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快適な働く場を求めて出会った、魂が解放される体験

東京で建築会社を経営しています。株式会社鳶髙橋 代表の髙橋慎治と申します。2025年で100年企業となる当社ですが、2020年当時はコロナ禍で毎日パソコンに向かい合う日常に違和感を感じ、サテライトオフィスを探していました。
テナント購入の審査に落ちて落胆している最中に出会った千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズで、大袈裟ですが魂が解放されたような気分と、出会いを体験しました。気が付けばコンテンツ提供や新規プロジェクトにも携わらせていただくようになった過程を紹介させてください。

サテライトオフィスをつくる計画が頓挫、失意の中で出会ったワーケーション

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(現場で図面の打ち合わせ)

西東京を拠点に建築、設計、不動産の3本柱で事業展開をしている当社ですが、2020年10月のコロナ禍に「心身ともに快適に過ごせるワークスペース」を東京で探し始めました。
誰でも無理して働けば身体に負担がかかりますし、体調が万全でなければクリエイティブである設計やデザイン案も湧いてきません。

人間が持つ本来の力、そして、それ以上の力が発揮できる快適さを追求しているタイミングで代々木上原にある住宅街のレストラン跡地を見つけ、この場所でどんな働き方ができるのだろうと思案していました。

働くスタッフだけでなく、誰でもお茶が飲めて楽しみながら交流もできる、建築知識が自然と身に付くサロンを目指しました。しかし、物件購入審査は2次審査で落選。購入が叶いませんでした。

千曲市ワーケーションとの出会いはこの2020年の敗北時でした。正直、「ワーケーション」という言葉自体初めて聞きましたが、建築にも関わりがあるかもしれないと期待を込めて参加を決めました。
実際に参加した千曲市ワーケーションでは「人が集まるような箱もの(スペース)をつくる時代ではなくなってきている」と思える、そんな新しい価値に出会うことになりました。

アイデアソンに胸が踊る、ここは私のライブ会場

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(「温泉MaaSアイデアソン」で活発な意見交換、感情がぶつかり合うセッションに)

私のワーケーションは千曲市役所から始まります。
バスや電車、自転車やタクシーなどのモビリティをサービスとして提供する「MaaS」という概念に出会います。千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズで、アイデアを出し合うセッション(アイデアソン)にてMaaSに関連する交通課題を出し合い、初めて出会う参加者、地元事業者の方々と朝から活発に話し合いました。

気分は「ライブハウス千曲市役所!!」気持ちも高揚し、上昇気流に乗っていたように感じます。参加者の瞬発力とか、空気感、生きている人たちの空気がひとつのエネルギーを生む感覚を肌で感じる、私にとってアイデアソンはワーケーションの中で1番好きなコンテンツです。

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(地元の方やワーケーション参加者の交流の場、姨捨ゲストハウスなからや)

日が沈むと「姨捨ゲストハウスなからや」で交流会が開かれました。輪になって自己紹介、皆と意気投合して仕事の話や趣味について語りました。
翌朝、縁側に日差したっぷりの絶景が優しく彩っていて、説明不要な美しさに軽くめまいがした記憶があります。

体験の共有だけじゃない、参加者に共通する心構え

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(こたつワーケーションを取材してくれたメディアの質問に応じる)

最終日に「山頂に善光寺の別院があるから、お参りしてくれば?」と勧められ、瞑想体験に参加しました。
眼下に広がる千曲川、温泉街の景色と凍える寒さに包まれ、初めての体験を楽しんでいると、本堂の奥から次々とこたつが出てくる。「こたつワーケーション」が突如スタートしました。ひとつのこたつに4人ずつ向かい合って仕事をし始めました。こたつはあれど、とにかく寒い。ノートパソコンを持参しなかった私は凍えながら参加者と話していました。

参加者はそれぞれ自信にあふれた、確立されたソロ(個)のように感じましたが、自由な働き方を実践し、自分自身に向き合う真摯な姿勢が見られます。同じ体験を共有する意外にも、そんな共通点があるようにも感じたのです。

今思い返しても色々なシーンが頭の中に浮かびます。旅する気分で仕事をして、そこから生まれた偶然が交流を生み出します。
あえてその日のタスクは決めずに思いのままに仕事をする。その快感が忘れられません。そういった余裕からアイデアやひらめきが生まれてくる。そんなゼロから何かを生み出す楽しみや、探していた答えとは別の価値と偶然出会う。それは東京のオフィスでは味わえない体験でした。

気が付けばプログラム提供側に

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(東京から処分される予定の廃材を持ち込み、参加者でテーブルなどを工作)

2021年8月、「工作でカーボン・ニュートラルを学ぼう」を開催させてもらいました。
聖高原キャンプ場を貸し切り開催された「真夏のワーケーション・ウェルカムデイズ」において、廃材を利用した椅子や小物をつくるワークショップを開催しました。

夏休み期間を利用してお子様の参加だけでなく、親子三代で参加するご家庭もいらっしゃいました。楽しみながら環境課題を学べる企画に参加ができ、鳶髙橋として、皆さんとの関わり方が広がったように思います。

ワーケーションの出会いから生まれたコミュニティスペース

則ちゃんと高橋さん

(則ちゃん(写真右側)と「昭和の寅や」前で記念撮影、外壁はまちになじむ墨色をチョイス)
千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズの魅力に魅せられてあっという間にリピーターになった私を変える出会いはまだまだ続きます。

2021年春頃に出会ったシングルマザーの清水則子さん(通称:則ちゃん)が、映画『男はつらいよ』のようなあったかい空間をつくりたいと夢を語っていたのです。ゲストハウス・シェアハウス・コミュニティスペースをどうつくるか。

彼女の夢に対して、色々な領域で活躍するプロフェッショナルが集まります。何か計算されたものと違って、エネルギーが渦巻いて生まれたのが「昭和の寅や」でした。則ちゃんの思いを形にすべく、鳶髙橋では建築グランドデザインを担当させていただきました。外壁や入口付近の差し掛け、腰掛は、景色を楽しみながら自然と交流が生まれる、情景に馴染むデザインになるよう努めました。

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(公園を眺めることができる腰掛は、古民家の梁で使われていた欅(けやき)の原木を利用)

この働き方をスタッフのみんなにも体感してもらいたい

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(あんず畑でワーケーション参加者とお弁当)

私が自然と感じていた、いつもと同じ環境でパソコンに向かい合うことへの違和感はどこか焦燥感に似た違和感がありました。「今の状況から逃げたい」そんな一心で千曲に行ってみようと決めたのかもしれません。

千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズを通して、オフィスに通勤しなくても在宅や休暇地でもどこにいても働けることを知り、クリエイティブは余裕の中から生まれることを知って、何かくすぶっていた思いに点火されたような体験をしました。

魂が解放されていくような感覚を自社のスタッフはもちろん、少し疲れを感じていらっしゃる方、視野を広く持ちたい方にも心からおすすめします。

株式会社鳶髙橋

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