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旅するように働くノマドワーカーの魅力と苦労とは? 【THE WAY】

WOMENCANFLY.COの連載企画「THE WAY」では、毎月海外で暮らす素敵な女性を紹介しています。

今回ご紹介するのは、フリーランスのライター兼翻訳家である西村望美さんです。ノマドワーカーとして、世界を旅するように拠点を変えながら活動している望美さん。9月からはイギリスのお隣アイルランドで暮らし始めました。アイルランド生活を始めて、2週間。これまでに訪れた国は27ヵ国!

フリーランスで働く魅力や苦労、気になる税金や医療保険の話など、国境を越えたノマドワークに興味のある方必読のフリーランスお仕事事情について聞きました。


「フリーランス×海外ノマド」という選択

望美さんはこれまで、カンボジアに始まり、南米、オーストラリア、タイ、フランス、セルビア、アイルランドと、さまざまな国で暮らしてきました。タイのチェンマイに滞在中にフリーランスのライター兼翻訳家として働き始め、現在も場所を問わない「ノマド」スタイルで仕事を続けています。

学生時代から、自分の行動や言動をまわりのみんなと合わせることを強制される同調圧力に息苦しさを感じていた望美さん。ありのままの自分を表現できないまま日本で暮らすこと、働くことに危機感を覚え、新卒のタイミングでカンボジアへ渡りました。

「学生時代にカンボジアなどを対象としたNPOの支援活動に携わっていて、いつかはカンボジアに行こうと決めていました。私は決めたら一直線というタイプなので、日本で就職活動はしていたけど、すでに心はカンボジアにあったんだと思います」


カンボジアでは、旅行会社でのインターンシップとフリーペーパーを発行するメディア企業での仕事を経験。3年半を過ごした後、荷物をまとめて半年間の南米一人旅へ出ます。現地でアパートを借りて、地元の人が暮らすように滞在するのが好きなのだとか。

その後、ワーキングホリデービザを利用してオーストラリア・シドニーのメディア企業で働き始めます。

「シドニーでは、文章を書く仕事をしていました。クライアントさんのニーズを汲み取りながら、ライターが商品やサービスを魅力的に伝えることがおもしろくて。その後オーストラリアを出てタイへ行くときには、文を書く仕事は絶対に続けようと決めていました」

こうして、タイのチェンマイでフリーランスライターとしてのキャリアをスタートさせたのです。

海外のクライアントと仕事をしたかった望美さんは、「Upwork」というクラウドソーシングのサイトに登録し、そこで縁があったクライアント企業と今でも仕事をしています。

「もともと私が旅行好きというのもありますが、実際には魅力を感じたライター業がたまたま場所を問わない仕事だったという感じです。クライアントさんもどこにいても良いよと言ってくださるので、ご好意に甘えて訪れたい国があれば住んじゃおうと、いろんな国を渡り歩いています」

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日本で働くノマドと比べた海外ノマドの生活とは

タイの古都・チェンマイからスタートさせた、望美さんの海外ノマド生活。チェンマイはノマドワーカーが多く、仕事ができるカフェやコワーキングスペースが充実しています。

「チェンマイでは無料のヨガクラスやSEOの勉強クラスなどが開催されていて、よく参加していました。フリーランスは同僚がいないけど、このクラスのおかげで友達ができて良かったです」

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ノマドが働きやすい環境が整うエリアがある一方、ノマドだからこそ苦労することも。

チェンマイを出た後、望美さんは友人のいるフランスへ渡ります。当初、2〜3週間の滞在予定でしたが、コロナの影響で思うように移動ができない状況に。ビザを1度延長しましたが、その期限が切れるというタイミングで、国境が開いていたセルビアに移動しました。

日本と異なり、海外では国によっては入国や長期滞在にビザが必要です。今回のコロナのような予期せぬ事態では、思い通りに動けなかったり、本意ではない移動を余儀なくされたりすることもあるのです。

「特にコロナ以降のヨーロッパは治安が悪くなっているので、自分が外国人であることは常に忘れず、スリなどには十分気をつけるようにしています」

南米旅行中には、ナイフを持ったホームレスの男性に襲われそうになったこともあるのだそう。もちろん日本国内でも危険に遭遇する可能性はありますが、特に海外では「自分の身を守るのは自分」という意識で行動するよう心がけることが大切です。

「数ヶ月ごとに国を変えながら、いろいろな場所で暮らしてみましたが、今はどこかに拠点をつくりたいと思っています。せっかく現地でできた友人たちと離れるのが、毎回寂しいんです。ヨーロッパが良いので、フリーランスでもビザがとりやすいと言われるオランダが第一希望です」

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国が変われば制度が変わる! 気になるノマドの保険や税金事情

海外の雰囲気を楽しみながら、自由に場所を変えて働く海外ノマドに憧れる人も多いでしょう。しかし、病気になったときの医療保険や税金のことなど、現実的な心配事も少なくありません。

「私はブログやネットの記事から情報を得ることが多いです。今はノマドワーカーとして海外で働いている方はたくさんいて、いろんな情報が発信されています」

望美さんの場合、税金については、長いスパンで暮らした国ではその土地で税金を納めてきましたが、現在のように数ヶ月で国を移動する場合は日本でまとめて支払っているとのこと。その際は、日本の税理士さんにお任せしているそうです。

また、医療保険については、ノルウェーの保険会社「SafetyWing」が出しているノマド向けの医療保険を利用しているそう。今のところ病気になったり怪我をしたりしたことはありませんが、日本へ一時帰国した際の病気や怪我もカバーされるとのこと。

プランによってカバー対象は異なるので、気になる方はぜひ保険会社のウェブサイトなどで調べて、ご自身に合うプランを探してみてください。

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望美さんがこれから書きたいこと、伝えたいこと

誰もがSNSやブログをもち、一層書くことやそれを公開することが身近になりました。ウェブコンテンツが増えたことで「ライター」も一気に増え、誰もがライターを名乗れる時代です。そのような中、望美さんは文を書くときに、読みやすい文を書くことはもちろん、それ以上にその文章の目的を考えることを心がけていると言います。

「私が担当する記事は、商品やサービスを魅力的にみせることが目的です。なので、競合他社がどのようなアプローチをしているかなどのリサーチが欠かせません。文章を書くまえの下準備にも力を入れていて、こちらからアプローチ方法を提案することもあります」

現在は、海外のクライアントから仕事を請け負い、商品やサービスの購買を後押しする記事を書いています。クライアントと信頼関係を築き、仕事にも慣れた今、望美さんの心の中では少しずつ、「死、性、政治、メンタルヘルスなど、一般的にタブー視されがちなテーマを深く考えられるコンテンツを発信していけるようシフトチェンジしていきたい」という思いが膨らんでいるのだそう。

「昔、鬱になりかけたことがあり、そのとき友人に心理カウンセラーを紹介してもらいました。その方とお話しするなかで、自分が問題として捉えず見過ごしていた小さな痛みに気付かせてくれ、ストンと腑に落ちる、とても心地のいい体験をしたんです」

同時にそれは、問題を問題だと認識しない人が多い社会、そのことについて声をあげられない社会の生きづらさも感じる機会にもなりました。だからこそ、どういう社会が生きやすいのか「一緒に考えましょう」と伝えたい。そのために、もう一度学校に通って心理学を勉強するのが、今の望美さんの目標です。

「苦しい思いを経験しなかったら、きっとこういう考えには至っていませんでした。だから苦しい時期は、大きな転機だったと思います」

学生時代はまわりの目を気にしてばかりいたという望美さんですが、海外に出ていろんな人に会い、いろんな価値観に触れ、いろんな苦労を経験した望美さんだからこそ書ける表現がたくさんあるはず。

これから望美さんが書く文章は、いつかの望美さんを救った心理カウンセラーの言葉のように、誰かの痛みにそっと寄り添うものになるでしょう。

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この記事は、WOMENCANFLY.COのウェブサイトに掲載した記事の転載です。こちら(THE WAY)から、他の記事もご覧いただけます。ぜひ覗いてみてくださいね!

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