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恐縮ですが、育児中。 《5》 睡眠


皆さんの今年の抱負は何でしょうか。

当方、かつては年頭ともなると「今年こそ◯◯◯してやるぜ!」といった「攻め」の野望をギンギンに抱いたものですが、子どもを持った今は「とにかく無理しない」という「守り」の姿勢を確認するのが関の山となりました。

たとえば自動車を運転しても、速く走ろうなんて思わない。とにかく無事に生きて家に帰り着くことだけ考えてます。仕事も同じ。派手に立ち回って脚光を浴びようなんて思ってません。「低空飛行」で良いから、とにかく飛び続けたい。

ちょっと前に観た映画『十三人の刺客』で、役所広司さん演じる侍が、他の侍から「あいつは強くない。切れ者でもない。……だが、負けない。」と評されていました。いま目指しているのは、そんな生き方です。

そういえば20代の頃は、冬になるとやたら風邪をひいていました。

風邪の原因って「無理」に尽きると思うんです。

徹夜仕事の翌日も、無理して呑みに出かける。帰宅してからもビデオを観たり本を読んだり無理して、なかなか寝ない。

睡眠時間を削って毎日そんな生活してたら、熱を出してブッ倒れるのは時間の問題ですよね。

逆に、ウィルスの充満した満員電車に乗り、大汗かいた後に寒空を歩いて体を冷やす……みたいな最悪の生活でも、毎日たっぷり眠ってさえいれば、意外に風邪などひかないものです。

ところが子どもが生まれた最初の数ヶ月は、そのいわゆる「良質な睡眠」をとる事が、まったくできない。これが一番こたえました。

夜中も赤子の泣き声で数時間ごとに起こされて授乳(うちは諸事情から粉ミルク育児で、当方も授乳作業を担当していたので)。

しまいには発狂するかと思いました。

古い中国の拷問に、「縛り付けた囚人の額に水滴をポタリポタリ垂らして、眠れないようにする」というのがありますが、まさにそんな感じ。

食欲だの性欲だの、人間には様々な本能がありますが、中でも睡眠だけは無条件に必要と実感した次第です。

その後も3〜4歳ぐらいまでは、こっちが絵本などいくら読んでも読んでも、そう簡単には寝てくれない。

むしろ親のこちらの方が眠すぎて「おじいさんは山へ芝刈りに……」などと読みきかせているうち、意識が混濁してきて「おばあさんは川におばあさんおばおばおばばば」とバグっては頰をビシャーンと叩かれ、「早く先に進んでよ」と冷酷な言葉を浴びせられたのも今となっては良い思い出です。(良くない)

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ですが、6歳の今では簡単にぐっすりと熟睡してくれます。死んでんじゃないか?と心配になるほど微動だにせず。ずいぶん楽になったものです。

というわけで、今まさに子どもの夜泣きなどで苦労されてる親御さん方には「大丈夫!なんとか今を乗り切ればすぐ楽になりますから!」と、声を大にして宣言しておきたいと思います。

さて、子どもが寝しずまった後の時間をやっと自由に使えるようになった、今はどうかというと。

せっかくのそんな貴重な「オフタイム」を、ツイッターをはじめとするSNSにハマりすぎて、怠惰に過ごしすぎている気がしてなりません。

そのせいか、この原稿の執筆も遅れに遅れている始末。「低空飛行」どころか、これでは「墜落」してしまうぞ!俺よ……。

ま、睡眠の管理にせよ仕事の〆切にせよ、結局は本人の自覚次第という事ですか。

いやはや、全く恐縮です!


明和電機ジャーナル 第17期 第5号 (2011年1月15日発行) 所収, に加筆訂正


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