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パリのおにぎり

もう気づけば5年以上の前のことになるけれど、祖父母がヨーロッパに行きたいと言って、パリに行くことになった。

シャンゼリゼやルーブルなど、パリの街並みに圧倒されながら、何かご飯でも食べようかと街を歩いていた。

そしたらオペラ座の近くにある、日本料理街でおにぎり屋さんを見つけた。

おにぎりでも食べようかと言うと、満面の笑みで、祖父母はおにぎりが食べたいなぁと言った。

おにぎりは、フランス人にとってのパンやクロワッサンのようなもので、やはり日本人にとっておにぎりは、ソウルフードなのだと思った。

ニコニコしながらおじいちゃんとおばあちゃんは、それを食べて、なんておいしいおにぎりだろうと思わず何度も話していたから、本当に嬉しかったのだと思う。

帰国してから、おばあちゃんが、その話を友人にすると、「なんでパリに行ったのにおにぎりなんか食べてもったいない!」なんてことを言われたらしい。

おばあちゃんは全く気にしなかったけれど。だって、「自分の食べたいものを、どこで食べたっていいじゃない!人がどこで何をしようとそれについて、あーだこーだ言うのはどうなのかと思う」と言い切っていた。

確かにそうだと思う。

旅行に行ってその現地のものを食べなければいけないとか、そういう事は本人次第。 

とどのつまり、本人がその旅行に行って楽しかったと言えることができたならば、それはどうでもいいことなんだと思う。

だから、パリのおにぎりは、おじいちゃんとおばあちゃんにとって大切な思い出の1つだし、そのことについて誰が言おうと思うと、きっと忘れられない瞬間として心の中に残っていくのだと思う。

それが生きていくこと、歳をとる上で、大切なことだと思う。

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