2021年春、コロナ融資は新たなフェーズへ。ベンチャー融資最新動向
スタートアップの資金調達を支援するINQの若林(wakaba_office)です。
2021年3月26日現在、依然としてコロナ禍ではありますが、この春、創業〜5期あたりのベンチャー企業の、エクイティを除く資金調達環境に動きがありますのでまとめておきます。
「民間金融機関における実質無利子・無担保融資」が終了
コロナ禍の中小企業の資金繰りを支えてきた「民間金融機関における実質無利子・無担保融資」が2021年3月末までの受付分をもって終了する見込みです。2020年末までの予定だったものが一度延長されていますが、いよいよ3月末で終わる見込みです。
(経済産業省 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ)
日本政策金融公庫・商工中金等の政府系金融機関のコロナ特別貸付は継続します。
「伴走支援型特別保証制度」が開始
「民間金融機関における実質無利子・無担保融資」と入れ替わる形で、2021年4月から始まるのが、「伴走支援型特別保証制度」です。
「伴走支援型特別保証制度」は金融機関による伴走支援等を条件に信用保証料を引き下げるという制度。
とにかく緊急避難的に貸し付けて救済するというフェーズから、次のフェーズに入る印象です。
▼伴走支援型特別保証制度はどうすれば使えるのか?
次のような要件があります。
- 売上減少 -15%以上
- セーフティネット保証4号・5号・危機関連保証の認定
- 「経営行動計画書」を作成
- 金融機関が継続的な伴走支援
なお「経営行動計画」とは次のような項目を含む計画のようです。
- 自社の現状認識
- 財務分析(売上高増加率等)
- 今後の具体的なアクションプラン
▼伴走支援型特別保証制度の効果
上記要件を満たすと、次のような条件で、各都道府県の信用保証協会の保証付き融資の申し込みが可能になります。
(融資には審査があり必ず融資されるとは限りません。)
- 保証限度額 4,000万円
- 保証期間 10年以内
- 据置期間 5年以内
- 信用保証料 0.2%(所定の保証料から-0.65%)
制度を使うのと使わないのでは、信用保証料に最大150万円ほどの違いが生まれそうです。
まもなく公募開始予定の「中小企業等事業再構築促進事業」
情報が小出しにされてベンチャー界隈をざわつかせている事業再構築補助金。3月中の公募開始と言われていましたので、2021年3月26日時点でまもなく公表される見込み。この記事を書いている今も、何度か経産省のサイトをリロードしました。
事業再構築補助金とは?
コロナによる経済環境の変化に伴い、中小企業の思い切った事業再構築を補助金によって支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的とした補助金です。まだ募集要項が公表されていないので、ここでは詳細は割愛します。
事業再構築補助金は融資との組み合わせが不可欠
事業再構築補助金は原則精算払い(=後払い)の補助金です。
下記ツイートのように、自己資金等で設備投資等に支出をし、報告を行った上ではじめて入金される仕組みになっています。
(事業再構築補助金では一部概算払いが導入される可能性もあります)
そこで、融資と補助金を組み合わせることにより、資金繰りを行うことで効果的な資金調達となります。
融資と補助金と組み合わせについては下記記事をご参照ください。
事業再構築補助金との組み合わせが想定される「設備資金貸付利率特例制度」
事業再構築補助金では原則として先に自己資金等で設備投資等を行わなければならないので、その設備投資等のための資金の手当と推測される融資が発表されています。それが「設備資金貸付利率特例制度」です。
(経済産業省 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ)
事業再構築補助金が採択された際には、ぜひ上記制度による融資とくみあわせて、設備投資等の資金を確保して補助事業を遂行できるとよいと考えます。
まとめ
2021年春のベンチャー融資最新動向をまとめると次の通りです。
- 民間金融機関の実質無利子・無担保融資が2021年3月末で終了
- 代わりに伴走支援型特別保証制度が2021年4月より開始
- 公庫等政府系金融機関のコロナ貸付は継続
- 事業再構築補助金が始まる
- 事業再構築には設備資金貸付利率特例制度を組み合わせると良さげ
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