タルコフスキー映画が教えてくれたこと
タルコフスキーの映画にはじめて触れた、その翌朝。バイト先へ向かいながら、わたしは、街中の光景を貪るように見つめていた。
暑いが、しかしカラッとした夏の日だった。
澄み切った青空、水色に反射するビルの窓、新緑にかおる木々、道路脇を彩る花々、銀色に煌めく川、暗く静かな高架下・・・。目の前を次々に過ぎていく、見慣れたはずの景色は、明らかに昨日までとその粧いを異にしていた。それは不思議な体験だった。わたしの脳裏にはそのとき、昨晩見た映画の映像が残っていた。感動に導かれ、わたしはタルコ