見出し画像

むかし書いた韓国コラム #377

 韓国のバスは運転が荒いというのがひと昔前まで常識だった。最近はマナーも向上し乗りやすくなった。この傾向は地方にも広がりつつある。先日訪れたある地方で、バスに乗っていたら停留所に止まる前に高齢の乗客が降り口に移動しようと立ち上がった。その瞬間、運転手は「危ないから座っててよ! 止まってからドア開けるから!」と怒鳴り声を上げた。イライラしてるのか。もっと優しく言えばいいのに…。

 でも運転手の気持ちもよくわかる。運転手にしてみればマナー向上を心がけているのに走行中に立ち上がられては気分も良くなかろう。転倒でもされたら一大事だ。丁寧な運転が理解されていないのかと苛立つのも仕方ない。ただ乗客の気持ちもわかる。これまでずっと乱暴な運転で、完全に停車する前にドアが開き、もたもたしてれば降り損ないかねなかった。停車前に移動するのは長年にわたり普通のことだったのだ。

 停車してから立ち上がるという常識が全国に定着するにはもう少し時間がかかりそうだ。

【解説】
 むかしは日本もバスはあまり親切ではなかったような記憶がある。バスに乗る機会はほとんどないが、それでもたまにのるとむかしとはがらりと変わって親切だ。それだけ心の余裕が生まれたのだろうか。

(初出:The Daily Korea News 2016年10月19日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?