20230614 N先生講義を受けて(建築史と音楽ジャンル)

本日の史学講義は興味深いものであった。

建築の歴史研究において、類型化、様式というものは外せない語彙である。
しかし、こと日本建築史においては、大仏様や禅宗様、和様などの様式を定義づけるような各「特徴」をすべて満たす典型的「~様建築」はごく少数で、圧倒的多数の「折衷様」の個性が無視されているというのである。各部分の特徴はディテールごとに伝播し、各様式(全体)ごと伝達されていくのではない。

それに対し鈴木博之氏曰く「西洋建築史は一時代一様式」だそうだが、建築材料の石と木の差、新陳代謝の速度など関係していそうなものである。どうであろうか。

話変わって、音楽のジャンルのことになる。

ロックからハードロックとパンクロックが派生し、HRからヘヴィメタルが、パンクからはハードコアが生まれ、メタルはNWOBHM、スラッシュメタル、パワーメタル、デスメタル...はたまたハードコア側と融合してメタルコア...などなど、系統立てて説明することは一応可能である(間違っていたらすみません 音楽のジャンルのこと分からないので)。しかし、特定のジャンルからのみ影響を受けているアーティストなどいないと思われ、そのジャンルを定義づけるような「王道」バンドはいても、圧倒的多数のバンド、曲は一つのジャンル名でくくることはできないのである。現に、ウィキペディアでバンドを調べても、ジャンル欄に一つしか書いていないもののほうが少ない。

こういった状態は、建築史研究の話に似ている。各バンドや曲をジャンル分けするとき、手がかりになるのは曲の各「特徴」であるというのも、共通するような気がする。

たまに耳にする、ジャンル(分け)に固執することの危険性はこういうところにあるのかもしれないと思った。

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