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問題解決プログラム導入事例

問題解決プロセスモデルを活用した製品開発プロジェクトリーダーの育成

医療機器を製造開発する某メーカー様は、プロジェクトリーダーの育成に力を入れ、製品開発全体の品質向上や生産性向上を目指していました。

一部のプロジェクトでは、外部コンサルタントの支援により、プロジェクトリーダーがプロジェクトマネジメント手法のベストプラクティスを体験し、マネジメントスキルの早期成長へとつなげる施策を挙げていました。しかし、限られた外部コンサルタントの体制の中で、プロジェクトリーダーとコンサルタントの役割の混在によるプロジェクト支援の長期化などの問題により、支援が行き届いていないプロジェクトも多数あることから、全体へのベストプラクティスの体験によるリーダー育成方法について、進め方を模索していました。

そこで、”問題解決プロセスモデル”というアプローチ方法を導入。プロジェクトリーダーが抱えるプロジェクトマネジメントに関する課題を明確化し、対策を立案、コンサルタントが伴走して支援することで、プロジェクトリーダーのマネジメントスキル向上などを実現しました。

■目的

「自走できるプロジェクトリーダーを増やし、製品開発プロジェクト全体のQCD最適化により、生産性向上と安定化を図ること」

上記目的を実現するため、外部コンサルタントの役割と期間を明確化するとともに、プロジェクトマネジメント手法をベストプラクティスとしてプロジェクトリーダーに体験させ、マネジメントスキル向上を目指すこととしました。

ミッションとしては、以下3点を掲げました。
1.問題の特定と支援内容・期間の明確化
2.体系化されたプロジェクト運営方法の導入
3.支援前後でのプロジェクトリーダースキル評価の実施

■導入前の課題

外部コンサルタントの常態化と支援不足への懸念といった問題から以下の課題解決に取り組みました。

・外部コンサルタントの支援を有期化させ、事業成長時のコンサルタント支援の要員不足を解消し、コスト向上を抑制する

・プロジェクトリーダーが、外部コンサルタントと伴走し、プロジェクトマネジメントスキルを習得することで、人的資本向上を図る

・プロジェクトマネジメントスキルを評価する仕組みを整備し、事業成長戦略と合わせた継続的なマネジメントスキル向上を図る

■アプローチ方法

”問題解決プロセスモデル”にて、プロジェクトリーダーが抱えるプロジェクトマネジメントに関する問題の特定から対策実行、評価までを一連のサイクルで実施しました。

問題解決プロセスモデル
  • 改善PJ決定プロセス
    数十あるプロジェクトの中から本取組を適用するプロジェクトを選定するプロセスです。

    ・プロジェクト上位層とのヒアリングを実施し、多数あるプロジェクトリストから、「プロジェクトの進捗状況」「外部コンサルタントの支援状況」「育成対象となるプロジェクトリーダー」を踏まえ、改善対象のプロジェクトを選定

    ・問題解決プロセスモデルによる、問題の特定から対策実行、評価までの一連のサイクルについて、プロジェクトリーダーと擦り合わせを実施

  • 問題定義・課題分析・対策立案プロセス
    選定したプロジェクトリーダーのプロジェクトマネジメントに関する問題を定義し、対策を立案するプロセスです。

    ・PMBOKをベースに、プロジェクトリーダーが抱えるプロジェクトマネジメントに関する問題と課題を抽出し、解決策を立案

    ・プロジェクトマネジメント運営上の会社組織的な問題等(人員不足など)については、プロジェクト上位層へエスカレーションの仕組みを整備

  • 実行計画策定・実行プロセス
    立案した対策を具体化するプロセスです。

    ・解決策を実行計画書として作成し、具体的な対策ステップや対策期間、作成物、役割を定義(WBSへの組込み)

  • PJ評価・PJリーダースキル評価プロセス
    対策実行後の振り返りとプロジェクトリーダーのスキルを評価するプロセスです。

    ・サイクル終盤にプロジェクトリーダーのスキル評価を行い、実行プロセス前後でのプロジェクトリーダーのマネジメントスキル変化を確認

■導入後の効果

  • プロジェクトマネジメント課題の明確化により、長期化した外部コンサルタント支援を有期化
    場当たりな問題解決ではなく、課題やリスクを洗い出し、対策の優先度と対策ステップ・対策期間を計画することで、コンサルタントの支援期間も定まり有期化することができました。

  • プロジェクトリーダー教育を目的としたコンサルタントの投入により、曖昧な支援業務が削減(分業化)
    外部コンサルタントの投入目的をプロジェクトリーダーの「サポート」から「教育」へと変えることで、分業化がなくなり、コンサルタントとプロジェクトリーダーの役割も明確になりました。

  • プロジェクト固有の問題と会社組織として実施する問題を切り分けることで、プロジェクトリーダーの業務負荷が軽減
    会社組織の問題は上位層へエスカレーションする仕組みを整備したことにより、プロジェクトリーダーの調整業務等が減り、負荷を軽減することができました。

  • プロジェクトリーダーがプロジェクトマネジメントの実施方法を学ぶことで、マネジメントスキルが向上
    外部コンサルタントの伴走型支援により、プロジェクトリーダーがリスク及びコミュニケーションマネジメントに関する理解を深め、マネジメントスキルが向上しました。

■問題解決プロセスモデルの活用メリット

問題解決プロセスモデルの利点は、体系化されたフレームワークであること

プロジェクトマネジメントにおける問題抽出とスキル定義はPMBOKをベースにすることで、知識の有無を抜け漏れなく(MECE)確認することができます。
また、問題定義が間違っていては解決策も誤った内容となるため、本質的な問題を見極めることが重要です。課題(原因)分析の前に本質的な問題を特定することで、根本解決に繋がります。

各プロセスで必要なドキュメント類はあらかじめテンプレート化し、体系化されたフレームワークにしていることで、他プロジェクトへ横展開が可能となり、製造開発プロジェクトに限らずどのようなプロジェクトにも適用できます。

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