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GOT7のおかげでゾンビから生還した話。後編

 初めてのコンサート

 前編はこちら↑

 ごりごりのオタクになって沼にダイブしてから少しして、彼らが来日する事になった。
「モリアガッテヨツアー」と言うなんとも楽しそうなアルバムタイトルのツアーだ。

 洋楽ロックのライブにしか行った事がなく、アイドルのコンサートとはどんな雰囲気なのか分からず、こんなおばさんが行ったら白い目で見られるんじゃないだろうか、行っていいんだろうか、なんてウジウジと考えながらも、えみちゃんとふたりで無意識に秒でチケッティングしてしまっていた。えみちゃんは学生時代からの親友で、フェスもライブもほとんどを彼女と経験して来た。
 その頃、ハンドメイド作品のオーダーを細々と受けていて、費用はそこから捻出することができた。

 お互いに実家に子どもを預ける事に成功して、コンサートに無事に行く事が出来た。
 それは、私がもちおを出産して以来、後輩の結婚式に出席した以外、初めての自分都合での外出だった。

 母の外出は毎回綱渡りである。
 綿密に計画をたて、チケッティングし、準備していた所で、朝子どもが体調を崩したら、一発アウトなのだから。幸運にも、皆元気にその日を迎える事が出来た。

 沼に落ちてから初めてのえみちゃんとの久しぶりの再会。私たちは普段から電話はあまりしないタイプなので、思えばずっとLINEでだけ会話していたし、えみちゃんの他にガッセブンの話をする相手なんてもちろんいない。なので「マク」「ジェク」と言葉にして言うだけで、すごく甘酸っぱくて気恥ずかしい気持ちになったのを、今でも覚えている。

 ゾンビからの生還

 マクとのデート(もうすでにアタオカ)の為、コーディネートも考えたし、お肌のお手入れもしばらく前から頑張って、メイクもきちんとしてお出かけした。そんな風に自分に気を遣うのも、久しぶりの事だ。久しぶりどころか数年ぶりだ。
 もちろん、そんな浮かれた自分は家族の前では封印していた。ちょっと久しぶりにコンサートでも行ってみたくて……あー、えみちゃんと久しぶりに会えるの嬉しいな、の程だ。もちろんえみちゃんに会えるのは嬉しかったけれど、もうひとつ、マクが本当に現実世界に存在するのか確かめるという重要な任務があるのだ。

 会場には、中学生くらいの若い女の子から、大人の女性に若い男の子、それから、おばさんに、おじさんに、おばあちゃん、そしてタイ、アメリカ、中国などなどからやって来た海外勢。
 私が想像していた全員女子高生、のような雰囲気ではなかった。もちろん8割は女性だ。
 GOT7が多国籍チームだからか、ファン層も多種多様で、私たちはちっとも浮いてはいなかった。おそらく。

 神々しすぎるGOT7

 zepp osakaのスタンディングでぎゅうぎゅうでも、あのMARK TUANが本当に実在していて、彼が同じ空気を吸っている、という事実で始まる前からすでに泣けて来そうなくらい嬉しかった。

 そして彼らは異次元級にかっこよくて、スタイルが良くて小顔すぎるので、本当はそこにいないんじゃないかと思うくらい神々しかった。
 けれど神々しいだけでなくて、歌もダンスも言葉では言い尽くせないほど素晴らしく(語彙消失)
 曲の合間にステージ上で目配せをしあって笑い合う。汗だくになって、ステージを走り回っている。彼らは本当に存在した。
 ハードルを上げに上げまくって、はち切れそうなくらいに胸を膨らませて挑んだけれど、なにひとつガッカリなんてしなかった。それどころか、GOT7は想像を軽く超えて来た。
 胸熱、というのはまさにこのこと。
 幸せすぎてなんだかずっと泣きたいくらいだった。

 会場に響くスピーカーから流れる重低音で肌がビリビリした。その感覚も、本当に久しぶりだった。
 泣きそうだった、と書いたけれど、実際はこっそり少し泣いた。

 それまで、後ろからダイブした男が運ばれて来て靴が頭の上を通過して行くような洋楽のライブにしか行った事がなかったので、周りが女子でいい香りがするぎゅうぎゅうは初体験だったし、アーティストが優しいのも初体験だった。
 アイドルはファンにめちゃくちゃ甘くて優しい。

 ここまで長々と書いておいて今更、で、ガッセブンて誰やねん。と思われた方の為に。
 リンク置いておきますね。もしまだゾンビの方がいたら、蘇生してしまうかもですね……。

 ハッカという人格

 それを期に、ハッカの人格は定着し、母とハッカを両立できるようになった。また次会える時のために、綺麗じゃなくても汚いとは思われたくない。そう思って自分の事にも気を遣うようになったし、GOT7を通じて新しい友達ともたくさん繋がる事が出来た。
 母としての子どもへの愛情は変わらないけれど、完全に忘れ去っていた、自分個人としての好きなものへの情熱を思い出した。

 明らかに、私はゾンビから蘇生して、また自分の人生が回りだした。
 大袈裟だけれど。
 本当に、ヲタ活には、そのくらいの威力がある。
 ここまで長々と書いて、本当に自分でもキモい事を書いたなあとも思うのだけど。
 手の届かない何かに、誰かに、胸を熱くした事がある人ならば、少しは分かってもらえるのではないかなと……願ってみたり……願ったところでキモいんだけれど。


 最後に。
 さっきからデートだとか会ったとか言っているけれど、もちろんチケットで得た場所は最前列などではないし、認知もされないし、人垣の中から必死に見上げて、何度か目があった気がした!の部類だ。

 それを全て含めてデートと言うんだぜ。
 鼻息荒らく。
 そして私は深く長く潜るタイプなので。まだ沼から抜け出せずにいる。

 7年? 8年? 経った今もまだGOT7とマクに夢中なのだ。


#ハマった沼を語らせて

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