Women in Agile Tokyo 2023 開催レポート
Women in agile Japanの主催した第一回目カンファレンスWomen in agile Tokyo conference 2023が先日2月17日に無事終了しました。そこでは普段では聞くことがあまりない意見や困りごとの観点、想像を超えた素晴らしい場面が多くありました。
数字で見る結果
Why women in agile conference now?
日本のジェンダー平等、女性が活躍し続けられる環境づくりが、いまいち進展していない
Women in Agile の活動を始めたのは2021年の9月頃で、1年と4か月ほどになります。目に見える男女差別がない日本の、しかもIT業界で、どうして場所によっては、女性がまるでいないプロジェクトが発生するのか?なぜ、アジャイルコミュニティは比較的女性がやりやすそうなのか?なぜ、女性のSNSにだけ、気持ち悪いレスがついてしまうのか?
もしかしたら無茶苦茶時間がかかることなのかもしれないけど、一つ一つ違和感を言葉にして、変えるためのアクションをとれないだろうか。変えられないにしても、心を病んでしまう人を減らせないだろうか。そんな思いでカンファレンスを始めることになりました。
ジェンダーギャップ指数:日本は116位で、未だ先進国最低レベルである
日本の文化:協調、清貧、言わない美徳、沈黙は金、空気読む、配慮する、言ったら損・・といった文化を乗り越えられていない。現場行動に落ちていない。
米国文化との違い(米国企業で働いていての実感値として):U.S.で働く仲間をみていると、コミュニティの多さ、活発さが全然違う。
「自分たちで勝ち取っていかなければいけない。自分たちで意見を出していく必要がある」という気概をとても感じる。結果、「ダイバーシティ&インクルージョン」などの流れが出てくるのではないか。自分たちの国や業界はどうだろう?イスラム圏との違い(Women in agileの他地域コミュニティや、瀬谷さんの話から):イスラム圏では、女性の立場の弱さがより鮮明で、命に関わることがある。日本はイスラム圏と比べると、命に大きく関わっていない分、差し迫った差別は少ない。だからこそ表に出てこない問題(参考*kawaguti さんブログ)になっている
What we do?
私たちは以下のことを中心に取り組みました。
見えない問題に焦点を当てる
ちゃんと女性(或いはマイノリティ)が違和感を出す。口に出し、行動に変換することで、習慣・文化になっていく
仕組みを作る。違和感を表出化し、課題を解決していく流れの仕組みを作る
壁を作るのではなく、できることから始める機会を増やす
Keynote「争いを防ぐ」取り組みの最前線
認定NPO法人REALs(Reach Alternatives)
理事長 瀬谷 ルミ子 さん
2021年の9月に、大きな事件がありました。アフガニスタンの米軍撤退です。瀬谷ルミ子さんとREALsの皆さんは、すぐさま活動を始められ、命の危険にさらされた数多くの方々を救ってこられました。途方もない努力だと思います。力を尽くしても救えない人たちも数多くいるでしょうし、根本的に政治を変えることも、きっと今は難しい。私たちはそれでも活動する瀬谷さんたちの道のりや、ノウハウ、マインドセット、ガッツから学ぶものがたくさんあると感じました。第一回のカンファレンスで瀬谷さんにお願いしたのは、そんな思いです。
瀬谷さんプロフィール
専門は紛争地の平和構築、治安改善、兵士の武装解除・動員解除・社会復帰。現在はREALsにてアフガニスタン、ケニア、南スーダン、ソマリア、トルコ、シリアで紛争とテロの予防事業、女性を紛争解決の担い手として育成する事業、緊急支援などに携わる。イギリス政府International Leaders Programme(2015年)、The New York Times「世界に影響を与えた10人の女性」(2022年)などに選出。著書に『職業は武装解除』(朝日新聞出版)
エピソード(抜粋)
イスラム圏では、何の後ろ盾もない中命の危機を犯して立ち上がる女性たちがいる。
女性が主体的に参加した和平合意の成功率は35%向上する。しかし、実際に女性が参加した和平プロセスは全体の9%のみ (1992-2010年)。なぜか。意思決定に参加しにくい社会構造がある
なぜ女性参画が大切なのか。社会が不安定になった時に最初に切り捨てられるのは女性。女性は社会の変化に敏感。「これが本当に弱い人たちを救うことになるのか」というのを見極めることができる。そういった視点が入らずになされる合意には実効性が少ない
主体的な参加でないと逆効果になる。予定調和の枠組みの中では政策や中身に影響を与えることができない。女性がアクセスできないとことにリーチできる道を作る必要がある
インターセクショナリティという言葉がある。女性の中にも複数の括りがあるので、女性というだけで連帯は生まれない
さまざまな対立も、話し合いで問題解決するようになる。(例え緊張状態にあっても争いや暴力という手段を使わないようになる)中立的な存在や、問題解決に主体的に取り組む人の育成が必要
ロールモデルを育成して次の世代へ希望を繋げる。一人のサクセスストーリーで終わらせず、仕組みにしていくことでその人から社会を変えていくことができる。
何かを実行する時は、まず人を変える。そして、しくみを変える。最後に社会を変える。この順であることで波及効果が生まれる
メッセージ
世界の平和は、国によっては血と汗の滲むような努力の積み重ねと苦しみとの折り合いの上で成り立っている。待っていても幸せは来ない
絶望の淵で挫折するのではなく、希望を見出すこと
人・仕組み・組織など、物事を変えたい時は、相手との理想像を共有すること。そこから、現状が続くとどんなリスクがあるか?などを考えるところからスタートすること
Open Space Technology (OST)
私たちは、午後目一杯の時間を使って、「参加者が自ら手を挙げ、話したいアジェンダを手に周りの人に議論を呼びかけ好きなだけ対話をする」ことに取り組みました。
あなたの内側に、芽生えている違和感はありますか?
沸々と、湧き上がってくる興味はありますか?
この場にいる人と、共有してみたいことや、相談してみたいことはありますか?
そんな呼びかけに、会場にはたくさんの列ができました。
当日提案されたアジェンダ(一部)
Organic Envioronment
仕事でもないのに、みんなフルに気持ちと頭を使いながら
答えのない問いに向き合う「場」。
「うまくやれないかもしれない」というプレッシャーを手放し、
「変に思われるかもしれない」という不安を脇において、
ありのままの自分自身で、向き合っている
それが歓迎される「場」。
この常に動き続ける「場」は、どのようなエネルギーに突き動かされているのでしょうか。
夕方になると、自然とぼーっとする人、2、3人で話す人など、計画されているテーブルから離れて自由に過ごす人が増えてきました。
それはとても自然な、生身の人間の、シンプルで、有機的なつながりの場でした。
Code of Conduct
私たちは答えのない問いや、解決が困難な問いに向き合っています。
だからこそ、お互いに尊敬を持ち、誠実な態度で臨んでいただけるよう、参加者の皆さんに協力をいただきながら「場」を創っています。
どうかあなた自身を大切に。隣にいる人も同じぐらい大切にしましょう
この会場に入る前に、これまでの物差しは置いていきましょう
この場にいる一人一人が、自由に発言できるようにしましょう
相手に違和感を持った時、相手を否定するのではなく、「なぜ自分が異なる意見を持っているのか?」を大切な人に伝わるように伝えましょう
今後の課題
OSTではたくさんの議題がありましたが、特に多く上がった課題は
女性リーダーの旧来のイメージ払拭
女性のキャリア開発
でした。
長い長い歴史がこのテーマにはあります。年月をかけて世の中の多くの女性リーダの方、コミュニティの方々が声を上げて作ってきてくださったバトン。
10年20年かかるかもわからないけれど、一人でも多くの女性リーダーと、それを支える男性リーダー、双方で協力することで、課題解決に寄与していきたいと考えています。
引き続きご支援ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
参加者の声(一部)
多くの方に、当日の学びや気づきなど発信をいただきました!ありがとうございます!
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