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元銀行員キャピタリストに聞く#1 起業家が銀行員をファンにするメリット

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

私のPodcastGazelle Capital(ガゼルキャピタル)株式会社の初見 洋介(はつみ・ようすけ)さんをゲストに迎え、「起業家が銀行に融資を申し込む際のコミュニケーションのコツ」を全4回にわたってお届けしています。

それぞれのテーマは次の通り。

  1. 起業家が銀行員をファンにするメリット

  2. スタートアップ起業家向け銀行のお作法【支店編】

  3. スタートアップ起業家向け銀行のお作法【本部編】

  4. スタートアップが融資で気をつけるべきポイント

このnoteでは第1回目の「起業家が銀行員をファンにするメリット」について話した内容をまとめています。

初見 洋介さん プロフィール
2016年新卒でメガバンクに入行し、都内の支店にて中堅中小企業や新規顧客開拓等の法人営業を担当。2019年より本部のスタートアップ支援部署である「イノベーション企業支援部」 に配属され、融資やスタートアップの資金調達、上場支援、M&Aオリジネーションなどさまざまな業務に従事した後、2022年1月よりGazelle Capitalに参画。主に投資業務やファンド管理、LP営業などを担当。

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

メガバンクに入行後、スタートアップ支援部署を経てVCに転職

若林:本題に入る前に、初見さん自身について教えてください。新卒では、M銀行に入行したんですね。

初見さん:そうですね。新卒で配属された都内の支店で法人営業を担当し、その後本部にあるスタートアップを支援する部署に異動しました。そこでスタートアップの資金調達や上場支援に関する業務に携わったのが最初のキャリアです。

若林:その後ベンチャーキャピタル(以下、VC)のGazelle Capitalに転職したということですが、なぜVCに転職しようと思ったのでしょうか?

初見さん:スタートアップへの投資にコミットしたかったからです。

銀行、特に本部に配属されると、さまざまな業務に携わることができる一方、どの業務にも深く関われないのがネックでした。例えば融資では支店がメインで動きますし、出資の場合はグループ企業が担当します。いろいろ業務を経験する中で、スタートアップ投資を追求したいと思い、転職を考えました。

最初はグループ企業であるCVCに転職しようと思っていたのですが、縁あってGazelle Capitalになりました。

若林:Gazelle Capitalさんは情報発信も盛んなVCですよね。Gazelle Capitalさんが運営するYouTubeチャンネル「スターアップ投資TV」には私も出演させてもらっていて、撮影の合間に初見さんと銀行融資の話をしたことが、今回の対談のきっかけになりました。

起業家が銀行員をファンにするメリット
①売上増加につながる

若林:それでは本題に入ります。スタートアップ起業家が、銀行員にファンになってもらうメリットを教えてください。

初見さん:2つあると思います。1つは売上の増加につながること。もう1つは融資審査に通りやすくなることです。

まずは1つ目の、売上の増加につながることについて。M銀行の場合、全国47都道府県に400を超える支店や出張所があり、窓口となる営業担当者は2万人以上います。

1人の担当者にファンになってもらい、次に支店長、そして本部の担当者にファンになってもらえば、M銀行が持つ全国の販売網を使って、売上の増加につなげることができます。

若林:実際にM銀行の販売網を活用して、売上増加につなげた事例はありますか。

初見さん:私が知っている例ですと、M社ですね。M銀行の行員が士業の顧客などに対しM社のサービスを紹介、販売できた場合にM銀行に紹介料が入る制度を作ったんです。

若林:全国の顧客に対面でアプローチできるとなると、影響力も大きそうです。スタートアップが銀行をファン化して成長した良い例ですね。

※M銀行とM社の取り組みについてはPIVOT株式会社のYouTubeチャンネルで詳しく取り上げられています。

起業家が銀行員をファンにするメリット
②融資審査に通りやすくなる

若林:2つ目のメリットである、融資審査に通りやすくなることについて詳しく聞かせてください。

初見さん:スタートアップが銀行から融資を受けるのは簡単ではありませんが、ファンになってもらうことで、融資審査に通りやすくなる面があると思います。

若林:審査に通りやすくなるとはいえ、審査基準が緩くなるということではないですよね。

初見さん:はい、もちろん財務データに問題ないことが前提ではあります。その上で、銀行員をファンにできていれば、審査で有利になるということです。

M銀行の場合はスタートアップ専門の審査部があり、その部署の審査役が決裁権限を持っています。起業家はこの審査役と面談をすることになるのですが、例え財務データの数値が良かったとしても、審査役との面談がうまくいかなければ融資を受けられません。

若林:なるほど。銀行は企業の財務データと経営状況を元に審査を進めるけど、最後はやっぱり「人」を見るということですね。

初見さん:まさにおっしゃる通りで、面談や日頃のやり取りの中でのコミュニケーションが、融資審査の結果を左右することもある、ということです。

若林:次回は、銀行員をファンにするコミュニケーションのコツについて聞きたいと思います。

まとめ

Gazelle Capital株式会社の初見さんをゲストに迎え、起業家が銀行員をファンにするメリットについて聞きました。

銀行員をファンにすることで、売上の増加につなげたり、融資審査に通りやすくなったりするメリットがあるということでした。

次回は、どのように銀行員をファンにするか、具体的なコミュニケーションのコツを聞いた内容をお届けします。

初見さんに出資の相談をしたい方は、下記SNSのDMから問い合わせください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。


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