見出し画像

鉄火丼

週末の朝。いつもより少しのんびりと目を覚まし、枕元や足元でまだ寝息を立てているねこたちをモフモフしつつ、まだ意識の1/3くらいをまどろみの中に浸したまま、手元のスマホをスクロールして、恋するクリエイターさんたちのところにお邪魔させていただく……

それは一見ささやかに見えるかもしれない。けれど、私にとってはとても贅沢な、最近の休日のお楽しみだ。


今朝もそんな風にして、いくつかのすてきな記事にニンマリと薄ら笑いを浮かべるひとときを過ごしていた。ああ、なんていい気分。せっかくだから今日はこのまま、ちょっと二度寝でもしちゃおっかなあ。

しかしそんな気だるくも心地よい気分に浸っていた脳味噌は、とある記事を開いた瞬間に強制的覚醒を促された。ぬくぬくとモフモフに染まっていた脳天を、大気圏から雲を蹴散らしながら真っ直ぐに、深く、強く貫く!それはさながらロンギヌスの槍……!


(またしても勝手にご紹介してしまい、すみません)


投擲手は、先日『林家ペーパータオル』に関する真理の扉を開けてくだすったあの御方。

先ほどまで半分寝ていたのが噓のように、ガバリと布団の上に飛び起きる。ぬくぬく&モフモフ一色だったはずの脳内は、今や抗いがたい欲望によって真っ赤に染められつつあった。


「まずはおすし おすしをたべるのよ」


お寿司……食いたい!!!!!!


二度寝なんぞしている場合ではない。今すぐお寿司を食べに行かねばならない。

しかし、とわずかに残った頭の隅の冷静な部分が囁きかける。今日は土曜日だ。私のお財布事情的に気軽に入れる店、つまるところ回るお寿司系は、開店からご家族連れで賑わっているだろう。このご時世、混雑している場所は避けたい。

かと言って、回っていないお寿司屋さんに行くのは……む、難しい。夏に車検を控えており、なるべく節約したい身としては、プランHS(本格寿司店)はなかなかに厳しい。一体どうすれば……こんな時、どんな顔すればいいか、分からない……。でも食べたい、お寿司。プランMS(回る寿司店)は使えない、HSも駄目だ。いやもうこの際お寿司っぽいものでもいい気がしてくる。お寿司っぽいもの……酢飯に、お刺身とお醤油とわさびがあれば……


よろしい、ならば鉄火丼だ。


画像2

というわけで前置きが長くなりましたが、今夜の晩ごはん、鉄火丼。小鍋に醤油とお酒とみりんを入れて火にかけ、しっかり沸騰させてアルコールを飛ばし、そのまま冷ます。冷めたらわさびをたっぷりと溶かして、これで漬け汁完成。こいつにまぐろの切り落とし(特売品)を30分から一時間ほど漬け込んでおく。炊飯器指定より少し少なめの水加減にしたお米に、昆布を15センチ長くらいに切ったものを載せて炊飯。炊き上がったら市販のすし酢と、たっぷりの白ごまを混ぜ合わせて、あら熱が取れるまで冷ます。このすし飯を丼によそい、ちぎった味海苔を敷き、その上に漬け込んでおいたまぐろを載せる。てっぺんに紫蘇の千切りをあしらってできあがり。


お酒とみりんでほんのり甘口になった醤油を、たっぷりと吸い込んだまぐろのお刺身……ムハァアアアアン!!!!!おいしいよう!!!!!特売品ながらもしっかり脂が乗っているまぐろは、とろけるような舌触り。その旨みと甘みにズブズブと溺れてしまいそうなところを、しっかり効かせたわさびの刺激がぐいっと引き戻してくれる。スンと鼻に抜ける酢飯のさわやかな香りが、濃厚なまぐろの魅力をさらに引き立ててくれている。生の魚介に酢飯を組み合わせることを最初に思いついた人、マジ天才すぎ……いやむしろ神だろ。完全に神の犯行ですわこれ。


画像1

今夜はもうひたすらにお寿司的なもので胃袋を満たしたかったので、一汁一菜&箸休めのみで。味噌汁はなめこと油揚げです。お刺身だからお吸い物でも良かったのだけれど、なめこが安かったので味噌汁に。まぐろが濃厚なので、いつもより味噌は控えめにしました。がっつり丼にちょいと薄めの味噌汁って大好きなのです。がつがつ掻き込んだ後にほーっと一息つかせてくれる感じで。ああおいしかった!ごちそうさまでした。


まぐろの切り落としは半分ヅケにして、残りの半分は来週のお弁当用に加工したのだけれど、それでも漬けは一人では食べきれないくらい出来てしまった。ので、休日出勤帰りの恋人を誘って一緒に食べてもらった。

「お刺身とは珍しい……なんかあったな?」と聞かれたので、食後のデザート(恋人が持ってきてくれたエクレア)を食べつつ、今朝私が脳天にロンギヌスの槍を浴びせられた顛末について説明した。というか、記事を読んでもらった。「原曲よりむしろ良くね?」という感想でした。なー!やっぱそう思うよな!


情勢がもう少し落ち着いたら、今度はちゃんとお寿司を食べに行きたいです。

この記事が参加している募集

いただいたサポートは、外で暮らすねこさんたちの生活が少しでもよきものとなるよう、関係団体に送らせていただきます。