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【 死神の正体とは…… 】


 ここは大町界隈にあるカクテルバー「Reiko」です。

 

 ロックのウイスキーで喉を潤してから、南田教授は話しはじめましたよ。

 

 興味深い教授の死神についての持論、聞いてみましょうね。

 世の中には、大きな誤解がまかり通っているケースがしばしばあるもんだが、「死神」もその一つじゃないかなぁと、私は思っている。

 

「死神」というと、骸骨と黒衣に大きな鎌を持っているイメージが一般的だが、実際は違っていると思うんだ。

 

「死神」とは、宗教の中では「最も重要な神」の一つとされていることが多いんだ。「最高神」もしくは「それに次いで位の高い神」となっているんだよ。

 

 実のところは、天界から派遣された「天使」で、美男美女や崇高な老人、または子供の姿をしているものだと、私は思っている。

 

 死にゆく人に「死を自覚させる」とか、肉体と幽体をつなぐ銀の糸(シルバー・コード)を丁寧に切って、牢獄である肉体から魂を解放してくれるものだと考えているんだ。

 

 つまり「死を迎える予定の人間が、死後魂のみの姿で現世に彷徨い続け、悪霊化するのを防いで冥府へと導いていく」という役目を持っていると、私は考えているんだよ。

 

 我々人間の「死」は「誕生」とセットになっている、どちらか一方だけで存在するものじゃない。共に人生にとって重要な位置を占めるものだ。

 

 私の好きな作家の小説では、男を安らかに死に導く子どもが出てくる。その子は自分のことを「天使」と言い、まもなく事故死する男に、死後の世界観を教えている。

 

 そう考えると、香織さん友人の話に出てきた「子ども」は、この「天使」といえるだろし、このみちゃんが見た「ポスター」は、もしかしたら目印なのかもしれないよ。

 

「対応しています」って、合図を出しあっているんじゃないかなぁ~ 天使同士が。そんな気がするよ。だから普通の人間には見えないんだと思うんだ。

 

香織:なるほどね~ そう考えると「死神さん」って、怖いものでもなんでもないのね。

 

光治:確かにそう言えるね。ところでなんだよ雅夫、今日はいやに静かじゃないか?

 

南田:雅夫くんはちょっと大変な目にあったんだよな。みんなに話してあげたら。

 

雅夫:教授、あの話しはもう忘れたいんですよ。

 

 と言って話しはじめた雅夫くんの恐怖体験とは?

 


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