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理想の開発環境に見る日本のIT業界の闇

知人から教えてもらった以下の記事を見て、日本の現実はこうなんだな、と改めて思い知らされました。現状使っているツールとしてならとてもよくわかる(けどわかりたくない)ですが、これが理想だと思って答えているとしたら、闇しか感じらません。

衝撃の結果にネットでも話題沸騰?

知人に聞いて中身を見た後、あまりに偏っていると思われる結果にTwitter検索してみると、「どこの世界だ」、「俺の認識と違う」といった声がたくさん上がっていました。そりゃ、この結果を見たら驚きます。

この記事は上の大元の記事をベースに各種の技術系Webサイトに調査結果が掲載されています。ただ、そちらは上の記事にある対象の属性に関する情報がないので、ますます混乱を招いているようです。

大元記事の調査対象者の属性を見ている人は、回答者の年齢が高めなことと、ITエンジニアの内訳のうち4割を「システムエンジニア」が占めていることをみて、「なるほど理解した」、「大手SIerの従業員が回答したらこんなものじゃないか」といった声が上がってました。

また、実際自分の周りはこんなものだから、なぜ問題になっているのか分からないといった声もありました。

日本の過去の実態調査としてなら理解できる

それにしてもだいぶ偏っている気はしますが、そういう会社がやはり多いのだろうと思えば、まあ、そんなものかなという気はします。自分も前職の狭い範囲の世界しか知らないので、世の中一般がどうなのかということはわからないです。が、狭い世界で見ても確かに「現状として」なら違和感はありません。

ただ、この調査は「今使っている開発環境」ではなくて「理想の開発環境」というお題なのですよね。

結果や対象者の属性からして、今はコーディングとかしてない、プロジェクト管理とか、やっても上流設計のみで実際のコーディングやテストといった泥臭い部分は若手や下請けに任せている人達が、アップデートされていない昔自分がコーディングしていた時代の情報を答えているようにしか見えないです。それを今世に示すことになんの意味があるのだろうと首を傾げてしまいました。

この調査や、その結果としての上記の記事が、世の中に対して何を訴えたかったのかよくわかりませんが、少なくとも、この情報を元にこれからプログラミングを始めようなんて人が出ないことを祈ります。

とはいえ、世の中実際はこんな程度のものだったりするので、理想と現実を知るという意味では、実によい記事なのかも知れません。
Twitterでもネットのあれこれよりも現実的だというツイートもありました。

ITエンジニアの使いたいPC

一応、各項目についてコメントしておきます。なお、各調査は今使っているものを聞いているわけではありません。自分に決定権があるとしてビジネスやプロジェクトにおいて何を選択するか?という問いになっています。

結果ですが、Windows9割、Mac1割と、Windowsが圧倒的に支持されています。この時点で選択肢が2つだけかよとか、ツッコミたくなり、以降を真面目に読む気がなくなりました。
まあ、求められる回答がOSではなくて端末の種類なので、こういう選択肢になるのでしょうか。

ちょっと余談
MacOSでDockerにUbuntsuベースのコンテナを上げて、VSCodeからリモートで開発する場合の「使いたいPC」の回答は何?
Chromebookでクラウド開発環境使っている場合はどうなるのだろう?
自由回答なのか、この2つの選択肢しか選べないのかわかりませんが、後者とするとそもそもアンケートを作っている側が年齢高めのシステムエンジニア上がり?

ネットでよく「プログラミングを学ぶのにWindowsとMacのどちらがよいですか」といった類の質問を見かけます。そういうものではこんな圧倒的なことにはなってないのですが、世の中の大手SIerとかでは確かに圧倒的にWindowsかもしれないです。

この後、ビジネスチャットツールとか、Web会議システムとかありますが、話す相手に応じて使い分ける必要があるのは当たり前かと思います。そもそも調査に意味を感じないので割愛します。

ITエンジニアが使いたいエディタランキング

1位のサクラエディタが4割弱、2位の秀丸が2割と、トップ2で半数以上を占めています。これに3位のVisualStudio Codeの1割弱を加えて全体の2/3を超えます。

この後もTeraPad、EmEdiorといった懐かしい名前が並びます。自分も簡単なテキスト編集(設定ファイルをいじったりとか、長大なログをみたりとか)はTeraPadを使います。

プログラミング言語を勉強するときは、あえて補完機能とかないシンプルなエディタを使うべき、という考え方もあります。ですので否定はしませんが、自分は頑張るところはそこじゃないかな、と思います。個人の見解です。

ITエンジニアが使いたいIDEランキング

この項目も何をやる人かに大きく依存するので、ITエンジニアとかいう大括りでのランキングに意味があるのか疑問に感じます。

結果としては、IDEを使わないという回答がおよそ1/3を占めています。使うプログラミング言語や開発対象にもよりますが、VisualStudio CodeやATOMなんてIDEに近い部分もあり、分野によってはIDEは使わないというのはわかります。なのでIDEを使わなくても、IDE的な機能を有するエディタを使ってるケースも多いと思います。
ですので、ターゲットを絞らない調査に意味があるとはあまり思えません。

ITエンジニアが使いたいプロジェクト管理ツールランキング

この項もまた闇成分多めなところです。1/3近くがExcelを理想としてあげています。

うーん、確かに現実問題そういうケースが多いのは理解していますが、管理対象の規模も問わずに理想がExcelというのは、それは違うだろという違和感があります。

まあ、いわゆるプロジェクト管理ツールはお高いことが多いし、結局、Excel管理ということも多いのはわかります。自分も前職ではExcel管理になりましたし。それはもちろん、規模がそんなに大きくなかったこともあるし、昔はあったMSProjectのライセンスがなくなったりとかもありました。
ここに限りませんが、結局はツールじゃなくてマインドですので、ツールに拘っても意味がないというのも事実ではあります。ご大層なツールを使ったところで、メンバーにスケジュールやコストを意識する考え方がなければ意味がないし、それらがあればExcelだってテキストだって構わないとも言えます。
ただ、それが理想かといえば違うよね、という思いがあるのですが、みなさん諦めが良いのでしょうか。

ITエンジニアが使いたいクラウドサービスランキング

これは順位ついていますが、AWS、Azure、GCPがほぼほぼ並んでいます。これもターゲットとかによると思うので、何が理想というのはないかなと考えています。AWSとかできることも多いけど、覚えることもたくさんあるので、シンプルなGCPの方が使いやすいという考え方もあると思います。

弘法じゃないから筆は選べ

社畜は会社やプロジェクトの都合でツールなんか自分では選べないということもあるでしょう。なので理想なんて語っても意味がないという考え方もあるかもしれません。

学生さんとか、異分野からITエンジニアを目指したという人は、現実に使うことが多いもので学びたいという考え方もあるかもしれません。

確かにモダンなエディタと拡張機能に慣れた人が、いきなり上からこれでよろしくとサクラエディタ渡されたら途方に暮れるかも知れません。って、disってるみたいになってしまいましたが、別に特定のエディタを指してそんなもの使い物にならないというつもりはありません。まあ、自分はMIFESとかVzエディタでしたけど。

今時なモダンな環境に慣れてしまうと、いざそれらが使えない時に困ってしまうということも確かにあります。
自分が社会人になったおよそ30年前、入った会社はUNIX(Linuxじゃないよ、SunOSだよ)がメインで、エディタは普段はviとかemacsが二大派閥を形成していたりしましたが、当時の先輩からは非常時にはそれらが使えないケースもあるから、ラインエディタ(exとか)も使えるようにしとけと言われました。便利環境は便利な故に、それに頼りきりになると本質が理解できないという考え方もあります。

常に最新のもの、今風なものが最高だとは思わないし、何がなんでもモダンエディタを使えとは言いませんが、現状あるものに満足して、新しいものを勉強しようともしないというのはエンジニアとしてはいかがなものかと。

実際、前職の自分の周囲は、新しいことを学ぶのはどうしても仕事で必要になった時くらいで、IT関連の会社なのにExcelも使いこなせないような人ばっかりの状況でした。仕事に追われて、という部分もありますが。
なんといっても、OneNoteですらわからないのでWord使います、って感じの人ばかりでしたから。新しいことは極力避けようとするし、そうやって避けるからいつまで経っても進歩しない、という悪循環。
別にツールなんて効率的に仕事が進めばなんだってよいのですが。

結局、縛りやしがらみで自由に選べないことも多いので、使えるものを使うしかないし、上にいる高齢のマネージャが理解できないツールは使わせてもらえないといった事情もあるでしょう。
そういう部分に日本のIT業界の闇を感じてしまいます。いや、所詮自分は井の中のエンジニア崩れなので、世界は知りませんけどね。

拙い記事でございますが、サポートしてもよいよという方はよろしくお願いします。著者のやる気アップにつながります。