元銀行員キャピタリストに聞く#3 スタートアップ起業家向け銀行のお作法【本部編】
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
私のPodcastにGazelle Capital(ガゼルキャピタル)株式会社の初見 洋介(はつみ・ようすけ)さんをゲストに迎え「起業家が銀行に融資を申し込む際のコミュニケーションのコツ」を、全4回にわたってお届けしています。
それぞれのテーマは次の通り。
スタートアップ起業家向け銀行のお作法【本部編】
今回の記事では、第3回目の「スタートアップ起業家向け銀行のお作法【本部編】」をまとめています。
当たり前のことをきちんとした上で、レスポンスはどこよりも早く
若林:初見さんは支店だけでなく本部での勤務経験もあるということでしたので、スタートアップ起業家が銀行本部の人と関わる際に気をつけるポイントがあれば教えてください。
初見さん:スタートアップと銀行本部がやり取りする機会はあまり多くないのですが、やはり遅刻やドタキャンをしないことや、早めの連絡を心がけるといった基本的なことは大事だと思います。
M銀行ではイノベーション企業支援サービス「M’s Salon」を提供しており、私が在籍していたときに大企業とスタートアップをマッチングするイベントを開催したことがあります。2日間で約1,000マッチングを実現する大規模なイベントなのですが、参加予定のスタートアップ企業が1社来なくて、いろいろな人に迷惑をかけてしまいました。
上司に報告したところ「またその会社か」という反応で……当然、良い印象は持ってもらえないですよね。
若林:スタートアップがたくさん参加しているイベントで遅刻やドタキャンをすると、悪い意味で目立ってしまいそうです。
初見さん:そうですね。イベント2日間を通して遅刻やドタキャンをした企業は他にいなかったので、余計に印象に残っています。事業の本質ではない部分で評価が下がってしまうのはもったいないので、当たり前ですが社会人としての基本的なマナーは守った方がいいですね。
若林:遅刻・ドタキャンしないのは当然として、普段のやり取りでのレスポンスの早さを見られることはあるのでしょうか。
初見さん:先ほどのイベントの例でいうと、開催前にスタートアップに対して一斉に連絡して参加の可否を確認するのですが、レスポンスが早いとそれだけで熱意を感じますので、応援したい気持ちも生まれると思います。
アライアンスを結びたい場合でも、最初の窓口は支店
若林:次は、スタートアップが銀行の販売網を活用したい場合について聞かせてください。本連載の第1回でM社がM銀行と提携して売上を伸ばした事例を聞きましたが、いきなり本部にアプローチしてもいいのでしょうか。
初見さん:基本的に銀行の窓口は支店なので、最初は支店を通すのが一般的です。その上で、もし本部と繋がりができたら、次からは本部に直接アプローチして問題ありません。
M銀行の本部ではフィンテック担当と住宅ローン担当と新規事業担当などのメンバーが定期的に集まりミーティングを行っていました。そこで「マーケティング系のスタートアップなら〇〇」といった話をする機会もあるので、一度本部と繋がりができればビジネス拡大のチャンスもつかみやすいと思います。
若林:本部は他部署との連携も積極的なのですね。ちなみに本部と繋がりができ、銀行とアライアンス(業務提携)を結べたとしても、融資を受けられるかどうかは別と考えた方がいいですよね。
初見さん:そうですね。アライアンスと融資は全く別の話になります。とはいえメガバンクとアライアンスを組める企業は信用もあるので、融資審査も通りやすくなる側面はあるかもしれません。
若林:なるほど。アライアンスと融資は別ということは、アライアンスを組むために融資取引をしておく必要もないわけですよね。
初見さん:仰る通りです。融資をきっかけにせずともアライアンスは組めると思いますよ。
まとめ
Gazelle Capital株式会社の初見さんをゲストに迎え、起業家が銀行本部とコミュニケーションを取る上で気をつけるべきポイントを聞きました。
遅刻やドタキャンをしないのはもちろん、普段のやり取りで早めのレスポンスを心がけることで、スタートアップの中で良い意味で目立つことができるとのことでした。
また、本部にアプローチする際は支店を通すのが一般的で、アライアンスを組みたい場合は融資取引が無くても問題ないということです。
次回は、元銀行員キャピタリストが教える「スタートアップが融資で気をつけるべきポイント」をお届けします。
初見さんに出資の相談をしたい方は、下記SNSのDMから問い合わせください。
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