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次回作予想と未回収の謎まとめ【モノノ怪考察】



三部作である映画モノノ怪の一作目「唐傘」がぼちぼち上映終了してきているので、ここらで次回作へ向けた記事を書いていこうと思います。

今回は、次回作の予想今作では解明されなかった謎について紹介させていただきます。




次回作を考える



次回作への多くの謎と伏線を残していった三部作の一作目であるモノノ怪-唐傘-。
今作に残されたヒントを元に、次回作以降について考えてみます。

かなり妄想じみた内容になるかと思いますがお付き合いくださいませ。


次回作のテーマは?



今作唐傘は、「同調圧力」をテーマとした物語でした。

映画パンフレットにて、「人から人への圧力を”水”で表現している」というお話がありました。

実際にそれを踏まえて映画を観ると、カメやアサが上司の女中に圧力をかけられているシーンでは必ず、雨が降ったり水が流れたりしているのです。

そして、大奥内の圧力に潰れた同期女中を惜しむ北川。
同じ境遇であるカメを守りたい北川の情念によってか、唐傘は必ずカメが圧力をかけられている場面で現れていたのです。

カメを圧力(=水)から唐傘(=傘)が守るという構図になっていました。

この比喩表現を用いた構図が美しく印象的でした。


次回作も同じようにテーマがあるものと思いますが、これについて予想するにあたってのヒントはただ一つ、次回作のタイトル「火鼠」です。

今回のテーマが”水”で表されていたのを見るに、次回作においてテーマとなるものが”火”で表現されるのではないでしょうか。

そして今作のテーマとなるもの、それはズバリ「疫病」ではないかと踏んでおります。

江戸時代には、疱瘡や麻疹などの疫病の流行が度々起こったと言われており、実際に大奥でも蔓延していたようです。

確かに大奥は女中たちが住み込みで働く閉鎖的な環境なので、疫病も蔓延しやすそう。題材として大奥という舞台と相性が良いのではないでしょうか。


そもそも火鼠という妖怪をご存じでしょうか?


火鼠と検索するとまずモノノ怪のサイトが出てくるほど情報量が少なく、なぜこの題材を選んだのか疑問だったのですが。

火鼠について大まかに解説しますと、
火をつけても燃えない毛皮を持つ鼠」という架空の生物です。

お気づきでしょうか。
水に対抗する唐傘と同じく、火に対抗する存在として今回の題材となったんですね。

上から下へと流れてゆく圧力=”水”という表現をした今作。
燃え広がるように拡散してゆく疫病=”火”という表現が続くのもなかなかしっくりくると思いませんか?

公開前には社会人あるあるのお仕事モノ!なんて言われ、パワハラが問題視される今の時代にマッチしたテーマを扱った今作の唐傘。
疫病に関しても同様にタイムリーな題材になるかと思います。

悪意ある人の手によって命を絶たれ、その情念でモノノ怪と成るというのが、TVシリーズ含め歴代モノノ怪の基本。

これが病による死の場合、他人の手によって意図的にもたらされた死とはまた別になるので、どう情念が絡んでくるのかというのが一番のネックです。

とはいえ、数年前までの人々がひどく淀んでいた社会を思うと、モノノ怪なんかが生まれやすい世界だったように思えます。

身近な話題がモノノ怪の世界観に落とし込まれる様はとても興味深かったので、自作も期待しています。


次回作の舞台は?



以前、中村監督が「次回の主人公には今作内で既に登場している」といった旨の発言をしていました。

主人公が変わるとなれば物語の舞台はどうなのでしょうか?
これについて複数の説を浮かべました。

・視点が変わる説
・時代が変わる説
・場所が変わる説

これら三つを順に考えていきましょう。


  • 視点が変わる説



これは次回作の舞台が「唐傘の続き」として描かれるという説です。

時代や登場人物は大きく変わらず、主人公(視点)のみが変わるということになります。

唐傘の続きとなると、大奥を旅立ったカメちゃんや唐傘の被害にあった女中たちはもう登場しないということでしょうか。少し寂しいですね。


以前書いた記事で、フキ様とボタン様の対立派閥があるという話をしましたので、歌山さま亡き大奥で頂点の座を争う権力争いみたいな話になるのでしょうか…。


また、ラストシーンでは唐傘退治後に薬売りが井戸に御札を貼り「まだ形を成していない」というシーンがありました。

この次回作への繋がりを匂わすシーンに関しても、「唐傘より後の話」と考える方が時系列的な辻褄も合うような気がします。


  • 時代が変わる説



これは「舞台は大奥そのままに時代が変わる」という説です。

これを提唱するにあたり、薬売りの重要な設定である「(とき)」と「(ざ)」のお話を少し紹介しましょう。


こちらの公式YouTubeにて、中村監督は「モノノ怪の世界には”刻”と”座”がある」というお話をされていました。
刻は時間、座は場所のことを指しています。

また、「薬売りだけがこの世界で刻と座を超えて存在している」という設定も明かされていました。
難しい話ですから要約すると、薬売りは時空を超えて存在できるということです。


今回の動画にて初めて明かされた設定でしたが、TVシリーズからのファンの方々にとっては驚きの新事実というわけでもないでしょう。

というのも、各回での時代の変化が見られるアニメ版のモノノ怪では、時代を超えて薬売りが存在していることが確認できます。

第一話「座敷童子」

大きな武家屋敷のカットから始まる第一章「座敷童子」は江戸時代が舞台。
映画の薬売りとは別人の”離”の薬売りが登場しました。


第十話「化猫」

最終章にあたる「化猫」では、モダンな背景や衣装に変化し、舞台は大正時代へ。
ここでも同じく”離”の薬売りが、座敷童子の時と変わらぬ姿で登場します。


少し脱線しましたがこの通り、アニメ版での前例と設定がありますので、「時代が変わる説」もなかなかあるんじゃないかと思っています。

過去か未来かはわかりませんが、「唐傘に既に次回作の主人公が登場している」というヒントを元に考えると、アニメ版ほどの大幅な時代変化はないと思います。

歌山様が新人として大奥にやってきた過去や、アサが出世して大奥の頂点に座する未来などが描かれたりして…?
個人的にこの説が一番ワクワクします。


  • 場所が変わる説



これは「そもそも大奥が舞台じゃない」という説です。

中村監督的に言うと「別の”座”」といったところでしょうか。


大奥を離れるには大奥の人たちに残された謎がありすぎるので正直この説は現実的ではないのですが…。

大奥に佇む御水様を祀った三柱鳥居
最初に見た時に気になる点があったのを思い出しました。

三柱鳥居というのは珍しいですが実際にも全国に数ヶ所存在しているようです。
神域と現世を分ける役割を持つのが鳥居ですから、三柱鳥居というのは三方向から神域を中心に閉じ込めたような形になっています。

実際にも井戸を囲うように建てられている場所があったり、水を神格化し湧き水の上に建てられるということがあったそうです。
作中ではカルト的に映る「御水様信仰」ですが、あながち有り得ない話というわけでもないようです。


三つの鳥居に囲まれ、中央に井戸を据える形となっているこの三柱鳥居。

作中の儀式では女中たちは三方向から囲うように座するのではなく、三つの鳥居のうちの一つを正面として一方向に並んでいます。

では三柱鳥居にした意味はあるのか?と思いまして。

それだったら普通の鳥居が神域との境界として建っていて、その先に井戸があるのでもいいわけじゃないですか。

今作では多くの「3」にまつわるモチーフが登場しましたから、ただそれだけと言われてしまえばそれまでなのですが…。


私の中でこんな説が頭の中を漂っています。

鳥居の三方向に別の場所が存在している

鳥居の上から見た図にしてみました。

時間が違う大奥か、あるいは全く別の場所が、三方向に向いている鳥居の方向にそれぞれ別の世界が広がっているという考えです。

三つの世界は同時に存在しませんが、三柱鳥居で繋がっていて、時や場所が違えど中央(井戸)へ向く信仰心が共通している。というイメージ。

パラレル感が強くてモノノ怪っぽくないかな?とも思ったのですが、刻と座のお話に近いものがありますし、刻と座が変われど薬売りは存在できますので…。

なんとなくワクワクするので個人的な妄想として記しておきます。



今作で未回収の謎



映画内で描かれた不可思議な謎や描写には、今作内では解明されなかったものも数多く存在しています。

筆者自身も初見の際、あまりに残る謎の多さへの大きなモヤモヤと焦り、そして最後に次回作の存在がスクリーンに映し出された瞬間の安堵と高揚が、いまだ強く心に残っています。

そんな次回作へと持ち越された謎をいくつか紹介していきたいと思います。


女中の死体と大奥の過去



次回作の時系列や舞台を考える上で、今作でずっと気になっていた点が一つ。

死人が多すぎる」ということです。

今作で発見された井戸内に沈む女中の死体の死体はあまりに大量であり、これら全てがここ最近の被害者ではないように思えます。


実際唐傘が現れたのは二ヵ月前から。

淡島と麦谷の事件後、「この短期間で二人も」というような台詞もあったので、唐傘の被害者は作中で描かれた人物の他に居ないとと考えてよいでしょう。


これらの経緯が今後描かれるのであれば、次回作の舞台についても考察の余地が出てきました。

まず舞台について。井戸内の死体は着物を着た女中であったため、場所が大奥であることは確定。

そして時間について。今までの被害者の死体が蓄積されているわけですから、時代は過去。

これらを合わせた結果、次回作の舞台は過去の大奥となります。
あくまで上記の仮説を前提とした場合ですが。


個人的に三部作で時や場所が変わろうとも、中央に座する井戸と人々の御水様への信仰が変わらないと予想しています。

別のモノノ怪の被害となった者たちも、今作のように井戸に棄てられてしまった過去があったのではないでしょうか。



謎の祠の中身とは



井戸内に広がる不気味で浮世離れした謎の空間。

意味深な壁画や、三本の柱、水に浮かぶ花々と沈む死体。
気になる点をあげたらキリがないほど異質な空間でした。

その中でも露骨なほどに気味の悪い後味を残していったのが井戸の奥にそびえる祠ですね。

三本の柱と、中央の祠に繋がる三本の綱。

唐傘退治後にうち一本の綱が切れたことにより、これら三本の柱が三体のモノノ怪を表していることはお気づきのことでしょう。


では、三本の綱が切れたらどうなるのか?
これが最も気になるところですよね…

祠を封印するように巻かれた綱が取り払われれば、やはり祠の中の何かが目覚めるのでしょうか…。

三体のモノノ怪を順に倒し、ラスボスが目覚めるのか?
ゲームなどではありがちなセオリーですから、真っ先に想像してしまいましたがどうなのでしょう。

なんとなく悪い敵が眠っているという先入観を抱きますが、そもそも祠の中身が善いものであるという可能性だってあるわけです。

モノノ怪(邪)と共にラスボス(邪)が封じられている場合もありますが、モノノ怪(邪)によってラスボス(善)が抑えられているという可能性も考えています。

この場合はラスボスというより神的な何かでしょうか。

それこそ「御水様」とか。
概念的な神として存在していた御水様が人々の強い信仰や情念によって形を成す。とかもあり得そう。


いずれにせよ三体のモノノ怪の先に待つというかなり大きな存在であることは確実ですから、期待と畏怖で胸がいっぱいです…。



祠ではなくお墓?



他にも祠に関してもう一つ。

祠ついて観察し調べていると、どうやら「仏舎利塔」なのではないかという結論に落ち着きました。

仏教においてお釈迦様の遺骨を奉納したいわゆるお墓のような建物です。


あの祠の中に何者かの亡骸が納められているのでしょうか。

そういえば唐傘に襲われた淡島さんを見た平基が「即身仏のようだった」と言っていたシーンがあったことを思い出しました。即身仏とは修行僧などがミイラ化した遺体のことです。


あの祠に何かを封じているのではなく、むしろ亡き者を復活させる儀式かのようにも見えてきました。

今作で描かれたお勤めのために己の身を捧げる女性たち、宗教じみた大奥のしきたりや儀式ともかなり相性がよく合点がいきますね。
そして井戸に沈む女中たちの遺体も、生贄や供物としての役割に見えてきてしまいます…。


あの祠が本当に仏舎利塔であるなれば、最後に解き放たれ現れるのはお釈迦様
ずいぶん壮大なモチーフを持ってきましたね…

仏教を元とした作品で扱うにはなかなか存在として大きすぎる。なんとも心躍りますね。

唐傘一体とのバトルですら迫りくる唐傘を押し返せず飲み込まれてしまっていた薬売りさんでしたが大丈夫なんでしょうか。


ところで、三体を倒したのちに何かラスボス的な存在が現れるという仮説の場合、やはり三作目の最後に戦いが始まるのでしょうか?

初見で三本の柱と祠を見た時、三体と最後の何者かで全四回あるのか?とも思っていたのですが後に三部作であることが発表されました。

そうなると三作目のラストでモノノ怪退治後にそのままラストの章に続くのでしょうか?

一作目のは上映時間90分と控えめでしたので、最後だけ120分とかの可能性もあります。
嬉しいですが情報処理が追い付かず頭がパンクする未来しか見えませんね。



「御水様は火を嫌う」の意味



井戸前で行われる御水の儀式の際、煙管を吸おうとした溝呂木が怒られるシーンがありましたね。

その際の台詞、
「御水様は御火を嫌います」

これに違和感を覚えた方多いんじゃないでしょうか。

御水様は火が苦手?不思議じゃないですか?
一般的にゲームなどで用いられる属性相性でいったら水の方が強いのに。

そもそも御水様自体なにもわからないのになんて意味深な台詞…。

今作が水がテーマで自作が火がテーマという予想をしたので、三部作それぞれの属性が三すくみになっているとか?

ですがその場合、次回以降に御水様が登場しないことになってしまうので有り得ないと思うんですよ…。
それにしては今作で御水様の謎が多すぎるので。

薬売りにも陰と陽があるとかで、陰陽五行説とかもあるかもですね。

これに関しては結局のところそれっぽい結論は出ませんでした。無念ですが次回作を待つことしかできません…。


謎の残るキャラクター



今作の唐傘は、登場したもののあまり活躍がなく、謎の多いまま終わってしまった人物が多かった印象です。

次回作への期待を込めてこれらのキャラクター達を紹介していきましょう。


・天子様



何を隠そう大奥トップに君臨すお方。
表情もなく台詞は数言。今作No.1ミステリアスキャラです。

情報が少なすぎて何の根拠もないながらに、どうしても黒幕説を考えてしまう怪しさを醸し出していました。

三部作でそれぞれの真と理がありながら、すべて判明したら最終的にひとつの元凶に収着しそうだなとも思っているので、そうなると一番しっくりくる気がします。安直でしょうか?


・幸子様



今作において登場するのは会話中にあがる名前のみ。

天子様の正室であるという設定が明かされており、御台所という役職にあたります。
実際の大奥と同じであれば、最も実権を握っているはずなので、大きく絡んでくると予想しています。

幸子様への関心のあまり過去に一本記事を書いてしまったので、詳しくはこちらにて考察しています。

大奥は世継ぎを産む機関ですから、出産関連でなにか事件が起こっているとするなればこの方の情念も相当大きなものになりそうですよね。

この点に関してモノノ怪と相性がいい境遇の人物だと思っています。


・時田フキ



御中臈のひとりであり、天子様からの寵愛を受けている女中。

他の人よりは多少登場がありましたが、天子様との関わりも深く、描かれていない面が多そうに見えます。

新人女中時代に天子様に見初められた
といった旨の発言が作中にありました。

大奥は天子様のための機関でありながら、天子様や夜伽に関われるのはほんの一部、それこそ御中臈くらいには出世しないとお目にかかることも難しいはずです。

そんな中で新人でありながら天子様に見いだされたというのは、並々ならぬ寵愛の予感がします。
その辺の過去も描かれるのでしょうか?


また、フキ様は三郎丸の姉でいらっしゃいます。

大奥において血縁関係があるキャラは珍しいので気にかけていたのですが、今作ではその関係も二人が会うことすらありませんでした。

今作だけではここを姉弟にした意味が見いだせなかったので、次作以降で描かれることに期待しています。

そして度々名前が出るのが「時田家」という家系。

フキ様の苗字であり、三郎丸も同じくです。
どうやら名家の娘っぽい。

今作には大きく関わってきませんでしたが、ヒントになりそうな発言はちらほら。

同じく御中臈である大友ボタン様の「大友家」と対立しているような口ぶりでした。

次回作以降でこれらの権力が絡んでくるのか、時田家と大友家の戦いが繰り広げられるのか見ものです。

これに関しても考察の余地が多く、別記事にて書いていますので、よろしければこちらで。


・溝呂木北斗



このお方も天子様に次ぐミステリアスキャラですね。

数少ない登場も台詞もすべてが怪しいこの男。
本筋に関わってこないわけがありません。

「御水様」信仰の司祭をつとめる人物です。

なによりも彼を怪しく見せるシーンは上記画像のカットでは、井戸内の空間に出入りしていることや、

「水は美味いか?アマ…いや、御水様。」
と、御水様の正体を言いかけるなどなんとも怪しい言動ばかり。


信仰司祭という特殊な立場ではありますが、天子様以外に唯一、男子禁制の大奥に立ち入る存在であるという点も不思議です。

公式の説明文に「溝呂木家の当主」という文言がありましたが、「溝呂木家」という家系も出てくるのでしょうか。

存在すらが秘密である井戸内の空間、そこに日常的に出入りしているこの男。彼の秘めた真相は計り知れませんね…。


・双子の姉妹



続きましてこちらの姉妹。

溝呂木北斗の双子の娘
画像左が三日月、画像右が二日月です。

父の司祭の仕事の手伝いをして、御水様の儀式では女中らに水を配っていましたね。


ラストの溝呂木の井戸内のシーンでは、父である溝呂木の横に移る姿が確認できましたので、彼女らも同様に井戸内を出入りしているということになります。

登場はほぼ儀式の場面のみで、人物がわかるような台詞もないまま終わってしまいました。

あまりの情報の少なさに考察の余地すらないのが正直な現状ですので、今後この子たちについても描かれるといいですね。





多くの謎を残したまま終了したモノノ怪一作目「唐傘」

完全に完結していないが故の考察の楽しみというのも大きく、考えるほど次回作への期待が高まる一方です。


次回に向けての記事とはいえ、根拠のない考察ばかりの記事でしたがお読みいただけたのであれば光栄です。

長くなってしまいましたがお付き合いいただきましてありがとうございました。


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