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【500字ショートショート】味噌工事

「今日は味噌こないの?見損なったわ!」

工事現場で作業員と主婦が揉めていた。
他にも人がいるけど何の騒ぎだ?

皆が帰った後、俺は作業員に尋ねてみた。

「何の工事ですか?」

『味噌の工事だよ。天然の生味噌を掘っているのさ』

味噌にも天然と人工があるのか?

組まれた足場から掘られた穴を覗くと、味噌の良い香りがした。

「食べられるんですか?」

『もちろん。ただ、この現場はまだ発酵が甘い。現場監督としては、最高の熟成味噌だけを採りたくてね。そうだ!明日の現場は不思議な味噌が採れるから来るといい』

次の日、俺は指定された工事現場へと向かった。すでに人が集まっていて、味噌を配っている。

『おっ、来たね。珍しい三種類の生味噌が採れた。味見するかい?』

そう言って、胡瓜につけてくれたのは白味噌だ。食べてみると、まだまだ自分は成長できる気がしてきた。

『それは伸び白味噌さ』

俺の前の地味な女性が食べると、洗練された女性に変身した。

『あれは赤抜け味噌』

あっ、昨日の味噌にうるさそうな主婦も食べている。

『あれはな…』

「あら、昨日はごめんなさいね。本当、お味噌れしました!なんてね」

『口八丁味噌だ』


(500字)

2022年も年末となり、大掃除の時期ですね。
掃除するのは部屋だけではなくて、スマホのメモ内のあちらこちらにも数年分の文章がたまっていたりします。

先日、少しスッキリさせるために整理していたところ、何年か前に味噌をテーマにしたショートショートの公募用に書いた作品が発掘されました。

せっかくなので、こちらのnoteにだいぶ発酵してはいますが作品をupさせていただきました!

どうか、楽しんで読んでいただけますように!



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