News20241001 地域別消費性向
アメリカのアルコール消費は減少しているが、州レベルで分析するとチャンスはまだある、のだそうです。
当たり前っちゃ当たり前なのですが、お金持ちの多い地域と貧困層の多い地域では売れる商品に違いが出ます。人口規模によっても結果は影響を受けるでしょう。お金持ちが多ければ高いものが売れるし、人数が多ければたくさん売れるはずです。
これは日本でも同じだと思います。日本でも都道府県別のデータはあるにはあるのですが、クラフトビールに限って言うと無いに等しい状況だということは知っておいて頂きたい。
こういうデータは政府の統計調査の場合もありますが、POSと呼ばれるレジで取得できる顧客の消費行動をデータ化したものが多いです。バーコードをピッとやった時にどんな商品が何個売れたかという情報が蓄積していき、分析されます。小売では重要な指標になるので様々な会社がデータを販売しています。たとえば、こういうものです。
分析方法もネットで調べればいくらでも出てくるのでここで説明はしませんが、クラフトビールと呼ばれるお酒はバーコードが付いていないものが結構多くてそれらはPOSデータに反映されない。バーコード(流通業界では普通JANコードと呼びます)は流通の効率化、問屋など中間流通を経由するために必要なものなので、それを必要としない小さなブルワリーでは付ける必要がありません。小規模事業者が多い業界なのでPOSデータでは家庭用市場全体像が正確に把握出来ないわけです。
更に難しいのは、業務用(=外食産業向け)でのいわゆる樽生の扱いです。バーコードが付いていないのは同様ですが、小規模事業者は樽を問屋などを経由させずに直販することが多く、中間でどれだけ動いたかも把握、計測出来ないのです。家庭用、業務用共に誰もクラフトビール市場がどうなっているか恐らく分かっていない。
国税庁からこういう調査結果も発表されていたのですが、それも平成30年度までで、以後調査内容が変更されてビールは対象から外れ、「清酒・単式蒸留焼酎・ワイン」の3つに絞られました。
起業数も多いし、地域創生や地域経済循環にも役立っている気がするので、もう一度政府には詳しい統計を取って頂きたい。また、大手企業の予算にぶら下がると結果が捻じ曲げられてしまうかもしれないので、独立した形で研究者やジャーナリストが調査してもらえたら嬉しい。まだまだ小さなマーケットなので難しいかもしれませんが、そういう可視化をしていかないといつまでも経験と勘の世界になってしまうように思う。
5年前にこんなことを書きましたが、あれからどれほど変わっただろうか。
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