、マッチングが生まれるわけです。

そのシーンをいかにつくれるか。

2012年の冬、日本ハムファイターズが当時高校生だった大谷翔平選手に送ったプレゼンは有名です。

資料も一部、一般公開されています。

(公開されている資料はこちら

これとは別に、日本ハムファイターズでの育成体制に関する別冊があるようで、そちらの資料を合わせて、「あなたはうちに入るべきだ」ということを伝えたようです(実際のメッセージがどうだったかは定かではありません)。

当時の大谷翔平選手は、日本のプロ野球を経由せずに大リーグに挑戦すると公言していましたが、日本ハムファイターズのこのようなメッセージを受け取り、日本ハムファイターズへ入団することになりました。

上記の資料では、「日本のプロ野球を経由して大リーグに挑戦した方が良い」ということが示されており、別冊にある日本ハムファイターズの育成体制に関する資料で、「日本ハムファイターズに来た方が良い」ということが示されたんだと思います。

それは、大谷翔平選手が何を目指しているのかを明確に理解した上で、かつ、日本ハムファイターズでどんな成長プロセスを提供できるかを明確にした上でないと伝えることができなかったメッセージです。

「内定を出しても承諾しない」という悩みを解消するには、「そこまでやるか・・・」と思うようなことを愚直にやることしか道はありません。

採用クロージングの真髄はここにあると思いますし、これを採用を担う人が理解しなければ、その会社の採用は良くならないと思います。

僕自身は2016年に採用という仕事を担うようになり、自社の採用活動の課題を解決すべく採用管理システムの『HRMOS(ハーモス)』を導入しました。

HRMOSを起点にした人事コミュニティから様々な学びを得てきたので、本当に心から感謝しています。

『HRMOS』という存在も大きかったですが、そのシステムを提供する『ビズリーチ』という会社が提供する採用関連の資料は、採用初心者の僕にとってとてもありがたいものばかりでした。

参考書を購入せずとも、ビズリーチが提供する資料を見ていけば、学びを深めることができました。

ある程度は採用のことを自分の言葉で語れるようになった今でも、それらの資料は活用してます。

特に、『採用強化書』シリーズにはお世話になりました。

社内のMTG資料に活用したり、メンバーに対して「まずはこれで採用を学ぼう」と呼びかけたりしていました。

採用関連で原点に立ち返りたい時には、今でも『採用強化書シリーズ』に立ち返っています。

(ダウンロードはこちら

このシリーズの中で、個人的に重要度が強いと感じるのは、『採用強化書1』です。

この最初のテキストは、何度も何度も読んで勉強しつつ、実務でも活用してきました。

タイトル部分の切り抜きですが、特に以下の4つのページは読み込みました。

「まずはこれらをやってみる」という姿勢で、採用業務を構築していきました。

今思えば、「まずは基礎的なことをやってみて、そこから自社にカスタマイズさせていく」という姿勢があったからこそ、「うちの採用において何を大切にすべきなのか?」ということを考えられるようになったのかなと思います。

面接官の役割が紹介されているページには、以下のような表も記載されています。

※ダウンロードが必要な資料なので、
最初の1行だけ見れるようにしています。

この表を用いて、面接や面談に臨む際は、自分自身でも役割意識は強く持っていましたし、「今日の面接(面談)はどんな役割で臨むの?」という感じで、メンバーにもとにかく役割の意識を植え付けていました。

どんな役割を持って候補者や求職者と対峙するのか、これによって話す内容も変わるし、相手をどこまで理解すべきなのかが変わってきます。

相手に対して「うちの会社に入った方が良い」というメッセージを伝えて、自社への入社を決断してもらう役割として『クローザー』があります。

この役目は非常に奥深く、会社の中でも経営に携わっていたり、視座高く働いて経営者と同じような視点で会社を捉えている人が務めるべき役割だと感じています。

かつ、それだけじゃなく、目の前にいる候補者のことを理解して、候補者と会社を突き合わせることをやらないといけません。

候補者のことと会社のことを両方考えるからこそ、心から「あなたはうちに来るべきだ」と伝えることができるわけです。

以下のスライド的に言うと、企業の成長ベクトルと個人の成長ベクトルが同じ方向を向いているのかを確認した上でないと、「あなたはうちに来るべきだ」というメッセージは言えないはずなんです。

※経済産業省が掲げる
『新・社会人基礎力』のスライドを参考に。

もし、上記スライドの『自分で決める』の部分が曖昧な候補者がいたら、選考を通してその部分を明確にしないといけません(主にクローザー以外の役割の人たちが)。

「この候補者は自己分析ができていない」と言って、不合格にしている面接官もいるかもしれません。

ジャッジする役割を担っているならそれでいいかもしれませんが、そういう状態をどう変化させていくかというのも、採用を担う人が導いていかなければならないのかなという気持ちです。

「うちの会社に入った方が良い」というメッセージを、心の底から相手に伝えられるか。

これは、クローザーとしての役目を務める上で、とても大切なことです。

『採用は相手の人生を背負える覚悟があるかどうかを試される仕事』と表現する人がいますが、まさにそうだと思います。

「うちに入った方が良い」「うちに来るべきだ」というメッセージは、「目の前にいる人にとってこの会社で働くことが人生をより良くするために必要なことだ」ということを思えないと、伝えられないから。

クローザーの他にも、フォロワー、モチベーター、インパクターという役割がありますが、これらも、候補者のことと会社のことを理解していないと務まらない役割ではありますので、そもそも採用という役割を担う人や面接や面談を担う人は、個人と会社の双方の理解度を深め続けられる人じゃないと務まりません。

僕自身、採用に携わるようになってからずっと意識しているのは、「社長と同等に会社の過去・現在・未来について語れるようになる」ということです。

むしろ、社長よりも的確に語れるようになる意識で採用と向き合ってきました。

そうなるために、自分の役割以外の業務の理解を深めたり、経営について学んだり、自社で働く人を理解したり、そういう動きを欠かさずにやってきました。

採用をやっている者にとって、自社の中に存在するもので無駄なことは何一つありませんから。

それと同時に、候補者を理解する姿勢を持つことも大切なので、まずは相手と心の壁を取っ払って、正直に対話できるような関係性を構築することを追求しました。

嘘偽りなく互いに話すことが、相手を理解する上で大前提になることなので。

「本当は思っていないけど、この場ではこう言っておこう」ということが発信されたとしたら、間違った理解をしてしまい、的確なメッセージを送れないからです。

相手を理解するには、心から思っていることを言ってもらう関係性の構築がとてつもなく重要です。

「うちの会社に入った方が良い」と自信を持って言えるか・・・?

採用という仕事は、とても奥深いです。

感謝

今回も、読んでいただきありがとうございました。


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