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<スペシャル対談>「保険」×「健康増進」×「習慣化」 明治安田生命とWizWeが挑む新たな価値創造

WizWeは、2023年7月7日に、『明治安田未来共創ファンドより資金調達 「健康増進」×「行動の習慣化」の取り組みにおいて協業を加速』 というプレスリリースを発表しました。

発表から数カ月が経ちましたが、明治安田生命保険相互会社様とは、保険と健康増進のための行動習慣化を連動させた、新しい価値創造への取り組みを進めているところです。

今回の対談では、明治安田生命保険相互会社の福井 淳二 氏をお迎えし、明治安田生命様の現在のお取り組みや「明治安田未来共創ファンド」設立について、また、WizWeへの出資の経緯、今後の連携において期待することなどをお伺いしました。

・明治安田生命保険相互会社
サービス開発部 サービス調査グループ グループマネジャー 福井 淳二 氏
・株式会社WizWe 代表取締役CEO 森谷 幸平

健康を「知る」、「つくる」、「続ける」がコンセプト!「みんなの健活プロジェクト」

森谷:明治安田生命様の最近のお取り組みについてお話しいただけますでしょうか。

福井氏(以下、福井): 弊社では10年後にめざす姿を「『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」と定め、様々な取り組みを行っています。このめざす姿の実現に向け、全社横断のプロジェクトを立ち上げました。「みんなの健活プロジェクト」「地元の元気プロジェクト」です。今日はヘルスケアのお話しですので「みんなの健活プロジェクト」を中心にお話ししたいと思います。
 
『ひとに健康を』の部分が「みんなの健活プロジェクト」になりますが、健康を「知る」、「つくる」、「続ける」というコンセプトで取り組んでいます。健康を「知る」では、ご自身の健康情報を知っていただき、啓発するコンテンツの提供を考えています。健康を「つくる」は、様々なイベントを各地で開催し、実際に参加していただいて、体を動かし、学びながら、本当に健康に良いことを身に付けていきましょうという取り組みです。

健康を「続ける」では、生命保険ならではの取り組みとして、「ベストスタイル 健康キャッシュバック」という健康増進型の保険商品を提供し、毎年、お客さまに健康診断の受診勧奨をしています。健診結果をご提出いただくと、健診結果に応じて最大1カ月分の保険料をキャッシュバックします。1年間健康でいられたご褒美としてお受け取りいただける仕組みです。このように、健康を「知る」、「つくる」、「続ける」を回していくことが、現在の取り組みになります。

森谷:人生100年時代の医療、介護などに対する課題思考からスタートされているのでしょうか?

福井:おっしゃるとおりです。生命保険は保険期間が非常に長いため、お客さまとは80歳、90歳に至るまでのお付き合いになります。もちろん、保険本来の機能は、しっかり果たしていきますが、お客さまの真のご希望は保険金を受け取ることではなく、健康でいたいということだと考えています。そのような願いを実現できるよう努力しています。

「明治安田未来共創ファンド」設立。そして、WizWeへの出資

森谷:今年、「明治安田未来共創ファンド」を設立されましたが、どのような思いでスタートされたのでしょうか?

福井:実はファンドをつくる前から、スタートアップ企業との協業事例はあったのですが、いろいろな課題がありました。例えば、協業検討のためにスタートアップ企業と話を進めていく中で、資金調達のお話をいただくこともありましたが、弊社内では投資を担当する部署とビジネスの部署が分かれているため、協業と投資をスピーディかつ一体的に検討できる仕組みがありませんでした。こういった課題を解決するため、ファンドの設立とともに、部署横断的にスタートアップ企業との協業について議論できる態勢を整備しました。 ご参考までですが、「明治安田未来共創ファンド」は、ヘルスケアや地域活性化などの領域において、一緒に社会の課題を解決していただける企業を投資先として考えています。

森谷:対談を行っているこちらの施設は、新しく開設されたのですよね?

福井:はい、その通りです。通称「mocc(モック)」と呼んでいる、オープンイノベーション拠点となる施設です。パートナーの皆さんや一緒に仕事をしていただく外部の方々が自由に利用できるスペースになっています。ぜひご活用いただき、自由にディスカッションを行える場所にできたらと思っています。

先ほどご説明したように、健康増進や地域貢献をよりスピード感をもって進めるためには、外部のみなさまとのオープンイノベーションの取り組みが必要であるとの認識から、遅ればせながらですが、このような施設をつくらせていただきました。

森谷:今回、私たちにも出資していただきありがとうございます。大変ありがたいご縁をいただいたのですが、どういった経緯で出資の流れになったのでしょうか?

福井:いろいろなピッチに登壇されていたので、WizWeさんのお名前は知っていました。本格的に社内で検討を始めたのは、「みんなの健活プロジェクト」の中で、予防や啓発の重要性が浮かび上がってきた時でした。その中でも一番の難所が習慣を変えて継続することだということで、まず自社でそれをクリアしようと試みましたが、うまくいきませんでした。そのことをきっかけに、WizWeさんが社内で注目を浴びるようになった経緯があります。

今後、習慣化が非常に重要なキーワードになると考えており、健康やヘルスケアの領域では、習慣化ができるかできないかが成否を大きく分けるのではないかと考えています。そのため、パートナーとして、共に取り組んでいく価値があると感じ、出資を行うことにしました。今後も長いおつきあいができることを望んでいます。

「習慣化サポーター」の仕組みに感じた親和性

森谷:今後の連携において期待していることをお伺いできますでしょうか?

福井: 習慣化を一緒に取り組んでいきたいと考えています。WizWeさんに期待していること、そしてなぜ一緒に取り組むことを決意したのかの理由の一つに、習慣化サポーターの仕組みがあります。デジタルコミュニケーションをベースにしつつ、後ろでは人がしっかりと見守り、必要な時に介入するという仕組みになっていますよね。

弊社では、「MYリンクコーディネーター(LC)」と呼ばれる営業職員が、お客さまに一人ずつついています。通常、LINEなどを通じてコミュニケーションをとっていますが、必要な時にはLCが直接お客さまのもとへ赴き、対話を行うこともできるという強みがあります。これは、WizWeさんと同じような仕組みではないかと親和性を感じました。

また、将来的には、より効果的に行動変容を促進・定着させる仕組みを構築したいという個人的な思いがあります。デジタルコミュニケーションをベースとし、2階部分でWizWeさんの習慣化サポーターが見守り、3階部分で当社のLCのようなリアルな人がよりそっている、この3階層のレイヤーが形成されれば、行動変容がもっと進むのではないかと考えています。今後、こういったことが実現できることを期待しています。

森谷:私たちは2010年ごろから、行動継続に取り組んできており、現場でユーザー様に続けていただくための試行錯誤を繰り返してきましたが、やはり人による介入は強力です。ヘルスケアの専門家や医師と話すと、この考えに共感をいただけることが、多いと思います。

デジタルに過度に頼りすぎると話が通じないことがあります。しかし、ヘルスケアや医療、教育の分野でも、実際に行動継続という課題に日々取り組んでこられた方々とは、苦労してきたポイントも近く、行動継続に必要な要素についての認識についても一致することが多いため、共通の言語でコミュニケーションが取りやすくなります。
 
『最適解や正解をその人が分かること』と、『実際に、その人が動くこと』は、全く別次元のことであるというか、「一歩動く」、「そしてそれが続く」というアクションの大変さをご理解いただけるケースが多いです。人の価値、モチベーション、自律というものの単位が、心の共感や感情的な結びつきに影響されている。こうした観点をお持ちの皆様が多くいらっしゃいますね。

福井様がおっしゃるように、将来的に、この人の領域の介在価値が非常に高まる可能性があると考えています。人口の減少も考慮すると、これは非常に重要なポイントです。

福井:習慣化というのは、心と心が触れ合う瞬間に、人はモチベートを発動し、何かに向かって行動が生まれるということなのでしょうか。

森谷:そうですね。私たちは失敗事例も分析していますが、基本的に孤立の中には習慣もモチベーションもなかなか生まれません。人間社会の進化は、会話積算の歴史ということができると思います。人は、言葉を交わすことで、チームを組み、コトバを文字で記録に残し、そして、様々な課題を解決したり、道具というイノベーションを生んだりして進化してきました。他者との交流の中で、心が動き、行動が生まれ、行動が続く。これが人の自然なサイクルに思います。

現代人についても、何かを習慣化しようとしたときに、1人だけでできるという人は稀です。そこに寄り添う人々(=習慣化のユニット)が必要であり、自分の周辺の会話に支えられる構図が非常に重要になってきます。自律自走の単位がどこで芽生えたかを分析したところ、プロセスとしては、まず「自分はこうありたい」という姿を言語化して外に発信すること、そして、それを、自分以外の第三者が認識し、理解し、その人を応援するという構図がありました。

福井:1人だけでその世界を実現するということは、楽しくないですよね。自分自身を振り返ってもそう思います。

森谷:発生率で言うと最大20パーセントの方は1人でも習慣化できます。

福井:20パーセントは少ないですね。

森谷:その20パーセントの方々も、行動のトリガーというか、自分以外の第三者との原体験のような触れ合いや、何かしらの象徴的な、「きっかけ」「経験」を起点にしているケースが多いです。例えば、大切な恩師との出会いや、家族との経験などですね。

福井:先日、 POC第1弾に私も参加させていただきました。最初にモチベーションを高めるミーティングを行う組と、行わない組に分かれていて、私は行わない組だったのですが、最後まで取り組むことができました。ただ、1人で行っていると楽しくないので、自分は1人ではないと感じられることが非常に重要だと実感しました。

森谷:そこはまだまだ改善の余地があります。LINEベースのコミュニケーションとブラウザベースでは体感が異なるのですが、お客さまとのラポール形成(感情交流)のあり・なしで数字が変わってきます。モチベーションアップセッションがなくても、ラポールを形成することができる仕組みが最も重要なポイントだと思います。

福井:全国にいるお客さまにお届けするために、その点をクリアできれば素晴らしいと思っています。

森谷:フィットネスクラブではお申し込みが五月雨式になるため、店舗スタッフさま、習慣化サポーター2人とお客さまという、合計4名の習慣化のユニット構成にすることもありました。

福井:なるほど、そういった方法もあるのですね。

森谷:この場合、店舗スタッフの巻き込みが必要です。店舗がある場合はこの方法で実施できます。オンラインの場合は、オンラインのチューターと連携する方法もあります。

福井:当社の場合で言うと、LCが入るというようなイメージですね。

森谷:おっしゃるとおりです。最初にLCの方からサポーターがいるので友達登録してくださいと言っていただく、さらに、LCの方にも少しコミュニケーションに入っていただけると、3、4本のネットワークができてきます。ぜひ、一緒に取り組んでいきたいところですね。

健康増進を続けていく上で、保険が非常に重要だと思っています。明治安田生命様は、健康増進を継続させるための仕組みのプロジェクトや、自治体との取り組みもしていらっしゃるので、いろいろなパートナーをうまく巻き込みながら、習慣化の仕組みや構図を一緒につくって広めることができるとありがたいなと思っています。

私たちのポリシーは、黒衣(クロコ)であることです。足りない部分があればプラットフォームにコンテンツを引っ張ってくることもできますし、いろいろな企業と連動する際に、下で連携するということも可能です。そういったコラボレーションが進むような協業に繋がっていくとうれしいですね。

福井:ありがとうございます。当社にはおかげさまで1200万人以上のお客さまがいます。しかし、日本には健康になるべき人々がもっとたくさんいますので、当社のお客さまに限らず、この取り組みを広げていくことで、幸せになる人が増えていくのではないかと思っています。ぜひ、そういった形を一緒につくっていきたいです。

人々の健康に貢献するプロジェクトを大きく展開していきたい

森谷:オープンイノベーションや新規事業の取り組みの際、若手の方々と連絡を取り合うことが多いのですが、皆さん非常に熱量が高いです。スタートアップのようなエネルギーを感じます。

福井:今私がいる部署ができたのは2年前です。新しい部署ということもあって、やる気があふれているエネルギッシュな人が集まっています。

森谷:私もスタートアップの人間なのでそういうところは好きです。皆様の熱量に感化されて「やる気」のエネルギーになっています。

福井:WizWeさんはじめ、元気な方とたくさんお会いする機会がありますので、そういったところでエネルギーをいただいているというところも、多分にあると思います。

森谷:WizWe総研という習慣化のシンクタンクで、習慣化プロジェクトがうまくいくかどうかのリサーチをかけました。私たちのプラットフォーム「Smart Habit」で、成功率が高くてもうまくいかないケースがあるのですが、企業研修の場合は担当者さんの熱量が高いとうまくいくという分析が出ています。先ほどのお話から感じるものがありました。

福井:ありがとうございます、そうなっていればうれしいです。

森谷:本当に、私たちは全力で取り組みますので、何かご要望があればどんなことでもお気軽にお知らせください。

福井:WizWeさんの情熱に負けずに、共に取り組んでいかなければならないと考えています。私たちにはまだノウハウや知見が不足している部分が多いと思いますが、頼りにしています。

今回、ご縁があって一緒に仕事をすることになったのですが、これも何かの運命のように感じています。当社の方針が習慣化の重要性に向かっていったこと、そしてWizWeさんのような知見と経験を持つ会社が存在していたこと、これらがうまく結びついた結果だと思います。

この稀有なシチュエーションを最大限に活かし、お客さまや日本の人々の健康に貢献するプロジェクトを大きく展開していけるよう努力したいと思います。社内には、このプロジェクトを応援してくれる人がたくさんいますので、自治体の方なども含め、多くの人々を巻き込んで共に進めていければと思っています。

森谷:ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。