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いまさら聞けない「出資」の仕組み

2014年頃のことだったと思います。

飲食店や美容室など、スモールビジネスの融資支援をひたすらやっていた時期に、あるITベンチャー(当時はこういう言い方してた)の融資支援をさせてもらいました。
顧問税理士さんから「300万円くらいじゃないですか?」と言われ、半分諦めていた段階でお声掛け頂き、サポートをスタートしました。
ゴリゴリと好材料を集めて出せる金融機関に全部出して、結果として2,300万円の融資を受けることができました。起業家には喜んで頂くことができました。

すると、
そのITベンチャーに出資していた某VCから呼び出され・・・
新宿の喫茶店で立て続けに質問を受け・・・
以後、僕はスタートアップ支援の沼にハマっていくことになります。

某VCから呼び出しを受けたそのとき、正直、僕は「出資」のしくみや「VC」たるものをあまりよくわかっていませんでした。VCとのアポの日時が決まってから慌ててググった記憶があります。

改めまして、こんにちは。
シードスタートアップの資金調達を支援するINQの若林( wakaba_office )です。

これから起業をと考えているものの、当時の僕のように、出資の仕組みが実はよくわからないという方もいるのではないかと思います。
そこで、このnoteではかんたんに出資の仕組みを解説したいと思います。

※仕組みをお伝えするためだけに簡略化しています。
※細かい点は見逃してください。
※この記事は起業準備中〜起業初期の方々に向けて書いています。
※約2,300文字で5〜6分で読めます。

会社の価値と株式シェア

出資を会社の価値(時価総額)が1億円の未上場の会社があったとします。その会社に1,000万円出資したとします。するとその会社の価値に対して約10%分の株式を割り当てられることになります(下図左側)。

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その会社が成長して時価総額10億円になったとすると、1,000万円だった株式の持ち分10%は10倍の1億円に値上がりします(上図右側)。

もしこの段階で株が売れれば(1億円-1,000万円=)9,000万円の差益が生じます。この売却益がキャピタルゲインと呼ばれる株主の利益(リターン)となります。

投資家(株主)としては、当然に会社が大きく成長して売却益が大きくなることを期待します。しかし、それも投資家が持っている株式を売るタイミングがなければ実現しません。

出資で投資家が得られる利益

出資で投資家が利益を得る方法としては、以下の2つがあります。

①配当を受ける
②売却して差益を得る(キャピタルゲイン)

米国上場株のように配当が出ることは日本の未上場企業では稀です。
したがって、株式を売却して売却益を得る方法がメインになります。

投資家が株式を売却して売却益を得る方法

投資家が株式を売却して売却益を得るタイミングには下記の3つがありますが、

・相対取引
・M&A
・IPO

未上場企業の株式の譲渡には制限がありますので、相対取引で誰かに譲渡して売却益を得ることは簡単ではありません。
となると、M&AかIPOだけが、投資家が持ち株を売却し、キャピタルゲインを得る数少ない機会ということになります。

M&A:Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略。企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり、ある会社が他の会社を買ったりすること。
IPO:Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)の略。未上場企業が新たに株式を証券取引所に上場(公開)し、投資家が株式を取得できるようにすること

M&AとIPOのことをEXITと言いますが、事業を大きく成長させること(時価総額を高めること)、EXITして株主に持ち株を売却するタイミングを提供すること、これが株主が求めるリターンということになります。

VCのしくみ

スタートアップへ出資する資金の出し手としてVC(ベンチャーキャピタルが)があります。

ベンチャーキャピタルとは、ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社のこと。主に高い成長率が期待される未上場企業に対して投資する。ハンズオン支援などを提供し、投資先企業の価値向上を図るVCも存在する。

VCのしくみを簡略化すると下図のようになります。

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VCは機関投資家等からLP出資を集め(ファンドレイジング)、ファンドを組成します。組成したファンドを運用するのがVCの仕事です。具体的にはスタートアップという金融商品に出資をし、対価として株式を取得し、VCによってはハンズオン支援などを行い、スタートアップの成長(株価の向上)を後押しし、EXITによって売却益(キャピタルゲイン)を得て、その運用益を機関投資家に戻す、という役割を担います。

ファンドの償還期限

VCのファンドの償還期限は10〜12年が多いです。
一方、東証マザーズに上場する会社の設立からの年数は平均13年。つまり、VCから出資を受ける場合には、平均よりも早く、急激に成長し、EXITの機会を提供することが求められます。

故に、出資にはスタートアップモデルが適している、言い換えてスタートアップには出資が適していると言えます。

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いかがでしたでしょうか?
出資についてのイメージがよりクリアになったのでしたら幸いです。

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