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むかし書いた韓国コラム 乗り物編

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「むかし書いた韓国コラム」から乗り物に関するものをピックアップしてみました。
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#バス

むかし書いた韓国コラム #800

 ソウルには数多くの繁華街があり、あちこち訪れたことがあるが、繁華街でもない平凡な住宅街となると、そこに知り合いでも住んでなければ訪れる機会はない。こうして考えてみると、ソウル市内にはまだ行ったことのないところは数多くある。せっかくソウルにいるのだから隅々まで探検してみたい。  交通カードを片手に、どれでもいいのでやってきたバスに乗り込んでみるとちょっとした探検気分が味わえる。車窓に広がる景色もオフィス街から商店街、住宅街とめまぐるしく変わっていく。終点まで乗ってみるとそこ

むかし書いた韓国コラム #555

 最近連接バスの姿を見かけない。2004年にソウルに登場した連接バスは全長18メートルの2車体構成のバスだ。バス専用レーンの整備もあり輸送力増強が期待されたが、故障が多いことや、長い車体のため取り回しが難しいなどの問題があった。20台が導入されたが、現在も運行されているのは数台にとどまり、それすらも予備車として車庫で眠っていることが多い。耐用年数の関係もあり今年中に全車が引退する見込みという。  登場したばかりのころ、自宅近くを通る路線には投入されておらず、連接バスに乗るの

むかし書いた韓国コラム #377

 韓国のバスは運転が荒いというのがひと昔前まで常識だった。最近はマナーも向上し乗りやすくなった。この傾向は地方にも広がりつつある。先日訪れたある地方で、バスに乗っていたら停留所に止まる前に高齢の乗客が降り口に移動しようと立ち上がった。その瞬間、運転手は「危ないから座っててよ! 止まってからドア開けるから!」と怒鳴り声を上げた。イライラしてるのか。もっと優しく言えばいいのに…。  でも運転手の気持ちもよくわかる。運転手にしてみればマナー向上を心がけているのに走行中に立ち上がら

むかし書いた韓国コラム #213

 「乗せてあげればいいじゃない」「最近は規則が厳しくて」――。住宅地を走るマウルバス(ミニバス)の乗客と運転手の会話だ。バス停を出てすぐに信号待ちとなり、乗り遅れた客がドアを叩いて乗せてくれと求めたのだが、運転手は手を横に振り次のバスに乗るようにと指示する。  大通りを走る一般のバスと違い、住宅地の細道を縫って走るマウルバスは、運転手も乗客も顔見知りが多く庶民的な雰囲気にあふれる。以前ならバス停から少しばかり離れたところでも乗せてくれ、こうした人情味も韓国らしい風景だった。

むかし書いた韓国コラム #68

 ソウルのバスから漢字表記が消えて久しい。最近のバスはLED表示器を使っているのでさまざまな表示ができるが、ソウルのバスはハングルの行き先と、路線番号のロゴを切り替えるだけである。  週末に釜山を訪れたときに市内バスを見たら、LED表示器はハングルと漢字を交互に切り替えながら表示していた。漢字圏の利用客にとってわかりやすい案内だ。釜山は地下鉄駅にも「のりば」「きっぷうりば」と日本語表示があり、車内での「次の駅は~」という案内のほか、駅ホームでの「まもなく列車がまいります」と

むかし書いた韓国コラム #8

 金曜日の夜に遅くまで飲んでしまった。終電もなくなった時間だ。タクシーもつかまらない。そういえば深夜バスができたと聞いた。調べてみると自宅近くを通るバスが10分後に来るという。これ幸いとバス停に急ぐ。  待つことしばし。バスがやってきた。しかしバスは超満員。通勤ラッシュ時以上の混雑ぶりだ。後方の降車ドアは開けたが、前方の乗車ドアは開けてくれなかった。いや、開けられないほど乗客があふれていたのだ。開けられたとしても乗ることはできなさそうだった。降車ドアからは数人が降りたが、そ