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カード・カウンター


ポール・シュレイダー監督脚本、マーティン・スコセッシ製作総指揮……といえば、あのタクシードライバーコンビではないか。これは観るしかないだろう!と劇場に駆けつけたのだが。これは『タクシードライバー』以上に、全篇にわたって重苦しいトーンの作品だった。

カードゲームでは、出たカードを記憶して計算することで勝率を上げることができる。「カード・カウンター」とは、この裏技で稼ぐギャンブラーのことだ。主人公の帰還兵(オスカー・アイザック)は任務中の罪で服役していたが、出所後はカード・カウンターとして各地のカジノを放浪している。

とはいえギャンブルそのものが本筋ではなく、ひとたび壊れてしまった心は再生できないのか、贖罪とは何なのかという、重いテーマを追求する物語。

主人公には、ある目的から一人の若者(タイ・シェリダン)が近づいてくる。二人はチームを組むのか? ここから『ハスラー2』や『クライ・マッチョ』のような歳の差バディ・ムービーになるのか? と思わされるが、なりそうで、ならないんだな。だがこの若者が、主人公の運命を狂わせることになる……。

なお、この若者が親の仇として命を狙う、主人公のかつての上官はウィレム・デフォー。この手の憎々しい敵役をやらせたら天下一品の俳優だ。

(2023.6.19)
http://www.wonosatoru.com


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