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【私募社債の購入・発行・管理が行えるwebプラットフォームを展開するSiiibo証券の小村さんと対談#01】Siiibo証券起業のきっかけや事業内容について

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

今回のnoteでは、私のPodcastにSiiibo(シーボ)証券株式会社の代表取締役である小村 和輝(こむら・かずき)さんをゲストに迎え、起業のきっかけやサービスローンチに至るまでについて聞いた内容をお届けします。

スタートアップの資金調達方法として注目の集まるベンチャーデット(*1)。その手段の1つである社債(*2)の活用方法などについて、全3回にわたって話しました。銀行融資や株式発行以外の資金調達手段を探しているスタートアップ経営者は必読です。

*1) ベンチャーデットについてはこちらのnoteで解説しています。
*2) 企業が発行する債券。債券とは企業が投資家から資金提供を受ける代わりに利子を支払い、満期には元本を返済する有価証券のことで、社債は企業の借金となる


小村 和輝さん プロフィール
東京大学大学院工学系研究科修了(鳥海研究室)。
ドイツ証券株式会社にてトレーダーとして国内外の社債、CDS、仕組債等のクレジット商品全般の取り扱いを経験。
その後、ブラックロック・ジャパン株式会社にて、国内の運用会社・公的金融機関に向けたリスク分析及び投資プロセスのアドバイザリー業務に従事した後、株式会社Siiibo(現Siiibo証券株式会社)を設立、代表取締役CEO就任。日本証券業協会「私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ」委員。

このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt&Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。

証券会社に勤務していたときに直面した課題が起業のきっかけに

若林:最初に、起業のきっかけを教えてください。

小村さん:大学院修了後、ドイツ証券に入社しクレジットトレーディング(*3)を行っていました。そこで扱っていたのは、主に仕組債(*4)などの金融商品。しかし仕組債は金利や権利の面で複雑なため、特にアマチュア投資家にとってはリスクが分かりにくく、購入しづらい商品です。そこで「社債のようなシンプルな金融商品を取り扱えれば」と考えるようになりました。

*3) 法人の負債や金銭債権に債券投資(買取)を行うこと
*4) 一般的な債券にデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ債券のこと。

社債は定期的に利息が支払われ、満期が来れば元本が戻るシンプルな金融商品ですが、株式や投資信託ほど一般的ではありません。その原因の1つに、日本ではまだ供給側の市場が形成されていないことが挙げられます。

社債投資が広まれば、資金調達をしたい企業は、銀行融資や株式発行以外の方法で事業資金が調達できるようになります。投資家には、保有している間一定の利息が得られる分かりやすい商品を提供できる。投資側と発行側双方にメリットがあると見込み、起業を決めました。

若林:リスクが分かりやすい金融商品であれば、購入ハードルも低く、ニーズもありそうです。

小村さん:そうですね。仕組債のリスクを理解するには、かなりの知識が必要です。一方で社債はリスクも手数料も明確。「リスクが分かりやすい=良い商品」という発想で、Siiiboを作りました。

若林:Siiibo証券で取り扱っている社債について教えてください。

小村さん:我々が取り扱っているのは私募社債です。そもそも社債は、募集方法によって公募と私募の2つに分けられます。公募債は多くの投資家から募集できますが、情報開示等の規制があるため、発行できる企業は上場している大企業に限られます。また、発行額も数百億円規模の高額となります。

一方、私募社債は募集対象を少数(49人まで)の投資家に限定して購入してもらう社債です。発行企業にとってのメリットは、数千万から数億円規模での少額発行が可能なことと、情報の開示先を最小限に抑えられることです。

また、Siiibo証券が提供する私募社債はオンラインで全ての手続きを完結できるので、金銭的・時間的コストも抑えられます。

若林:ありがとうございます。Siiiboについては、連載3回目でさらに詳しく聞きたいと思います。

「誰かがやらなければ」と思ったから、売り上げほぼゼロでも最後までやりきれた

若林:ここからは、起業からサービスのローンチに至るまでのお話を聞かせてください。

小村さん:会社の設立自体は2019年で、起業の数カ月後に資金調達を行いました。そこからサービスをローンチするまでにかかった期間は、約2年です。

若林:その2年間は、主にどのようなことに取り組んでいたのでしょうか。

小村さん:証券会社として事業を行うために必要な、第一種金融商品取引業(一種業者)としての登録です。途中でコロナが流行したこともあって、当初想定していたよりも時間がかかってしまいました。

若林:登録ができないと、違法になってしまうのでサービスを提供できないということですよね。

小村さん:そうなんです。売り上げがほぼゼロの状態の中で、ガバナンスなどを含む証券会社としての体制作りなど、登録申請に必要な手続きを進めていました。一般的なスタートアップ企業に例えると、サービスの検証前にコストが膨らんでしまった状態といえるでしょうか。

若林:心が折れそうになることはなかったですか。

小村さん:「誰かがやらなければ」という気持ちの方が大きかったので、辛さを感じることはありませんでした。今後も長く利用できる金融商品のプラットフォームを投資家と企業に提供したい、という思いで乗り切りました。

若林:使命感があったからこそ、最後までやりきることができたんですね。サービスへの強い思いを感じました。

まとめ

Siiibo証券株式会社の小村さんをゲストに迎え、創業とサービスローンチに至るまでの話を聞きました。

起業のきっかけは、証券会社で働いていたときに直面した課題。起業後は一種業者への登録に時間がかかったものの、約2年かけSiiiboを正式リリース。

Siiiboは資金調達手段を増やしたいスタートアップと、新たな投資先を探している投資家をつなぐプラットフォームです。Siiiboを通じてスタートアップはもちろん、日本全体が元気になることを願います。

次回は私募社債や、スタートアップのデットファイナンス(融資による資金調達)について話した内容をお届けします。

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