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九十歳。何がめでたい

祖母に誘われて、「九十歳。何がめでたい」を観てきた。

映画館には、数年前には考えられなかった人だかりができていて、ああ、こうして経済は回っていくものかと思った。

佐藤愛子さんのエッセイを原作に、草笛光子さんが90歳にして初めて主演されたこの作品。

始まりから終わりまで、笑ったり、怒ったり、喜んだり、哀しんだり。

佐藤愛子さんの人生を通じて、日々は単調に見えたとしても、山あり谷あり、喜怒哀楽で溢れているのだと思ったりもした。

佐藤さんの担当編集者(唐沢寿明)は、まさに、ザ・昭和のおやじなで、奥さんと子供、職場の若者に見放されるも、仕事に奮闘する姿が描かれていた。

愚直な不器用さって、そんなことをせずに浮世を生きられるのなら、必要ないと思いたい。

けれども、実際には、自分1人では何もできず、誰かに評価されてやっと稼いで暮らせるのが、世の中の実際だったりする。

唐沢寿明さん演ずる編集者が、断筆宣言をしていた、佐藤愛子先生を口説く姿は、一昔前にはよくあった光景で、こうして過去の名作が生まれてきたのかもしれない。

映画館ではなく、Amazonプライムやネットフリックスで映画を観る時代。

でも、あの日に行った映画館でみた映画

それも映画の内容だけではなくて、チケットを買ったり、ポップコーンを頬張ったり、帰り道で焼肉を食べたり。

映画という娯楽は映画だけでなく、映画を観た日、その1日が思い出になるのだと思う。

じぶんが90歳になった日には、この映画をみた1日を思い出すのだろうか。

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