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フィルムカメラは祈る1



約1年半前、



わたしは、
写真を撮りに尾道に行った。


その日は仕事が休みで、
朝からセカストに行った。


動作確認済みのフィルムカメラを購入した後、

近くのカメラのキタムラに寄り
フィルムを買って、



何も分からない私は店員さんに

撮り方や巻き方、使い方を教えてもらった。

8月に入ったばかりの暑い日だった。




フィルムカメラは初めてで、
それはもう、ワクワクが止まらなくて


なんてロマンのあるカメラなんだ…って

感動しながら街歩きをした1日だった。


絶対今のいい写真だと思うんだけど!?

と自信満々なほど、

慎重に、大切にシャッターを切っていた。



やっと27枚撮り終え、


カメラのキタムラには閉店時間の1時間前に着いた。

現像は本日中に仕上がるとのこと。


嬉しくて嬉しくて
一人でにやける。



近くのスタバで数十分時間を潰して、


そろそろかなと


ドキドキしながらフィルムを取りに行った。








真っ黒だったのだ

すべて真っ黒。


何も無い


本当に楽しみにしていたのに

なーーーんにも写っていなかった。




朝と同じ店員さんが
カメラ本体を確認し、
シャッターが開いてないことが原因だと教えて下さった。


セカストもそこまでは把握しきれないだろうし、

誰も悪くないから受け入れるしかない。



ノリノリでフィルムを買った客が
一日中カメラを持って過ごしていたことは
一目瞭然。



その写真が何も撮れてない。

哀れで、とても恥ずかしかった。


お礼を言って、車に戻ったら、
一瞬にして放心状態になってしまい、
体が鉛みたいに重くなり、


悲しみと虚しさで

息苦しくなった。




(中古だから、もしかするとなにか不具合があるかも)


という考えがわたしの頭になかった為に

予想外の出来事で、


涙が出るほど悔しかった。




そのあとどうやって
夜を過ごしたのかはもう覚えていないけど、



あれほど有頂天な状態から

地獄に落とされた経験はなかなか無いので


この出来事は一生忘れないと思う。


絶望のフィルム


壊れていたカメラ



そのあとカメラを
セカストに持って行き、返金対応して頂けて

少し救われた私


窓辺のねこ


窓辺で寄り添う2匹の猫


唯一、携帯で撮っていた写真。




それから数日後

新しいフィルムカメラを

メルカリで購入した。


2代目カメラ


そしてわたしは

このカメラを持って

また尾道に向かった。


今度こそ…!!!と燃えるような気持ちで。



つづく ︎☺︎

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