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小1の息子が学校へ行きたくない、と言い、発達支援施設に相談に行くまで備忘録①【宿題困難】

※この記事は息子に了承を得て書いています。息子はいわゆる優等生タイプで、普段はやる気満々&真面目&楽しそうに見えるのに、家に帰ると学校へ行きたくない、というタイプ。同じように悩んでいる方のなにかヒントになればいいなと思います。

2月終わりくらいのこと、小学校1年生の息子が学校に行きたくない、と言った。

学校に行きたくないのはいまに始まったことでなく、入学直後からすぐに不調が出てきた。

保育園のときから勉強を楽しみにしていた息子。足し算教えて、とか、漢字教えて、と向学心が高い子だったので、聞かれたら教えるようにしていた。

夏休みは自由研究にいそしんだので、こんな記事を書いた。
ちーくんがいかに好奇心旺盛か、というのはこちらの記事にかいてある。

そんな好奇心旺盛な息子のことだから、小学校の勉強は楽しいだろうな、と甘く見ていた。入学直後、息子は「学校はルールがいっぱいある。保育園みたいに楽しいことが全然ない。勉強もずっと同じことで楽しくない」と言った。

(ちなみにこちらはド田舎で、息子の学年は全部で11人。保育園のときからメンバーはほとんど変わらない。小6までずっとこのメンバー。)

このnoteではアフリカ一人旅、登山用具店勤務などを経て、現在はECサイト経営をしつつ恵那市笠置町にUターンし里山暮らしをしているわたし(佐藤あやみ)が、子育てのことや自然のこと、学んだこと、経験したことをアウトプットしています。テーマは「ともに生きる」。どうやったらともに生きるコミュニティを形成できるのか?ということを考えながら活動しています。

学校から帰ってくるとどっと疲れていて、絶望の淵みたいな顔をしている日もあった。

疲れが溜まると、癇癪もひどくなるので良いことがないから、たまに学校を休ませた。学校を1日休むと、かなり元気になり、また学校へ行けた。
そんなようになんとかかんとか、1年間なだめすかしながらやってきた。
コロナ禍の影響もあり、咳や鼻水があるだけでも休まねばならない雰囲気だったので、欠席は1年間で20日は近くなっていた。

小学校ではコロナ禍なので給食黙食のルールだったり、マスク着用だったり、消毒だったり、他の学年の子との接触が避けられたりと、ただでさえ多いルールにさらに新1年生にとってはしんどいルールが増えている。

そういったストレスフルな状況の中、息子にとって特に問題だったのが「宿題」だった。

息子は完璧主義なところがあり、書き取りにしても計算にしても、間違ってはならないと思っていて、少し失敗すると癇癪を起して泣いた。先生のように綺麗な字を書かなければ怒られるに違いないと思い込んでいる節もあった。
(先生みたいに綺麗な字なんか、お母さんでも無理なのに!)

学期を経るにつれ宿題の量も増え、マス計算が80~100マス分くらい出るようになった。
これをやり終えるのに1時間、1時間半かかる。
泣きながらやっているので全然進まない。

そしてここ1か月くらいは、宿題を嫌がる兆候がとてもひどくなってきた。
テストも、いつもほとんどの答案が90-100点だったのに急に60点というのを取ってきた。明らかに問題を読む気を失っているのがわかった。
勉強する気力を、完全に失っている息子。
ここで「何あんたこんな点数とって!」と怒るのはもちろんNGなので、この60点答案については一切何も言わずそっと古紙袋へ入れた。

しかし、(できる力はあるのに。なんでやれないんだろう)
とわたしにとっては不思議だし、いらいらもした。

※ちなみになぜか女の子は宿題で苦労しない率が高いらしい。言われなくてもスッとやる子が多いのだとか。わたしも宿題で苦労した覚えが無い。自分は苦労せず宿題ができたから、お母さんは男の子が宿題をやらない場合ガミガミ言ってしまうのだそうだ。


それと同時に学校に対する愚痴、友達に対する愚痴がものすごく増えてきた。
「ぼく、忘れ物が多いから先生に叱られるの。」という。真意の程はわからない。
しかし最近では指の爪を深く嚙むようになってしまって、ストレスがうかがえた。

(ちなみに、この先生に𠮟られる、というのは息子側の言い分であり、後に面談した際は先生は「ちーくんは忘れ物少ないほうだから注意することなんてほとんどないけどなあ」と仰っていた。)

学校を1日休んでも、次の日になると「なんかお腹痛い気がするなあ」。

日曜日の夜には、おいおい泣き出す。

あげくには夜中に寝言で「学校行きたくない!」と泣いている。

そんなことが続き、息子のこころが休んでも回復しなくなってきた。

…まさか、自分の子が不登校になるとは。

息子へしてきたケア

何せ、感覚がかなり過敏で好奇心旺盛、繊細な心の持ち主。
赤ちゃんの時から過集中な傾向があったので、発達に凸凹があるだろうなということはわかっていた。いままでのところ赤ちゃん検診や3歳児健診などの発達検査でひっかかったことはなかった。でも、やっぱり育てにくさみたいなものはずっと感じていた。
例えばシャワーを極度に嫌がる、とか、つくったブロックが少しでも形が変わると癇癪を起す、など。

だからこそ、凸凹の凹のほうに自信を無くさないように、凸を伸ばしていけるように夫婦でかなり子育てについては勉強して、息子に寄り添えるように声掛けをしてきたつもりだ。

また息子の凹凸についてはいつか本人の了承を得て書くつもり。

そんなわけでこのようなひどい状況になる前から、わたしたち夫婦は息子へのヒアリングや宿題のケア、学校の準備の練習など、工夫をしてきた。

①準備や片付けの見える化

準備や片付けは上手なほうだと思うのだけれど、本人は完璧に学校の準備ができないとパニックになるため、スムーズに片付けや準備ができるように一連の流れを絵や箇条書きで表現した。

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これは功を奏し、見える化によってだいぶ片付け・準備がうまくなった。
ちなみにこれは保育園のときから何度も書き直して半期に一度リニューアルする。コロナ禍のための持ち物が増えているので、以前よりも小学生にとっては準備がかなり大変になっているなと感じる。

私自身も、チェックできるので登校前にパニックにならなくて済む。

②言語化

うれしいこと、かなしいこと、モヤモヤすることなどを言語化できるように、というのは1歳半くらいからかなり特訓した。繊細で過敏、完璧にならないと泣いてしまうことが多い息子だったので、「何がどうなった、心がどうなったから泣いているのか、何をしてほしいのか」をゆっくりでいいから言葉にするように息子と一緒に訓練してきた。

学校がつらい、ということに関しても1-10のうちどれくらい辛いのか、嫌なことと楽しいことの割合、など心を整理するために見える化した。

最近では成長するに従い、癇癪や落ち込みの頻度がだんだん減ってきて、「今回はうまくできなかったけど、次はこうしよう」と工夫する方向へ自分で心を切り替えられるようになってきたのはうれしいことだった!

③くわしいヒアリング

言語化の特訓?が効果が出ているのか、自分の状況を俯瞰で認知できると息子は安心するということがわかった。
父母が変わりばんこにヒアリングして、それに対して説明していくうちに息子の心が落ち着くこともある。

これも言葉が出てきたくらいからゆっくりと行っている。

学校生活についてヒアリングをした。
ヒアリングによると息子は反復が死ぬほど嫌だそうだ。
1+3=?みたいなわかっている問題をなぜ何度も何度も解くのか、意味が分からない。
書き取りも、タブレットなら楽だし今の世の中はみんなPCでやりとりするのに、わざわざ鉛筆で紙に何度も何度もひらがなを書く理由がわからない。

授業中にしゃべってはいけない、というのもおしゃべりな息子にはしんどいそうだ。

「どんな気持ちになるの?」と聞くと
「口をふさがれて酸素がいきわたらなくなる感じ」と言う。

それは思っていたよりもしんどそうだ。

内部言語が多く、家でも学校でもあまりおしゃべりでなかったわたしには、あまりない経験だ。(わたしはいくらでも黙っていられるので…)

息子へのヒアリングでわかったことは、息子は簡単な問題の反復が嫌だということ、声の自由、体の自由、など「自由」がとても大事だということ。

④楽しい/レベルの高い勉強はおうちで

息子は前述したように反復が嫌いで、新しい情報が大好きだし、自然科学などの分野が特に好きだ。

しかし1年生のうちは理科や社会がないので、息子の知りたい情報が得られない。

そんなわけでプログラミング塾や探求学舎に通って、息子の知識欲を満たしている。学校は反復が多くて授業がつまらないけど、週1のプログラミング塾と探求学舎の授業で知識が成長すると、ちょっと満たされる。

さらには土日には課外授業として植物観察をしたり、ゴミ拾いをしてゴミの研究をしたり、川遊びをしたり、動画編集をやったり、ゲームのプログラミングをしたり、とにかく息子の興味が尽きるまでやりたいことを一緒にやっている。

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ここまでケアをしてきたものの、息子のコップの水はあふれてしまったようだった。

「勉強って、自由で楽しいものなんじゃないの?なぜこんなに苦しまなければならないの?zoomで授業できるんだから小学校行く意味なんてないじゃん!」

このように言いながら、さめざめと毎日のように泣く息子を見ているうちに、これはなんとかしなければ、と焦りが募った。

発達支援をしている従姉妹に話を聞く

まずは、わたしの従姉妹が少し離れた市で発達支援関連の施設で働いているので、相談をさせてもらった。(事あるごとに相談に乗ってくれるありがたい存在。)

わたしの従姉妹Aは自身も不登校の経験がある。
また電話の席にもいてくれた彼氏Sくんも、中学生のとき不登校になったので、話を聞いてもらった。

Aは、息子君が認知能力の発達が他の子よりもちょっと早いので、広い視野でものごとを見ているが故に、しんどくなっているのではないか、という仮説を立ててくれた。
また、息子は「意味」がとても大事だということ。
自分の中の価値観で照らし合わせて意味がある、ない、でものごとを見ているところがある。タブレットのほうがいい!鉛筆は意味がない、というのは息子の価値観的に意味がないだけであって、実際は筆圧の調整だったり手の発達を促したり、鉛筆削りの管理だったり、発達支援の現場では役に立つらしい。

こういった認知能力の高い子(認知能力が高いから良い、ということでも無い)、というのは幼少期に特に他とのギャップでしんどくなりやすい。でも高学年になり他の子の認知能力が高くなってくると、だんだんと生活しやすくなってくるらしい。

ちーくんは公平性にとてもこだわりがあり、ルールを守らない子がいると、憤りを感じる。
低学年のうちはルールを守る練習をみんながしているところだし、本人だって100%ルールを守れているとは言えない。でも周りがよく見えてしまうが故に理不尽なことを言われたりすると「え~それって間違っているんじゃないかなあ」と思うらしい。
しかも、それでいて空気を読む子なので、それが原因で小学校で癇癪を起したりはしない。でもモヤモヤは少しずつ溜まる。
そんなことも重なり、小学校へ行かなければいい、ということになった。

また、ちーくんの高すぎる知識欲に小学校の授業は応えられない。
これは先生も実際に面談で言われたことだけれど、1.2年生は繰り返し基礎を身につけるから、新しい知識を得て嬉しい!というちーくんの知識欲を満たすことが難しい。
3年生以降には少しずつ、理科や社会がはいって、楽しくなってくるのでは?ということ。

マス計算を嫌がる子は多いんだけど、実はマス計算って認知能力を高めるのにはけっこう重要だともAは言った。
Aが働いているような発達支援施設では、学習障害などの子もけっこういて、そういう子たちにとっては「縦軸と横軸の交わるところ」を探すのにめっちゃ時間がかかる。
でも、訓練すると空間認知の力が上がる。

「面談って、怖いと思うじゃん。でもね。基本的に先生たちは不登校児を出したくない。だから、どうやったらちーくんが楽しくいられるように対応できるかな?っていうことは熱心に考えてくれるはず。いいバランスのところをみんなで模索していけると思うよ。」

わたしの心を見透かしたようにAが言った。

ちーくんにAが言ったこと

ここまでお話したところで息子が来たのでAと話してもらった。

A「ちーくんは宿題嫌いなんだよね。テストはどう?」

ち「テストは好き」

A「なんで?」

ち「テストは、みんなで一斉にやるから、楽しい。ぼくは本番は好きで、練習が嫌いだから羽生結弦くんと同じなんだよ(最近羽生結弦伝を読んでいた)」

A「学校に行くメリット・デメリットはきっとちーくんのことだから考えているんでしょう?」

ちーくんはたしかに、学校の◎なところ、×なところ、という質問に対し明確に挙げ、それぞれの占めるパーセンテージを出した。
友達関係は、楽しいところに含まれている。
厳しいルールと、宿題やプリントが嫌いなのだ。

ち「うん…友達はいるから。でもね、いやなところが増えちゃったから行きたくなくなったの。」

A「そうだよね。これからさあ、お母さんとか先生とかが一緒になって、ちーくんがどうやったら楽しくハッピーに学校行けるか考えてくれると思うから、ちーくんもどうやったら楽しく行けるか考えてみたらどう?」

A「ちーくんは学校の全部が嫌いってわけじゃないようだから、これからの学校生活で楽しく過ごしていくためのアイデアがきっと必要なんだと思う。そしてそのアイデアは、きっとちーくんが見つけ出せると思う。だって、ちーくんは観察と分析とアイデア出しが得意だからね!」

A「いろんな視点でものごとを見るのは得意だよね?それを、学校生活やお友達との関係にも活かしてみると、かなり違うかもしれないよ。」

ちーくんの顔が???になったので、

わたしが「何パーセントくらい理解した?」と聞くと「7%」と息子が答えた。

A「いまは7%理解すれば十分!」

と言ってくれたのでありがたかった。

Aの彼氏S君もちーくんの話に耳を傾けてくれた。

S「僕も不登校だったんだけどさ。まあ、不登校になれば人間関係って一回シャットアウトできるんだけど、大人になると仕事するじゃない?すると、結局苦手なことしなければいけなかったり、ルールを守らない人とも仕事しなければならなかったりするわけよ。
本当に学校行くのがしんどかったらお母さんにこうやって相談したりするのはOKだし、無理に行かなくてもいい。
でももし友達が好きなのなら、いろんな考えの子がいるな~って知っておくのも勉強のひとつだと、僕は思う。仕事しているといろんな考えの人と会うからね。」

小学校1年生の子にこんなに真摯に語りかけてくれるAとS君、本当にありがとう。

市の発達支援施設には行ってみて、できればWISC(「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の4つの指標とIQ(知能指数)を数値化する検査)は受けてみたほうがいいよ、そしてそれを学級と市の支援施設と家庭でシェアしながら、みんなでサポートしていったらいいんじゃないかな、とAに言われた。

この1か月、ひとりで考えるあまり公教育に対する不満ばかりが募り、良い教育機関がないならホームスクーリング、あるいはフリースクールでも立ち上げようか!?…くらいの気もちまで張りつめていたのだが、「そっか、不登校や不登校未満の問題は家庭だけで抱えなくてもいいんだ。まず学校にも頼ればよかったんだ」と安心することができた。

考えてみれば制度があるのだから、確かにそうなのだと思うのだけれど、(うちの息子がただわがままなだけでは?)とか、(息子はただ面倒で行きたくないのかもしれず、それを助長させるだけなのでは?)とか、(もっと大変な状況の子でも学校へ行っているかもしれないのに、休ませていいのか?)とか…逆に(このまま放っておいたらどうなるんだろう?そのときは家庭でも責任が取れないような事態になる可能性もある…)とか悶々と考えてしまっていたのだ。

電話後、Aから感動のメッセージが入っていた。

「ちーくんは認知能力や言語能力が高いけれど、他の子をけなしたり知識をひけらかしたりせずに、共感力と社会性をしっかり持って学校生活を送れているのは、いままでの育児のたまものだな~って、すごいな~ってS君と話してたよ」

わたしとしては共感力が高いのも社会性が高いのも息子の特性のひとつだと思っていたし、いまも9割がたそうだと思っているけれど、残り1割でも親としてそれらを育めたとしたら、とても嬉しいなと思った。

②では、担任の先生の面談と、市の発達支援相談の先生との対話についてを書く予定。


追記 その後WISCを受けたあと、生活が変わったのでよかったらこちらも。


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