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錦光山和雄の小説編

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#京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛伝

拙著『粟田、色絵恋模様』のためし読みはいかがですか⁉

拙著『粟田、色絵恋模様』のためし読みはいかがですか⁉

 2023年1月に発売した拙著『粟田、色絵恋模様』の「ためし読み」企画を試みることにいたしました。
 『粟田、色絵恋模様』は、京焼を代表する京都粟田焼窯元で、わたしの祖父である七代錦光山宗兵衛と祖母千恵および父雄二など、錦光山一族をモデルにした小説であります。
 下の帯にありますように、幕末から昭和にいたる京都の粟田に生きた陶家の人々の怒涛の日々、栄光と挫折、祇園に生きた女たちの愛と確執を描いた壮

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粟田、色絵恋模様

粟田、色絵恋模様

 京都を代表する粟田焼の窯元・錦光山宗兵衛の栄光と挫折、宗兵衛が愛した祇園の女たちの愛と確執を描く、壮大な歴史ロマン小説‼「粟田、色絵恋模様」を今年11月に出版予定。  請うご期待!
 この物語は、13歳の舞妓、千恵とお民が、舞妓の店だしの日、祇園の巽橋のうえむきあい、「幼なじみというたかて、どっちが祇園一の舞妓になるのか勝負せなあかんのや」とお民が言って、千恵をにらみつけるところからはじまります

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真夜中の観覧車:The Ferris wheel in the midnight

真夜中の観覧車:The Ferris wheel in the midnight

 丘陵の上にある病室から観覧車がみえた。観覧車は、夕方になるとライトアップされ、夜空に色とりどりの光を点滅させている。光の点滅が止まると、三本の太い鋼管で支えられた観覧車の円い縁の白いイルミネーションだけが光っている。

 夏も終わり近くなり、少し蒸し暑い風が病室の開け放たれた窓から入り、室内の冷えた空気と混じり合っている。しのぶは窓際の椅子に寝間着姿で腰かけていた。身体に負担をかけないようにゆっ

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