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徒然なるままに・・・052_20220812

後悔してる

私には心を囚われている友人が一人いる。私があなたのことを親友ということを許してもらえるだろうか。

もう10年以上会っていない。そんな友人は山ほどいる。もう一生死ぬまで会えない友人もきっとたくさんいるだろう。なんとかしてもう一度会いたいと思う友人がいるとするならば、それがきっと親友というものだろう。

またそんな親友の中にも、もう二度と会えなくったって、まぁ、あの世で出会えるかもしれないし、と簡単に会うことを諦めてしまえる人もいる。決して軽い気持ちじゃなく、これだけ離れてて何年も会ってないのに、相変わらずわたしたちは親友だと言い張れるほど堅い絆を信じているからだと思う。妙な自信と安心感がある。

私があなたにとらわれるのは、そこに確固たる信頼と絆がないからだ。

喧嘩別れ、そんな一瞬の出来事としては片づけられない。わたしたちの間には最初から不確実な危うさがあったと思う。

あなたはなかなかのネガティブな考えの人だった。周囲の人たちは私たちを対称的にとらえ、性格が真反対の二人がなぜいつも仲良く一緒にいるのか?と不思議に思われていた。

確かに私たちは意見も合わず、どうやって仲良く過ごしていたか分からないほど対称的だったかもしれない。でも、私はあなたと一緒にいる時間がとても居心地良かった。

今思えば、その感覚がもしかしたら深い問題、溝を作っていたのかもしれない。あなたはよく「あなたは太陽で私は月のような存在だ」と言っていた。その言葉に気をよくしている自分がいた。私はあなたのことを尊敬していた。思慮深く優しいあなたに認めてもらっていることが嬉しかった。羨ましいという言葉をよく聞いた。私もあなたのことを羨ましいと思っていたから、お互いさまだと思っていた。

だけど私はあなたに自分の素直な気持ちを打ち明けたことはあまりなかったかもしれない。あなたはとても言葉に敏感で、傷つきやすく、私の一言一言に一喜一憂するタイプだったから。言葉を選んで伝えてしまった。喜ぶ言葉を。たまには自分の意志とは反することも言ってしまった。

私が遠く離れた場所に行くことも自分勝手に当たり前のように決めてしまって、親友のあなたのことなど、まるで何も関係しないように扱ってしまった。正々堂々、自己実現をする雄姿を見せることを優先させてしまい、あなたの寂しい気持ちや独りぼっちにさせてしまうことへ詫びることもなく、みんなの私、ちょっとした有名人の私を気取ってしまった。

私はあなたに嫌われたくなかっただけだった。ネガティブな感情に巻き込まれて、どうしようもなく、私を毛嫌いするあなたを認めたくなかった。いつも羨ましがられ、憧れの念を抱かれ、唯一無二の絶対的な存在、親友と思われたかった。

毎日毎日一緒にいて、それでも話足りなくて、家に帰ってから長電話して、週末またカフェで何時間も話し込んで、どれだけの時間を一緒に過ごしたか分からない。あれだけ話をしたのに、私は自分の気持ちをほとんどあなたに話せていなかった。あなたの悩みを聞くばかりで、自分の悩みや弱音を吐き出せていなかった。

遠く離れたあと、これまでどおりあなたは同じように私に長文メールを何度もくれたけれど、私のドライな対応は遠距離には向かなかった。書き文字は修正が聞かない。話し言葉は相手の顔色を窺いながら、小まめに修正や訂正が聞くけれど、一方通行の文章はどうしても相手がどう捉えるか、反応が直に確認できないから、私のような人間には不利である。

気が付かないうちにたくさん傷つけてしまった。最後のメールがあなたからのもので終わったか、私のメールに返事がなくて終わったのか、忘れてしまったが、私の心は10年以上も後悔したまま凍ってしまっている。

一つだけ救いがある。あなたは執拗に私に依存していたが、結婚した。子どもがいるかは知らない。結婚したところまでは記憶している。もしかしたら、結婚したから私たちの仲に違う何かが生まれ、自然消滅しただけなのかもしれない。

私たちがとても仲良かった頃、私にはいつも彼氏がいて、あなたは別のカテゴリーで愛情を注ぐ友人であった。時には彼氏よりもあなたを優先したこともあったし、私の中では両立できる愛情であった。あなたは「私は結婚できない。誰からも愛されない。」が口癖だったから、あなたを愛してくれる存在ができたことで、もしかしたら私はもう役目を果たしてしまったのかもしれない。

あなたが今、幸せならそれでいい。もし泣いていたら、もう一度、慰めてあげたい、元気づけてあげたい。でも、あなたにとって私という存在は麻薬のようなもので、依存性が高く、私の言葉に一喜一憂してしまうほどだから、危険な人物として友情を復活させることは止めた方がいいかもしれない。

あなたはもう私のことなんて忘れてしまっただろうか。私の方が案外あなたを求めているのかもしれないね。

あの頃、私はあなたにたくさん救われた。友だちでいてくれてありがとう。本当に感謝しています。

いつかまた会えるといいね。

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