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起業家が創業融資でやりがちな2つの失敗

INQの若林(@wakaba_office)です。

起業家から、融資を断られた、または大幅に減額された後にご相談をいただくケースがよくあります。融資は一度結果が出てしまうと、しばらく同じ金融機関ではリカバリが難しいです。
事前の情報や準備の不足のために否決されてしまうと事業スケジュールが狂ってしまい、実にもったいない。
そこで、これから起業する方、これから創業融資に取り組む起業家に知っておいてもらいたい、創業融資でやってほしくない失敗例をまとめました。

まずは結論

起業家が創業融資でやりがちな2つの失敗例
✅ 個人信用情報を確認しないで申込をしてしまう
✅ VCと金融機関に同じ事業計画書を出してしまう

前提として

創業融資は、大きく分けて以下の3つのポイントの総合評価で可否が決まります。

✅ 代表者の経験・人物・属性
✅ 自己資金
✅ 事業計画(返済能力)

どこかひとつが優れているから融資が決まるものではありません。
また、ひとつが欠けているから融資が否決されるということでもありません。

個人信用情報を確認しないで申込をしてしまう

個人信用情報とは、カードローンや割賦払い等の返済履歴のことです。
CICなどの指定個人信用情報機関が管理しています。
日本政策金融公庫の新創業融資等では、借入申込書提出後に、代表者・申込者の個人信用情報を取得します。
そこで過去の借入返済等の遅れや金融事故(債権の異動)などがあると、同じことを自社の貸付でもされてしまうことを懸念して、後ろ向きになります。

この個人信用情報、引っ越しや長期出張などのタイミングで、少額の引き落としがかからなくなり督促も届かずなどの事情で、自認していない債務があったり、思わぬ傷が残っていることがあります。
個人信用情報がマイナス要因になってしまうと、せっかくいい事業計画を作っても台無しになってしまいます。

少しでも心配な方は、必ず融資申し込み前にチェックすることをオススメします。

VCと金融機関に同じ事業計画書を出してしまう

VC等の投資家と銀行等の金融機関とでは収益源が違います。

収益源の違い
VC等の投資家の収益源は「キャピタルゲイン(株式の売却益)」。
当然に安く買って高く売りたいので、投資家は大きくスケールすることを望みます。したがって、投資家に出す事業計画書では、事業の成長性を示せるかどうかがポイントとなります。

一方、金融機関の収益源は「金利」。
事業が永く存続し、期限まできちんと返済し、金利を支払い続けてくれることを望みます。したがって、金融機関に出す事業計画書では事業の継続性・安定性を示せるかどうかがポイントとなります。

売上が立ち、利益が出るのが遅すぎる事業計画書
特にBtoCのサービスやマッチングプラットフォーム等を立ち上げるスタートアップに多いのですが、ビジネスモデル上、どうしても売上が立ち始めるのに時間がかかる、黒字化するのに時間がかかる事業計画書になりがちです。
投資家であればユーザーが集まる前の安易な課金(=売上を立てる)ことには反対するかもしれません。しかし、金融機関は早期に売上が立たないことの方が心配になります。

もし、受託やコンサルなどで売上を立てることが可能ならば、自社サービス開発とのバランスを取りながら、受託やコンサルをキャッシュエンジンとして早期に売上を立てることで、融資の可能性は上がります。
自社サービスではなく、受託・コンサルを柱に据えて事業計画を組み立てた方が、金融機関の理解は得やすいはずです。
結果的にランウェイも伸びて、足腰の強い組織が作れた、というスタートアップもあります。
受託・コンサル等で売上を立てていく事業プランもぜひ検討してみて下さい。

強気過ぎる事業計画書
強気過ぎる事業計画書は懐疑的に見られがちです。
もし仮に、強気な事業計画書であっても、その裏付けとなる代表者の経験や自己資金、売上実績などがあったために創業融資は通ったとします。
問題は次の融資です。
次の融資では、前回融資における事業計画との予実(計画との差分)を確認されます。
実際に、強気過ぎる事業計画書で創業融資が通ったものの、次回融資時に計画が達成出来ておらず、次の融資の重大なブレーキになってしまったケースが散見されます。

もしポジティブプラン・ネガティブプランと複数のシナリオがあるのだとしたら、最も堅いシナリオをベースにした事業計画書を金融機関には提出することをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

起業家が創業融資でやりがちな以下の2つの失敗例をご紹介しました。
✅ 個人信用情報を確認しないで申込をしてしまう
✅ VCと金融機関に同じ事業計画書を出してしまう

ぜひ事前に情報収集し、準備して、ロスのないように創業融資を進めて下さい。

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