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インサイド・ヘッド2〜頭の中の嵐

夏休み、小学2年生と4年生の女の子と一緒に「インサイド・ヘッド2」を観に行った。ちょうど地上波で「インサイド・ヘッド」をやっていたのを観ていたらしく、「おもしろかった」「大好き」と言うので、一緒に行ったのだ。

あまり事前情報は仕入れずに行ったが、「インサイド・ヘッド」で11歳だったライリーが13歳になり、思春期を迎えての出来事ということは知っていたので、思春期といえば反抗期、そして恋愛、純粋でいたいがゆえの大人へのヘイトかな〜。2年生4年生にわかるかな、と思いながら出かけた。

1で、田舎のミネソタから都会のサンフランシスコへ引っ越してきて、環境変化になじめずに悩んだライリーは、すっかりこちらでの暮らしにも慣れ、親友もでき、アイスホッケーのチームでの主力の活躍なのだが、高校進学を控え、さまざまな変化がやってくる。

そして、「ヨロコビ・カナシミ・イカリ・ムカムカ・ビビリ」という5つの感情に加えて、「シンパイ・イイナー・ハズカシ・ダリイ・ナツカシ」という新しい感情が加わる。

ライリーは、新しい感情のうち、特に「シンパイ」に振り回され、「ライリーらさしさ」とかけ離れた行動に出てしまい、友達との関係もギクシャクし、ホッケーの試合の中での振る舞いも空回りし、周囲から孤立しそうになってしまう。

特に、大事な試合の前日、眠れないほどの不安に支配されてしまったライリーの頭の中=インサイド・ヘッド(司令室の中の様子)は、心がキューッとなるほどのツライ情景だった。何かの不安に苛まれれている時、人の頭の仲は、こんなふうに大嵐が吹き荒れているのかもしれない。そして、不安やシンパイによって感情や行動は抑制されるばかりでなく、自身を守ろうと過剰に攻撃的になったり、自分を防御するために、必要以上に自分を大きく、乱暴に、大雑把に見せ、周囲を寄せ付けないようにしているということもあるのだと、視覚的に理解した。

そういえば、あの人の「わざとイライラを周囲に伝えるような物言いや表情」も、「大きな音を立てながら歩いたり物を置いたりする仕草」も、周りを攻撃するためではなく「怖い」「不安」「攻めないで」「やめて」という、「シンパイ」からくる防御行動なのかもしれない。

思春期のライリーは、突然やってきた、そんな「複雑な感情」をうまくコントロールできず、あっという間に支配されてしまい、でも、それを乗り越えることでおとなになっていくのだろうけど、思春期をとっくに終えた大人のわたしたちでも、50代60代でも、そんな「不安」や「シンパイ」から周りに攻撃してしまう人は多いように感じる。

なぜそんなに「不安」や「シンパイ」に支配されてしまうのだろうか。作中では、シンパイで眠れなくなってしまったライリーの頭の中で、「さまざまな最悪なシナリオ」と、「それを回避する身勝手なプラン」が、けたたましく、SNSのプッシュ通知のようにポストされていた。少し不安なことがあると、つい、ネットで情報を検索してしまい、最悪な情報へ最悪な情報へと突き進み、ぴったりな「最悪」を見つけて、やっぱりそうだと絶望する、そんな行動と似ていると思った。

鑑賞後にお茶しながら。

映画鑑賞を終えて、お腹が空いたね、とコメダ珈琲に入り、3人で、ポテト&チキンと、ピザと、ミートソーススパゲティと、かき氷をひとつずつ、分けっこしながら食べ、映画の感想を言い合った。

シンパイが巻き起こした嵐がすごかったね
ああいうふうにシンパイになることってある?
自分にもあるなーっていう感情、どれがあった?
好きなキャラは?
うっとうしいと思うキャラは?
ライリーの気持ちわかる?

小2と小4で、ちょっと難しいかなと思ったけれど全然そんなことなく、しっかりストーリーもわかっていたし、複雑な感情の揺れも、真逆の結果を招いてしまうライリーの不可解な言動にも共感できる部分があるようだった。むしろ、そういうふうに見えてるんだなと感心した。

印象に残ったのは、

「洋服を決めるとき、こんな服で大丈夫かなとシンパイになる。でも、あるものの中で決めて出かける。友達に会ったとき、やっぱり私おしゃれじゃないと恥ずかしくなるし、友達の服をみて、いいなーって思ってしまう。その友達が自慢してくるような子だと、ムカムカして怒りたくなってしまうけど、そうじゃなくて、かわいいねと言ってもらうと嬉しくなって、服のことは忘れてしまう」

という4年生の話。一方で2年生の方は、

「私はぜんぜん気にしなーい」

とのこと。年齢的なこともあるし性格もあるけれど、個々人の「気になる」ことによって感情は変わり、身につけている洋服は何も変わっていないのに、その価値は変わり、自分の行動も左右されてしまう。大人としてアドバイスめいたものも頭に浮かんだけれど、それを言うのは野暮だと思ったので、

「わかるー、私も服とか、気になるー」

と、共感できる点に同意した。

そして、「3もあるのかな、ライリーが何歳の時の話になるのかな」と次回作の予想合戦になり、ライリーが死ぬ間際の頭の中には、どんな感情が生まれるのだろうと、ワイワイと盛り上がり、次も一緒に見に行こう、と約束をした。彼女たちとの映画鑑賞は、終わった後もとっても楽しいので、ぜったいに約束を果たしてもらおうと思う。



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