見出し画像

観光局専務理事がワーケーション運営・参加をしながら未来を考えてみた

株式会社ふろしきや 代表田村さんとの共同事業でワーケーションプログラムの運営管理事務局を担当した、信州千曲観光局の専務理事をしている小沼と申します。
通常の仕事は、地域DMOとして千曲市の観光を推進しながら「地域の消費を上げるためにどうするか?」と計画を策定し、観光振興の組織をまとめる役割を担っています。これまで、観光局の組織として担当者ベースでワーケーションへの参画はしてきましたが、今回は私含めて3名が事務局の役割を持ちつつ、それぞれのプログラムに参加しました。運営の立場としては、関係者とのコンセンサスをより強く深められるように工夫をしました。

これまでのワーケーション参加者は、まちづくりのプロットを創造・開発する方がほとんどで、観光カテゴリーで参加する方は少なかったため、今回は観光の観点をキーワードに参加しました。

オープニング:オリエンテーションからネオン街へ

5日間あるプログラムの初日は、スタートとなるオリエンテーションからランチ交流会・ワークショップ・ちくまWelcomeナイト(昭和の寅やで交流宴会)・NEOネオンスナック体験と、かなりもりだくさんのメニューとなっていました。

ある意味、私は地元なので皆さんをお迎えする立場であり、メニュー内容は想定できるもので、参加者の皆さんに喜んでいただけるだろうと思っていました。ところが、ランチ交流会で驚くことがありました。今回、ランチで用意した蕎麦処萱のお弁当(のり弁当・信州サーモンチラシ弁当)のクオリティがあまりにも高く、観光に携わりながらまだ知らないことがあるのかと、新しい発見でした。当然味付けも抜群でした!

ランチ後は、ワークショップで参加者とインプットおよびワーケーション参加の目的を明確にするアウトプットを行い、昭和の寅やで行われたちくまウエルカムナイトでは、フレスコ・ラボ(有限会社フレスコ・カンパニー)の彩り鮮やかな腸活メニューに舌鼓をうち、NEOネオンスナック体験までアテンドし、後4日間身体が持つか不安になるほど充実した初日を過ごしました。

しなの鉄道でワークしながら沿線地域の楽しみ方を発見!立科では整いつつ「熱トーク」

前日、年齢を考えずはしゃぎすぎたことを反省しながら、戸倉駅からSR-1の貸切運行でワークしながら沿線地域回りがスタートしました。軽井沢までは、快適な電車のなかで集中して自分の仕事を消化しながら、久しぶりに「おぎのや」の駅そばを食し、折り返しの上田で降車して柳街まで散策に向かい、またも懲りずに美味だれ焼き鳥で飲んでしまいました......。その後は、上田・東御・立科の3エリアに分かれて地域Meet-upナイトとなり、私は立科のプログラムに参加しました。

千曲市からは、昭和の寅や女将の則ちゃんと自分という、お腹いっぱいになりそうな2名で参加となり、ホストを請け負ってもらった信州たてしな観光協会専務理事の渡邉さんはじめ計7名でのMeet-upとなりました。立科到着後は、宿泊するゲストハウスの「あかりや」さんに荷物を置き、同じ運営をされている「ドマサウナ」でのサウナ体験となりました。
本格的なフィンランドサウナで、かなり居心地よく、通常のサウナより長く入れることから中での会話も弾みました。

また、当日外は厳寒でしたが水風呂も3セット入り、たまっていたアルコールデトックスができた体験となりました。サウナ後は、蓼科牛のカルビ定食というサプライズ夕食を食し、あかりやさんに戻って仕上げのアルコール導入となりました。なぜか、夜の11時過ぎからみんなでパソコンを開き始め、お互いの地域課題などをテーマに熱い話がスタートするコアな夜となりました。

「立科フィールドワークからろくもんトレインワーケーション」

3日目となるこの日は、前日Meet-upナイトを行った3エリアでのフィールドワークとなりました。私の実家は、隣町の望月にあり、昔から知っていたので地の利は皆さんよりあったつもりでしたが、改めてまちづくりや観光の観点で見直すと新たな発見や課題が見えてきました。

観光では、白樺湖・女神湖など高原観光が観光の基盤となっており、中山道宿場町であった芦田宿を中心としたまちがかなり衰退していて、観光協会含めた関係者がまちのにぎわいを創出できるよう活動する姿と熱量には感銘をうけました。

昨日のサウナの効果もあってか、案外スッキリとした身体と頭で実際のまち中を散策し、その後のアイデアソンに臨みました。アイデアソンは、システムデザインを得意とするハイスペックチームと、自分含めたひらめきをかたちにする2チームに分かれて挑みました。それぞれ、アウトプットの方法は違いましたが、立科町の方々には双方よい評価をいただきながら、今年これらのアイデアを盛り込んだイベントに昇華させたいと、前向きに行動に移していただけそうで、今後も関わりが持てそうな予感がしました。立科フィールドワーク終了後は、戸倉まで戻り、定番「ろくもんワーケーション」に参加して軽井沢までの1往復を楽しみ、3日目のプログラムは終了となりました。

なぜか、ワイン瓶詰め体験をして、地元に戻って腸活の夕べ

当日は、またも朝の戸倉駅からSR-1に乗車し、トレインワーケーションへ。そろそろ、同じ景色の繰り返しに若干退屈しはじめたところで、昨日声をかけてもらった東御市、湯楽里館のワイン加工工場で「ひかるの畑」さんが生産するワインの瓶つめをお手伝いしました。ワインは、開けることはあっても栓をすることは初めてで、新鮮な体験でした。

もう少しオートメーション化されているのかと思っていましたが、案外手作業が多くて今後ワインを楽しむときに思い出してしまうだろうと感じました。当然、湯楽里館では展望最高の温泉と生ビール・ワインを楽しんだことは言うまでもありません。
今回は、列車を基点としたプログラムがであったため、なぜか電車内での面接を行うメンバーもいたり、私たちは沿線での楽しみ方を体感するのもひとつの目的でしたので、小諸駅のワインバーでも若干沿線ワインの飲み比べをして夜の地元「よろづやNight」に向かいました。

食事は、「和かふぇよろづや」さんの腸活メニューとなっており、急きょ参加されたよろづや関係者も加わりアイデアソンも実施しながらの大変盛り上がった宴となりました。地元の関係者も多く参加されたため、それぞれのまちづくりチームと観光とまちづくりを結びつけ、どう人流を生み出すかなどのコンセンサスを図りながら、実現に向けて必要なことの抽出など発展的なやりとりもできた有意義な時間となりました。

最後の力を振り絞り、千曲市ワークショップと軽井沢でのクロージング

昨日の腸活メニューが速攻で効いたのか、この4日間で蓄えたものを排出し、快調な朝の出発を迎えました。最終日の最初のメニューは、2日目同様に3カ所でのフィールドワークとなり、千曲市は私がホストとなり進行しました。

テーマは、「GSTC」(グローバル サステナブル ツーリズム協議会)。これは、持続できる観光地の国際指標を環境保持含めた基準で定め、この指標に対しての達成度合いにより国際的な認定を行う制度です。来期、当観光局が申請に向けて動いていることから、今回はこちらのかなり重いテーマのワークショップとなりました。

最初、どのような制度なのかをレクチャーしたのち千曲市を4つのエリアに分けて、それぞれのエリアで「GSTC」にひもづく観光素材のアイデア出しを全員で行いました。まちづくり・観光・システムエンジニアの観点でアイデアを抽出したことにより、実態に則したかなり具体的な内容が出されたことから、来期観光局で取り組むテーマのひとつにする予定です。

終了後は、軽井沢のクロージングに向かい本日2度目のワークショップへの参加となりました。こちらでは今回のプログラムで自身が吸収したものをアウトプットする内容で、それぞれの観点で出されたものはすべて興味深いものでした。

そして、ついに迎えた5日間の最終プログラム「軽井沢クロージングナイト」!食事は「カスターニエ 軽井沢ローストチキン」でローストチキン!ワインとローストチキンがあればなぜか体力も復活して、またも調子よく胃に流れこんでいきます。ひととおり堪能し、参加者とのほぼ仕事の話も満喫し、おまけの駅前居酒屋で電車時間までちょい飲みしてすべてのワーケーションプログラムは完了しました。皆様、そして自分、5日間お疲れさまでした!

全プログラムを終えて思う、今後のワーケーション

冒頭に書いた通り、これまでまちづくり関係者の参加が多かったワーケーションプログラムを、観光の視点で再度どう捉えるかもテーマのひとつとしていたので、最後にこちらに触れていきます。

まず、ワーケーションという概念は国や県で推奨していますが、いまひとつ一般顧客にまで浸透しきれていない状況にあります。自身が捉える大きな原因は、大手企業を含めた事業者がこのような仕事のやり方を取り入れられないことと、旅行・観光を販売する側の旅行会社が販路・販売方法のノウハウをもっておらず、推進するまでに至っていないことです。

前述したまちづくり関係者は、個人事業者も多くリモートワークが日常化していますが、観光関係者はリアルでコミュニケーションをとらざる得ない部分も多く、浸透していないのが現状です。しかし、どちらもまちに来訪させ消費してもらう仕組みの環境整備をすることは共通していることから、ビジョンの擦り合わせを常に行い役割を明確にすることは必須事項と考えます。

コロナ禍を経て、働き方や旅行のニーズは大きく変わり、より多様化しています。今回参加した観光局メンバーもこれらの市場に対応できるようアップデートせざるを得ない状況です。今は、まだワーケーションの市場規模は小さなものですが、多様化する旅行ニーズに対応し持続できる観光地をつくるためにも、継続して事業に取り組まなければならないと実感した今回のプログラム参加となりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?